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第148話 ガロンヌのワイン

「今日からガロンヌだね」

「醸造所作り、どのくらいかかるかな」


 今日はハナとアルバロと一緒にガロンヌに向かっている。週末の温泉三昧でハナの肉球と鼻の頭はテカテカでツルツルだ。私のお肌も調子が良いのでやる気は充分だ。



「そろそろ着くよ」

「何か見えて…ええっ!」


立派な葡萄畑が出来ていた。


「サービスで成長させておいたよ」

「…ありがとう」



「ハナ、どうぞ降りて」

ドアを開けてやると上手に飛び降りた。


「ぶどう!」

「この間、一緒に植えた葡萄だよ」

「食べたい!」

「食べられるけど裏山の葡萄の方が美味しいよ」

「これ食べたい!」


「じゃあ一房だけね、お昼ご飯に響くから。何種類か植えたでしょう?その中から好きなのを1つ選んでね」

「わかったー!」


ハナが葡萄畑を駆け回って美味しい匂いを確かめた。


「カナちゃん!これ食べる」

「ちょっと待ってね」

 鑑定してみると味という項目に『そこそこ美味』とか『まあまあ美味』とか表示されるので美味しい房を選んであげた。


「食べる場所が必要だけど、ちょっと寒いね。アルバロなんとか出来る?」

「結界を張るから葡萄畑から出ようか」


葡萄畑の外でアルバロが結界で風を防いでくれた。

「火をおこすからちょっと待ってて」

焚き火にも結界を張ってくれたのでハナがギリギリまで近寄っている。


「テーブル出したよ」

「ありがと!」

 アウトドア用のテーブルについたハナの両手と葡萄を浄化して、お皿に乗せた葡萄をハナに渡す。


「おいしー」

 種や皮が多くてもハナは気にならないようだ。ワイン用の葡萄は種や皮などタンニンの含まれる部分が多くて酸味が強いがハナは気にせず皮ごとプチプチ食べている。自分で選んだ葡萄を摘みたてで食べるシチュエーションで余計に美味しいのだろう。


「私たちは基礎を作っちゃおうか」

「外側はレンガ作りにしよう、カナにはレンガを頼みたいんだ。素材はこの前ついでに採取したよね」

「うん」

瓦作りの時のような感じか。



「ハナ、ここは出入り自由だけど遠くに行かないようにね」

「わかった!」

 分かったと言いながら走り去るかと思ったら葡萄を食べ終えたハナは焚き火に寄り添って目を細めている。



 何もない場所でインベントリから砂や粘土、水を出して土魔法で混ぜて練り合わせる。…ひたすら練り合わせる。

 練り合わせたらレンガの形に成形。成形したら乾燥、インベントリに入れて水分だけ少しずつ取り出してちょうど良い状態にした。


「アルバロー、窯だしてー」

 瓦を焼いた時の窯はアルバロのインベントリの中なので出してもらって中に乾燥させたレンガを並べた。


── 続きは午後だな。お腹が空いたからお昼にしよう。今日は鍋だ、鍋。


 自分を浄化してからアルバロが張ってくれた結界に戻るとハナが焚き火の前で右半身を温めたり左半身を温めたり向きを変えながら温まっていた。



 まずはお鍋の具材の用意。

青梗菜、ネギ、もやし、ニンジン、大根、豆腐、しめじ、椎茸、舞茸、にらを食べやすい大きさにカット。


 次に肉味噌作り。

みじん切りのにんにく、しょうがと挽き肉を炒めて甜麺醤、豆板醤、酒で味付け。ハナがいるから辛さは控えめだ。肉味噌を後乗せにしたいから少しだけ取り分けておく。


 ここに水、スープの素、味噌、砂糖、醤油、酒、すりおろしたにんにく、練り胡麻と多めのすりごまを入れて沸騰させて、灰汁が出たら取る。カットしておいた野菜を入れて煮込んで完成。


「いいにおい」

いつの間にか隣でハナがフンフンしている。


「今日は担々鍋だよ。アルバロ呼んできてくれる?」

「うん!」



「アルバロ、ごはんー!」

寒がりのハナが元気よくアルバロを迎えに行った。


「うわあ、お腹が空く匂いだね!」

「今日は冷えるからお鍋にしたよ」

ハナによそってやりながら答える。


「熱いからふーふーしてね」

「うん!」

ハナのふーふーが可愛い。いつも真剣な顔でかなり慎重に冷ますのでつい見てしまう。


「おいしー」

「野菜もきのこも豆腐も美味しいねえ」

「〆はラーメンにするからお腹に余裕を残してね」



 具材をほとんど食べ終わったので、あらかじめ茹でてインベントリに入れておいた生麺を投入した。

麺とお汁を取り分けた上に半熟ゆで卵と青梗菜、取り分けておいた肉味噌を乗せて〆のラーメンの完成。

「さあ、どうぞ」


「おいしー」

「担々麺に半熟ゆで卵は乗せないんだけど辛味がマイルドになって好きなんだ」

「僕も好き。ご飯でも美味しいと思う」

全員で汁まで残さず完食した。



 辛い鍋で身体が温まったので午後の作業を再開。ハナは元気に遊びに行った。


「レンガはあとは焼くだけだよ」

「今日はリザがいないから僕の火魔法で焼くね」


ぼん!っと火がついた。


「ハナが近づき過ぎないように結界を張ったよ。このまま丸1日以上かけて焼成。焼成後はレンガに亀裂が入らないようにゆっくり冷ますから放置で大丈夫」

アルバロの火魔法はタイマー設定出来るらしい。


 レンガは放置なので建設を手伝う。アルバロが午前中に基礎を完成させてくれたので軽々と丸太を組んでやった。



アルバロとハナと一緒に通って醸造所が完成した。

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