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第135話 源泉を汲み上げたい

 翌日は朝から父さんとアルバロと一緒にお湯を汲み上げる小屋を作って回った。ハナはリザと一緒にお散歩ダンジョンだ。


 基礎だけはしっかりと作って同じデザインの汲み上げ小屋を複製して設置、基礎のセメントは召喚魔法(インターネット通販)で取り寄せて、魔物避けの魔法陣を地面に直接描くと崩れることがあるので魔物避けの魔法陣は小屋に刻んだ。

 念のために小屋は複製してインベントリに保存してある。温泉の影響で早めに腐敗する可能性があると考えたからだ。定期的にパトロールして様子がおかしくなったら、どんどん交換してゆく予定だ。


 魔物たちの場所を奪わないよう小屋は小さく控えめに作った。

アルバロが見慣れない魔法で地形を変えたり基礎工事を遠慮なくドカドカやったせいで、やべー奴らだと思われたようで魔物たちが遠巻きにヒソヒソしてた。

 下見に来た時はフレンドリーに威嚇してきたのに。



 小屋は、ほとんど魔法で作ったけど釘をうったりかんなを使ったりもした。

 勢い余って金槌が後ろに飛んでいった時、魔物に攻撃されても防御出来るよう片手に魔力の塊を纏わせてバチバチ言わせながら拾いに行ったら露骨に避けられた。


 魔物たちが落ち着かないので早めに終わらせるよう頑張って1日で完成させた。



「汲み上げ小屋は出来たね!」

「今日はここまでにしておくか」

「帰ってご飯の支度をしないと」


大工道具を片付けて我が家に帰った。


「今日はご飯の支度をサボりたい…」

「召喚魔法(インターネット通販)で取り寄せるか」

「じゃあ画面を立ち上げるね、何が食べたい?」


 たまたま最初に開いた画面がフランスの冷凍食品専門スーパーマーケットのピカ○ルだった。


「そのパイがいい!」

 アルバロが指さしたのはココナツ風味のビスキュイにバニラムースとフランボワーズを挟んだフランボワーズのケーキだった。

「はいはい、デザート類もたくさん買おうか?でもハナも食べたがるからなあ…」

「ハナは一度にたくさん食べられないから、ぐずるぞ。アルバロ、2種類だけ選べ」

「ええー」

「残りはまたの機会の楽しみにしておこうよ」

「…じゃあリンゴのクランブル!」

 なんだかんだ言ってハナと分けやすい形状のスイーツを選んでくれるからアルバロはいいやつだ。


「ハナちゃんが好きな鮭も買わないと。サーモンとタラのオゼイユソースも注文だ。リザには仔牛のホワイトシチューのバターライス添え、豚肉のマスタードソテー、牛肉の赤ワイン煮込み、ラム肉のステーキもだ」

「リコッタとほうれん草のカネロニも食べたい」

全部カートに追加した。

「もう充分か?」

「そうだね」


── どすん!


 注文を確定させたらキッチンに届いたので表示通りオーブンで温める。焼くことさえ面倒なんて思っちゃいけない…これだけ丁寧に作ってある美味しい料理を温めるだけで食べられるなんてありがたい…。


「父さん?」

「セットになってる分だけじゃ鮭が足りないだろ」


 父さんがインベントリから鮭を取り出して調理を始めた。ハナの好物の鮭を足してやるつもりのようだ。

 トロワグロ兄弟による有名な料理、サーモンのオゼイユソースは父さんの得意料理でソテーした鮭にオゼイユという少し酸味のある青菜のソースが美味しいのだ。


 父さんがハナのために鮭を料理してくれているので私はリザのためにIKE○Aのミートボールを温めた。…父さんと違ってミートボールもソースもマッシュポテトも冷凍を温めるだけだけど美味しいからいいのだ。



「ただいまー!」

 ハナとリザが騒々しく帰ってきたので慌てて玄関に迎えにいって浄化した。思いっきり暴れてきたようだ。


「いい匂い」

ハナがフンフンする。

「お肉の匂いがします」

「ハナもリザも当たり」


「お腹すいたー」

ハナがキッチンに飛び込んでゆく。


「おかえりハナちゃん、すぐご飯にしような」

「ありがとパパ」

父さんの足元をチョロチョロするハナを抱き上げると父さんとアルバロが料理を運んでくれた。



しゃけ!」

「このくらい食べられそう?」

「うん!」

ハナに鮭を大きく取り分ける。

「お肉も食べる?」

「うん」

全部のお肉を少しずつ取り分けてやる。

「ありがとカナちゃん」


「いろんなお肉がありますね、どれも美味しいです」

「たくさん食えよ」

 自炊より割高だけど冷凍食品はいろんな種類の料理を出せるのでリザにも喜んでもらえた。自炊だと同じ味付けでお鍋いっぱいに作るので今日のようにいろんなものを少しずつ試せる日があると嬉しい。


しゃけもお肉もおいしかったー」

ハナが満足顔で完食した。

「僕もごちそうさま。カナ?」

「はいはい、ちょっと待ってね」


 解凍したフランボワーズのケーキと、オーブンから出した焼き立てのリンゴのクランブルとお皿を持って戻る。


「甘いにおい!」

「今日は特別だよ」

「やったあ」

 フランボワーズのケーキとリンゴのクランブルを少しずつハナに取り分けてやる。

「ありがとカナちゃん」

 残りは全部アルバロの分だ。アルバロの胃袋は甘いものだけ別腹だけど別腹の容量がすごい。


「おいしー」

「気に入った?」

「うん。こうやって食べるリンゴもおいしいね」


今度時間がある時にアップルパイを焼いてあげようと決めた。

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