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第153話 お正月

 元旦はハナより早く目が覚めたのでハナの可愛い寝顔を眺めながら二度寝した。

 もう一度自然に目が覚めたのでハナを起こさないように布団から出ようとしたらハナも起きた。


「おはようハナ」

「… 縺翫�繧医≧」

 また文字化けみたいな挨拶だった。お布団ぽんぽんしていたら覚醒してきたようだ。


「…おはようカナちゃん」

「おはようハナ、目覚ましに温泉に入ってこようと思うんだけどハナはもう少し寝る?」

「ハナもいく」



 お湯の中で気持ちよさそうな顔のハナは何度見ても可愛い。


 お湯からあがってハナの毛皮を火魔法と風魔法を合わせた技で乾かした。

「ありがとカナちゃん」

一瞬でサラッと乾いてふわふわの毛皮が可愛い。


「気持ちよかったね」

「そうだね」

「ハナお腹すいちゃった」

「父さん起きてるかな?」

 ハナと一緒に家族部屋に行ってみると父さんとリザがお雑煮の準備を進めていた。


「おはようパパ」

ハナが父さんに向かって駆けてゆく。


「ハナちゃん、あけましておめでとう」

父さんがハナを抱き上げる。

「おめでと。お出汁のいい匂い」

ハナがお鍋に向かってフンフン。


「今日はお雑煮とお節料理だ。ゆっくり食べよう」

家族部屋のコタツにお節の重箱が積んである。


「カナとハナちゃんはお餅は1つでいいか?」

「うん!」

「ありがとう父さん」

ハナをコタツに置いて父さんと一緒に裏山温泉の厨房に入る。


「俺はお雑煮を仕上げるからカナは家に戻って神棚とおばあちゃんの仏壇を頼む」

「おばあちゃんの仏壇ならハナも連れていくよ」

 父さんが用意してくれていたので全部をインベントリに収納してハナを誘って魔方陣で移動した。


「神棚へのお供え終わり、次は仏壇ね」

「おばあちゃん!」

 おばあちゃん子だったハナは仏壇にまっしぐらだ。お花とお水を取り替える間、仏壇の前でいい子で待っている。


「これはハナがお供えする?おばあちゃんにどうぞって」

 おばあちゃんが好きだった伊達巻などを盛り付けたお皿をハナに渡す。

「おばあちゃん、どうぞ」

 ハナが置いたお皿を少しずらしてお雑煮などを備えた。ハナと一緒に拝んで裏山温泉に戻る。


「ただいま」

「おかえり、準備できてるぞ」

コタツにはお雑煮が用意されていた。


「お屠蘇だ、ハナちゃんは甘酒な」

「やったあ!」

「東はあっちな」

父さんが指す方を全員で向く。


「一人これを飲めば一家病無く、一家これを飲めば一里病無し。ハナちゃん、ぐっといけ」

 ハナが一気に飲み干す。次に私、次に父さん…え!?父さん?…次にリザ、最後にアルバロ。


── お屠蘇を飲む順番は年少者から年長者がマナーだったよね…父さんは若返って34歳だっけリザの年齢は聞かないでおこう。あの超絶美人のイレーネさんも100歳越えだし長命種族に年齢は関係無いよね。

 アルバロは神様の中でも若手のペーペーっぽいから見た目通り実年齢も若そうだな。


「じゃあ食うか!今年のお節は和洋折衷だ」

父さんがお重の蓋を取る。

「栗きんとんはたくさん作ったから鍋いっぱいあるぞ、ハナちゃんとアルバロが好きだろう?」

「くり!」

 ハナの目が栗きんとんに釘付けだ。

「カマボコとか数の子もあるぞ」


父さんが次のお重を開ける。

「これは肉専門店のお節を参考に牛、豚、ラム、鶏の重だ」

「美味しそうです!」

「どれも塊肉で作ってあるから好きなだけ食べてくれ」


父さんが次のお重を開ける。

「こっちはシーフード。カナが好きだろ」

「やったあ、蟹とエビ!」


父さんが次のお重を開ける。

「これはカナが作った」


「黒豆で豆乳黒豆プリン、栗きんとんでマロンパイを作ったよ。今年の干支は丑年だから牛のアイスボックスクッキー」

 一枚取ってみせる。チョコの生地をまだらに置いてホルスタイン模様にして牛の型で抜いた簡単クッキーだ。


「ハナぜんぶ食べたいなあ」

「3日間かけて少しずつ全部食べようか。明日も明後日もあるから今日全部食べずに明日の楽しみに取っておくのもいいよね」

「うん」

 聞き分けよく無理なく食べてくれた。続きはまた明日。


 食後はだらだらテレビ。

裏山温泉用に召喚魔法(インターネット通販)で壁掛けテレビを買った。こちらでは魔道具扱いだが普通に視聴できる。

 初めてこっちの世界でテレビをつけた時は登場人物の服装や風景、画面に映る道具すべてがこちらの世界に合った仕様に変わっていて神の力凄い!神の力の無駄遣い!と思ったけど慣れた。


 今日は『初めてのおつかい−異世界編−』だ。王都に住む3歳の男の子がいつものパン屋さんでパンを買うという筋書きだったがパンくださいが言えずに泣くわ、帰り道で迷うわハラハラだった。


「あの子すっごく泣いちゃってたね」

「無事に帰れて良かったねえ」

「ハナだったら泣かないよ!」

「ハナはいい子だもんね」

「ハナもおつかいする!」


父さんと私が固まった。


「ハナちゃん、ここらにお店は無いだろう?」

「王都でおつかいする!」

「ハナは言葉が通じないでしょう?」

「たっくんのお味噌買う!」


 王都で合コンしたメンバーで妖狐のたつみのことをハナはたっくんと呼んでいる。しかもカナとリオに都合の悪いことに巽はテイマーのスキル持ちなのでハナと会話が出来る。止める理由が無くなってしまったが止めさせたい。心配でならない。


「次に王都に行くのはだいぶ先だよ」

「その時におつかいする!」


── 困った…。


「ハナはインベントリがあるからお味噌おとさないよ!」

「そうだな!ハナは頭がいいな!」

「えへへ」


 父さんが親バカすぎてハナが止まらなくなった。次に王都に行くまでに忘れてくれるよう祈ろう。

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