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第152話 大晦日

 クリスマスの後の数日はダラダラ過ごした。外に出たのは家庭菜園やハナのお散歩ダンジョンくらいだ。大掃除も浄化魔法で済んでしまうので頑張る必要が無かった。


「お節の準備は早めにするぞ」

「インベントリは時間停止だから、ちょっとずつお節を作って入れておけばいいんだから楽だね」


 毎日の家事にプラスアルファ程度でお正月の準備が出来て良かった。慌てずに大晦日を迎えたのは初めてかもしれない。


「今日の夕飯はお蕎麦だよね」

「天ぷらも揚げるぞ」

 お蕎麦は他の麺類よりも切れやすいから一年の災厄を断ち切るという意味で、大晦日の晩に年越し蕎麦を食べる。


「お蕎麦は何を乗せるの?」

「いつもと同じだ。大きなエビ天、かき揚げ、わかめ、カマボコ、椎茸、ネギ」


「お出汁のいいにおい」

足元でハナがフンフンする。

「ハナちゃん、天ぷらを揚げるので危ないから離れててな」


 手伝えることも無いのでハナを抱いてコタツに戻ると抱っこしているハナがぎゅうっとしがみついてきた。

「今年はハナちゃんに再会出来て幸せだったよ。来年も再来年もずっと一緒だよ」

「ハナもしあわせー」

すりすり甘えてきてすごく可愛い。



 天ぷらを揚げる音が心地良い。父さんの天ぷらはごま油で揚げていて香ばしくて美味しい。東京旅行で江戸前天ぷらを食べた時、『父さんの天ぷらみたいで美味しい』と思ったことを思い出した。


「カナ、蕎麦を茹でてくれるか?」

「うん」

 そろそろ天ぷらが揚げ終わるようだ。ハナをコタツに残してキッチンでお蕎麦を茹でる。


「盛り付けは任せてくれ」

「この天ぷらは運んじゃっていい?」

「頼む」


 天ぷらの大皿をコタツに運んだところで父さんから運んでくれと声がかかったのでお蕎麦も運ぶ。


「リザには肉もな!」

 クリスマスの残りの肉を盛り合わせてあった。残り物でもリザが嬉しそうなのでオッケーだ。


「じゃあ食うか!」

「おいしー」

 今日も上手にフォークでお蕎麦を食べている。ハナは犬から熊になっても可愛い…。


「食べ終わったら裏山温泉に移動してお正月は向こうで過ごそう」

「いいね!」



 裏山温泉には大広間のほかに家族部屋という部屋も用意してある。畳でコタツの部屋だ。温泉からあがって全員コタツの部屋に集まってミカンを食べながら年越しをする。


「ハナねむい…」

「寝ちゃっていいよ」

「…ハナも一緒がいい」

 みんなと一緒に年越ししたいけれど眠くて仕方ないようだ。


「そろそろ一緒に寝ようか」

「うん」

 みんなが起きてて自分だけ寝てしまうのは嫌だけど一緒に眠るのはいいらしいのでハナを抱いて立ち上がった。

「私たちはもう寝るね、おやすみ」

「おやすみカナとハナ」

「おやすみ」

「おやすみなさい」



 またハナと一緒に新年を迎えることができるなんて夢のようだと思いながらハナを抱いて眠った。

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