第198話 いつの間に…
「ハナ〜」
抱きしめてすりすりした。
「カナちゃん、今日は甘えんぼなのね」
「ハナが可愛いからだよ」
「カナちゃん好き」
ヘンリクさんと遠野を見て淋しさを感じた翌日、朝から晩までハナといちゃいちゃした。
「今日はどうしたんだ?いつも以上にハナにべったりで」
ハナが眠った後、父さんに聞かれた。
「昨日、ヘンリクさんと遠野を見て淋しくなっちゃったんだ。長命な遠野は20代に見えるのにヘンリクさんはだいぶ年上にみえるでしょう?」
「そうだな」
「ずっと聞くのが怖かったんだけど…ハナの寿命ってどのくらいなの?」
思い切ってアルバロにたずねたら目をそらされた。
「アルバロ?」
「えっと…」
「短いのか?」
私と父さんが涙目で迫る。アルバロはだらだらと脂汗を流して目を合わせない。
「怒らない?」
「短いの?」
「…その逆」
「長いの?」
「うん」
「なんだー!良かった!それで?どのくらい?」
「ずっと…」
「ずっと?」
「カナもハナもリオもリザもずっと…」
「もう!だからどのくらい?ハイ・ヒューマンが長命なのは知ってるし!」
「ずっと…」
「…アルバロ、正直に全部話せ」
父さんの一言でアルバロがぽつぽつ喋り出した。
「みんなと一緒に過ごす時間が長かったでしょう?」
「そうだね」
「…眷属になってた」
「……」
「……」
「俺たちが?」
「アルバロの?」
「…そうみたい」
「アルバロ?」
「正直に全部話せ」
「僕も知らなかったんだ。気づいたら眷属になってて…怒らないで!」
「私たちの寿命は?」
「僕と同じ」
「死なないってこと?」
「消滅の可能性はゼロじゃないけど生き物としての寿命はないかな」
「ハナも?」
「うん」
「リザもか?」
「うん」
「よかった…」
「…ああ。もう誰の葬式も出したくない」
ハナもリザもずっと家族だ。
「でもさ、私たちが長命でも流石にいつか不審に思われるよね?」
「そうだな。この家を放棄したくないぞ」
「そのうち僕の拠点に家ごと引越ししようよ」
「ここの暮らしも気に入ってるんだぞ」
「僕もだよ。いずれの話として考えといて」
「そうだな」
「………ちょっと待って」
「どうしたの?カナの目がすわってるよ?」
「父さんとリザはいいよ。でも私の婚活はどうなるの?同じ時間を生きる種族との出会いがないじゃん!」
「僕がいるし!」
「はあ?」
「だから!ほいほいほいほい合コンとか行かないで!」
「ええっ?」
涙目のアルバロに狼狽える私。
「いいんじゃないか?」
「父さん!?」
「リオ!」
「お父さんは反対しないぞ。2人でよく話し合え。おやすみ」
父さんがさっさと部屋に引き上げてしまった。
「カナ…」
「えっと…アルバロは神様じゃん?」
「うん」
「だから、そういう目で見てこなかったのね」
「これからは意識して!」
「か、考えておく」
「デートしよう!」
「えええ…」
混乱したまま出かける約束をさせられた。




