第139話 別邸とログハウスを並行建設
翌日も祝福の木の鑑定と治療を終えてから建設作業に合流した。今日も隅々まで鑑定したけど新たに病気の部分は見つからなかった。今日も肥料をぐんぐん吸収していたので病後の体力回復も順調と思われる。
建設作業に合流してから温度の下がった竈門を確認したところ、ちゃんと瓦が出来ていた。
ドラゴン化したリザが豪快に火を吹いて焼いた瓦だ。高温で長時間焼くと丈夫な瓦が出来上がるとのことだったが、リザが燃やし過ぎて消し炭が出来上がるのではと冷や冷やしていたのは内緒だ。
「立派な瓦が出来たね!」
「これをインベントリで複製してくれる?」
「うん」
インベントリに瓦フォルダを作って収納、コピ&ペ、&ペ&ペ&ペ&ペ&ペ&ペ…で増やしまくった。万が一落ちても飛べるからという理由で瓦はリザが担当してくれることになった。リザが人型でも飛べると知って羨ましくてならない。
今日は父さんと私で力仕事、アルバロとハナが細かい作業という振り分けだ。ハナは遊びの延長だがハナが飽きないようアルバロが上手く付き合ってくれてありがたい。
父さんと私はハイ・ヒューマンになったおかげで力仕事を軽くこなせるので楽しくて顔がニヤけてしまう。空は飛べないけれど巨大な木材を片手で楽々運べる。
「壁も床もいい感じじゃない?」
「仕上げは僕に任せてよ!リオとカナは庭園をお願い」
「任せておけ」
私と父さんは引き続き土木作業だ。アルバロの設計図通りに庭石を運んで池を掘って木を移植する。ハナは私と父さんの間をチョロチョロしていたかと思ったら今は松ぼっくりに夢中だ。
「ハナ、ここに椿を植えようと思うんだけどどうかな?」
「おばあちゃんが好きだった冬の木!ハナも好き」
別邸の庭園にハナと一緒に椿を植えた。
「椿はこれで充分だね。ハナ、お散歩行こうか?」
「うん!」
庭園の作業がひと段落したので翌日からログハウスの近くにハナの好きなフルーツを召喚魔法(インターネット通販)で取り寄せて植えた。
これらは高レベルのダンジョンにもアルバロが植えた。もしも家族以外の人にお裾分けすることがあったら先代がダンジョンから種を持ち帰ったと言うことになっている。
リンゴはふじと紅玉。ふじは酸味と甘味のバランスが良くてシャキシャキで美味しいからフレッシュなまま食べる。紅玉は加熱しても煮崩れしにくくて風味も良いのでスイーツにする。裏山の果樹園で収穫した紅玉で作るアップルパイってなんか良いよね。
桃は迷わず白鳳!甘くてジューシーで大好きな高級フルーツだ。
栗はがんね栗、粒が大きくて味も良い高級品種だ。収穫出来るようになったらこの栗で渋皮煮やパウンドケーキを作ってあげよう。栗は熊に生まれ変わってハナの大好物になったので喜んでくれるだろう。
梨は赤梨系品種の新甘泉、甘味が強くて美味しい品種だ。普通の流通に乗らないかおり梨も植えた。これは製菓店勤務時代に仕入れられないか検討した時に試食して忘れられないほど美味しかった。1玉2kgのインパクトある大きさも嬉しい。
もちろんラ・フランスも植えた。甘くて優しい舌触りが最高だ。
みかんは紅まどんな。これは多めに植えた。冬のこたつのパートナーとして多めに必要だから。
葡萄はナガノパープルとシャインマスカット、さくらんぼは佐藤錦とアメリカンチェリーのビング。美味しい品種を植えまくった。
アルバロとハナの強い希望で温室も作った。しかも超広い。何種類も育てるから絶対に必要だとアルバロとハナが譲らなかった。苺だけでも紅ほっぺ、とちおとめ、あまおうと3品種を植えた。
メロンは夕張メロンとアールスメロンとエメラルドメロン。アールスメロンは化粧箱に入って売られている高級品種なので実は私も収穫を楽しみにしている。
マンゴーは濃厚な甘みのアップルマンゴーとマンゴーの王様アルフォンソマンゴー。
パイナップルは豊かな香りと穏やかな酸味と強い甘みのスィーティオ。白い果肉のピーチパインとハニークリームパイナップル。
この他にバナナとスイカとキゥイと柿も美味しい品種を取り寄せて植えた。甘味よりも酸味が強いグレープフルーツはアルバロとハナが無関心だったが私が食べたいので白いのとルビーを植えた。
フルーツの木を植える途中で『ナッツ類も収穫出来たらいいのにね』という私の考え無しの発言でハナの目の色が変わり、胡桃とアーモンド、ピスタチオ、ペカンナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、カシューナッツも植えることになった。
ナッツに対してこたつ並みの執着を見せるハナを見て熊に生まれ変わったんだなと実感した。
今後は放置状態なのに毎年実をつけてくれる我が家の柿、柚子、サルナシ、あけび、びわ、柘榴、無花果もちゃんとお世話をしようと思った。
放置するままで実がなればハナが食べたり鳥が来て食べたり余れば地面に落ちて土に帰るの繰り返しだったが、お世話をすればするほど美味しい実をつけてくれるだろう。




