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第162話 ローレを再訪

 お米作りでバタバタする前に街の用事を済ませることになった。


「冬の間にお散歩ダンジョンのドロップ品が溜まっちゃったね」

「少し売りたいよな」



 1番近いローレに行くことにした。

ドラゴン化したリザの背中に乗って街の近くまで行ったら、そこから馬車で向かった。

街の入場も問題なく済んだので冒険者ギルドに行くと受付にカミロさんがいた。


「お久しぶりです、カミロさん!」

「久しぶりですね、皆さんの活躍ぶりは聞いていますよ」

「カミロさんの紹介のおかげですよ」


「今日はどうされましたか?」

「冬の間、領地に引き篭もっていたんですけどダンジョンのドロップ品とか溜まっちゃって」

「買取りですね、それでは量も多そうなので別室でお願いします」



「何から出そうか」

「そうだな…」

「あの、もしよろしければ魔石をお願いします」

「魔石?」

「はい。この時期になると暖房の魔道具で使う魔石が不足してくるのです」

「魔石ならたくさんありますよ!」


どすん!

どすん!

もういっちょ、どすん!


米俵くらい大きな袋を積み上げた。

「全部買い取りさせてください」

「そんなに困っていたんですか?」

「困る街が出てくる頃なので他の街にも送りたいんです」

「そうなんですか、役に立てば幸いです」

 中級以下の魔石が全部で200万シルくらいで売れた。


「同じ理由で食料があると助かります」

「食料は悪くなるんじゃ…」

「ギルドに時間停止のアイテムバッグがあるんです。時間停止であちこちの街に送り出しますので可能な範囲でご協力をお願いできますか」


そういうことなら。


「お肉もフルーツもハナの分は残しておくからね」

「うん」

 ハナが同意してくれたのでダンジョン産の肉やシーフード、フルーツなどをたくさん出したらハナが少し残念そうだ。我慢しているハナがいい子で可愛いくて辛い…。


「またダンジョンを回って美味しいのを取りに行こうね」

「ハナいっぱいドカンしたい」

「うん。行こうね」

ハナをたくさん撫でた。



「…カミロさん。紹介状をありがとうございました」

「いえいえ。ご活躍ぶりは孫たちから聞いていますよ」

カミロさんが麗しく微笑んだ。


「ルースラゴス…」

「オスカルが指名依頼を受けてくださったと感謝していましたよ。孫が無茶言ってすみません」


「…オスカル様」

「もしかして…」

「ルースラゴスに行ってオスカル様とローザに会わずにダンジョンでシーフードとフルーツだけゲットして帰ることは可能ですよね?冒険者ギルドに顔を出さなくてもいいですよね?」


 オスカル様は押しが強くてちょっと苦手なのだ。


「オスカルが溺愛しているカナリヤのローザはひ孫のクラリッサの天敵で『今度会ったら焼き鳥にしてやる』って言うんですよ」

何があったんだろう…今度聞いてみよう。


「クラリッサはイレーネさんの紹介で友達になったんです。ハナのことも可愛がってくれて次に王都に行くのが楽しみなんですよ」

「クラリッサから聞いていますよ。…人族の友人に先立たれるのは分かっていても辛いので、あの子には長命種族の友人が増えるといいと願っているんです。カナさんと友情を結べて良かった」

カミロさんがずずっとお茶をすする。


「オスカルにはカナさんたちがルースラゴスのギルドを避けるけど追わないように強く言っておきます。なあに、カナリヤの命が惜しくば控えろと言えば大人しく言うことを聞きますよ。あはははは」

 それは私たちが悪役みたいだな。



「カミロさん」

「どうしましたか、リオさん」

「紹介状をありがとう、おかげでカナに同じ年頃の友達ができた」

「いえいえ、ひ孫のクラリッサを紹介したのは孫のイレーネですし」

「おかげで心配事が減った。カナのためにありがとう、お礼というにはささやかだけど俺の自慢の料理なんだ」


 父さんがサンドイッチや煮込み料理、オーブン料理や串焼きなど、たくさんの料理を出した。


「そんな、いいんですよ!でも受け取らないほうが失礼ですよね。ありがとうございます。ああ、これは美味しそうですね」

 遠慮しそうで遠慮しないカミロさんがどんどん収納してゆく。負けずに父さんがどんどん出す。私たちがコットン畑や醸造所に通っている間に作りだめしていたのか。



 父さんがこんなに私の交友関係を心配していたとは驚きだ。ちょっと恥ずかしいけど嬉しかった。

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