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第185話 リオと狐太郎

 今日はリオが狐太郎を抱いてクサツの湯に浸かっている。もちろん治癒魔法もかけている。


「おじさんの魔法きもちいいね」

「そうか」

 狐太郎が目を細めて気持ちよさそうにしている。


「おじさんのジャーキーも大好き」

「俺がジャーキーを作るようになったきっかけはハナなんだ」

「ハナちゃん?」


「ああ。(ハナが愛犬だった頃) 酒のあてにハナのおやつの干し肉 (ペットショップで買った犬用ささみジャーキー) を食べたらめっちゃ怒られた」

「リオさん…」

巽と遠野が残念な人を見るようにリオを見た。


リオが回想する。

「ハナたちが寝た後に1人で晩酌していたらツマミが無くなってな、結構酔っ払っていたけど飲み足りないし料理をする気分じゃ無かった。ちょうど目に入ったんだ。食ってみたら意外と美味うまかった」

「リオさん…」


「そのまま酔って寝ちまった。翌朝ハナが騒いでて目が覚めた。俺のグラスの横でジャーキーが空っぽになってて状況を察したハナがワナワナしてた。『けっこう美味かったぞ』と言って撫でようとしたら怒って撫でさせてくれなくて慌ててジャーキーを手作りして機嫌をとったんだ」

「仲直り出来てよかったですね」

巽と遠野がほっとしている。


「ああ、改良を重ねて今じゃ俺のジャーキーはハナちゃんの大好物だ」



「今日の朝ごはんも嬉しかったよ」

「そうか」

 今日の朝食は海苔で顔を描いてハナに似せた熊の形の鮭おむすびと狐の形の稲荷寿司だった。油揚げに切り込みを入れて耳と尻尾を再現、海苔で顔を描いた。


「以前、ハナちゃんに似せたおむすびを作ったら喜んでくれてな、狐太郎君も喜んでくれるんじゃないかと思ったんだ。おじさんが想像したよりも喜んでくれて嬉しいぞ」


 リオが狐太郎を優しく撫でる。ちょっと無神経でよくハナを怒らせるけど悪気はないし優しいのだ。


「おじさんのお肉もお魚もぜんぶ好き」

「今夜は焼き鳥だぞ」

「丸ごと焼くんですか?」

「食べやすい大きさに切って串に刺して炭火で焼くんだ。ここの厨房は広いから厨房で焼きながら食おう。炭火で焦げ臭くなるから食後にまた全員で温泉な!」



 大量の肉を全員で串に刺した。ハナと狐太郎君の串は食べやすく1本の串に肉を1つしか刺さないようにした。


「炭火もいいみたい」

「タレや塩で焼いていくぞ」

 肉と長ネギのはさみ、レバー、つくね、ハツ、せせり、ぼんじり、ずり(砂肝)、なんこつ、うずらの卵。


「そろそろいいな、どんどん食え!」

父さんがみんなのお皿にどんどん乗せていく。


美味うっま!」

「美味しい!」

「え?普通のお肉なのに?」

「炭火で焼くとこんなに美味しいの!?」

 4人ともびっくりしてる。父さんがしめしめ顔でみんなのお皿に焼きたてを追加してゆく。


「おいしー」

「おいしー」

ハナと狐太郎君がハモる。


「すっごく美味しいです!」

「たくさん食えよ」

「ビールもどうぞ」


 召喚魔法(インターネット通販)で取り寄せたビールサーバーからジョッキに注いで配る。

「美味い!」

「肉に合う!」

 お酒嫌いのハナもアルコール度数が弱いビールなら側で飲んでも嫌がらない。

「後で温泉だからほどほどにね」


「美味しいです!」

 焼き鳥とビールの夕食はリザのお気に入りで今日ももりもり食べている。

「もっと食え」

 父さんがリザの好物のつくねを大量に焼いている。今日も仲がいいな。


「ねえカナ」

「なあに?」

「誘ってくれてありがとう」

「毎日とっても楽しかったわ」

「身体の調子も凄く良いんだ」

「私も楽しかったよ、ハナも大喜びだったもんね」

「うん」


 3人は明日王都に帰る。休暇の最後の1日は王都の家でやることもあるだろうし休暇明けに備えて欲しい。



 食後の温泉で名残りを惜しむクラリッサとエステルにわしゃわしゃされてハナが大はしゃぎだった。

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