表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/331

第150話 シュトレンとパネットーネ

 クリスマスのスイーツはシュトレンとパネットーネとビュッシュドノエルを作る。


 シュトレンはバターたっぷりの生地に洋酒に漬けたドライフルーツとナッツを混ぜ込むんだけどハナがお酒の匂いを嫌うからドライフルーツは紅茶に浸けて戻した。

 伸ばした生地で棒状にしたマジパンを包んで天板に乗せたらシュトレン型で焼く。


 焼けたら表面に溶かしバターを塗る。冷めてから粉糖をたっぷりと振りかけたらラップをして冷蔵庫で保存する。一週間後くらいから食べごろ…なんだけど、今すぐ食べたいハナとアルバロが目の前から動かない。


「このまま1週間くらいおくと食べごろになるんだけど」

ハナとアルバロがしょんぼりと下を向く。


「1週間も待ってるとクリスマスが終わっちゃうので…」

ハナとアルバロの顔が上を向いて期待に輝く。


「少し試食してみる?」

ハナとアルバロの顔が喜びに包まれた。


 紅茶を淹れてシュトレンを薄切りにする。ハナと私と父さんとリザには2枚。アルバロには5枚。

「さあどうぞ」



「おいしー」

「時間が経つと馴染んで美味しくなるんだよ。少しずつスライスして食べながらクリスマスを楽しみに待つの。明日から1枚ずつスライスしたのを朝食の後でいただこうね」

「やったあ」


 1枚ずつ食べたらちょうどクリスマスに無くなるだろう。アルバロが足りなそうな顔をしているが欲張るな、シュトレンはそういう食べ物だ。




「カナちゃん、なにを作るの?」

 翌日、計量していたらハナが足元で立ち上がって見ようとしている。全然届かないのが可愛い。


「今日はパネットーネを焼こうと思って」

「パ…?」

「見ていたいの?」

「うん」

ハナを持ち上げて椅子に座らせた。


「じゃあ、ここで見ていてね」

「うん」


 パネットーネはイタリアでクリスマスに食べられる甘いパンだ。


 ホームベーカリーに計量した強力粉、きび砂糖、塩、パネトーネマザー、牛乳、卵と卵黄をセット。

 生地作りをスタートして5~6分くらい経過したら蓋を開けて細かくちぎったバターを少しずつ入れてゆく。入れ終わったら蓋をしてホームベーカリーにおまかせ。


  捏ね終わったら生地を取り出して広げる。普通はここでドライフルーツを混ぜるんだけど今日は特別だ。


「栗!」

「今日はマロングラッセを混ぜるよ」

 ハナの好物で作ってあげたかったので召喚魔法(インターネット通販)で買ったイタリアのマロングラッセを1/4くらいに荒く刻んでたっぷり混ぜる。


「カ、カナちゃん…」

 ハナがプルプルしている。ハナなりにだいぶ我慢しているようだ。見せつけてごめん。

「味見する?」

「する!」


 手を洗ってマロングラッセを小皿に乗せてハナのグラスに牛乳を注ぐ。

「ありがとカナちゃん!」


可愛いく一粒つまんで、ぱくん。

「おいしー」

こんなに喜んでくれるとは。


 ハナが可愛いなとデレデレ見ていたら視線を感じた。襖を少し開けて何かがこちらを見ている。何かというか間違いなくアルバロだ。


「アルバロ」

 すーっと襖が開いて笑顔のアルバロが入ってきたので小皿にマロングラッセを盛り付ける。

「飲み物は自分でしてね」

「ありがとう!紅茶にしようかな」

ささっとティーバックで淹れてた。



 手を洗って作業再開。

マロングラッセが混ざったら生地を丸めて発酵させる。レンジの発酵機能を使った。

 発酵させてる間に汚れたものを片付けて洗濯ものを畳んだりした。その間もハナは私のあとをついて回って今日もすごく可愛い。

 2時間くらいで生地が約2倍になれば一次発酵終了。


 手を洗って作業再開。

打ち粉をふった台の上に生地を取り出したら丸めて、かたく絞った濡れ布巾をかけて20分ベンチタイム。

 とじ目を上にしてガスを抜きながら平らにしてから生地を丸めたら、とじ目が下にくるようにパネトーネカップに入れて発酵。今日は2つ作った。1つは出来立てを食べることになるので1つはインベントリに入れて複製しておくつもりだ。


「まだ焼かないの?」

「この発酵が終わったら焼くよ」

 その間にロボット掃除機を起動した。我が家ではロボット掃除機が段差に困るとハナが持ち上げてあげることになっているのでハナはロボット掃除機の後をついて回って大忙しだった。



ロボット掃除機がホームに戻った。

「おしまい!」

「今日もハナのおかげできれいになったよ、ありがとう」

「えへへ」

ハナと自分を浄化して作業再開。


 生地が型の高さまで膨らんだので発酵終了。十字に切れ込みを入れて細長く切ったバターを乗せて焼く。


ハナとアルバロはオーブンの前で待機だ。



 焼き上がりを食べることになるので飲み物の準備。私は今日はコーヒーを合わせたいけど紅茶派もいるだろう。ハナはミルクティーを選びそうだ。


ピピピッ!


「焼けたね」

早く早くと急かされてオーブンから出す。

「父さんとリザを呼んできて」

「うん!」


早く食べたいハナが駆けていった。

「パパー!リザちゃーん!」


 普通に1切れを私とハナと父さん。少し大きめの1切れをリザ。残りはアルバロ。


「おいしー」

「仕事でいろんなパネットーネを食べ比べたことがあるんだけどマロングラッセ入りが美味しくて印象的だったんだよね、栗はハナも好きだし」

「じゃあマロングラッセ入りが我が家の定番に決まりだな!」



 父さんの一言で毎年焼くのが決まってしまったがハナたちの嬉しそうな顔を見れるなら手間をかける価値があるなと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ