第129話 裏山計画
我が家に帰るとハナがコタツに直行したのでスイッチを入れてやる。
「暖かくなるまで少し待ってね」
「ありがとカナちゃん」
全員でコタツに入ってお茶とみかん。
「暖かーい」
「お茶とみかんとコタツの組み合わせは麻薬だな」
「このみかん美味しいね」
コタツにお茶とみかんの組み合わせが最高で全員ここから動けなくなりそうだ。
「ねえ、王都で相談した裏山の計画を覚えてる?」
「もちろん覚えているよ。でも明日からね」
アルバロもコタツで溶けてしまって今日はもう動けないようだ。
王都の家でアルバロとハナと一緒に裏山にコテージを作る計画を立てていた。魔法陣で簡単に裏山から我が家に戻って来られるけど、裏山はハナも気に入っているし使い勝手の良い拠点が欲しくなったのだ。
主な目的は裏山で採取した薬草やキノコやフルーツを貯蔵したり加工したりする場所で、夏は避暑のための場所にしても良い。
ハナの希望で近くにいろいろなフルーツを植えることになったし頻繁に行くことになるだろう。
外観はログハウス風で決まりだけど、土台に火事防止の魔法陣や防腐や防音、断熱の魔法陣も刻んで頑丈で快適な作りにする。
内装は洋風で冬は憧れの薪ストーブで温まる予定だ。こっちの我が家が純日本家屋なのでコテージに畳は無しだ。
「出入口は大きく作った方がいいかな?」
「どうして?」
「ほら、ハナが大きくなったら狭く感じるかもしれないじゃない?」
「ハナは成人してるから今以上に大きくならないよ」
アルバロの一言で固まった。
── こんなに可愛いのに!?
「え…じゃあハナはずっと抱っこにちょうどいい大きさ?」
「うん。ハナとカナが気に入ってるペットスリングはずっと使えるよ」
「ええー!嬉しい、ハナ可愛い〜!!」
思わずハナをぎゅうぎゅう抱きしめた。
「大きくなっても可愛いだろうけど、こうやって抱っこ出来るのが嬉しいなあ」
「ハナもカナちゃんにぎゅってされるの好き」
アルバロや父さんやリザの存在を忘れてハナといちゃいちゃした。
実は大きくなったハナに抱っこされてモフモフに包まれたいと夢見ていた。私を抱っこ出来るくらい大きくなってほしいと期待していたけど今のハナが最高に可愛いくて大好きだから嬉しい。
嬉しいので、今日は贅沢なことしちゃおう。
「ねえ父さん、今日の晩ごはんは召喚魔法(インターネット通販)でおでんを買って温めるだけにしようよ」
「そうだな、今日は出来るだけコタツにあたっていたい」
「じゃあ買うね」
コタツに入ったまま専門店のインターネット通販をポチポチした。
お膝に座ったハナが食べたいものを指差すので、どんどんカートに追加する。大根、タコ、たまご、はんぺん、がんも、つみれ、結び昆布、ツブ貝串、こんにゃく、もやし揚げ、紅生姜揚げ、紫蘇巻き、ごぼう巻き、湯葉、ロールキャベツ、シラタキ、うずら串、牛すじ串、厚揚げ、焼きちくわ。季節限定の銀杏巻きも美味しそうだからカートに追加。
リザは足りないだろうからインベントリから作り置きの肉を出そう。野菜はインベントリに酢の物とインゲンの胡麻和えと牛蒡サラダがあったな。
ついでに別の店舗であれも買っちゃおう!決済ボタンをポチ。
どすん!
キッチンに届いたので仕方ない…強い心でコタツから出た。土鍋を出して届いた具材と出汁を入れて火にかけるだけの状態にして、ついでに買ったあれを持ってコタツに戻った。
「今日は特別だよ」
「甘いにおい!」
ハナがフンフンする。
「アイスだよ。おこたでアイスって贅沢だよね」
「やったあ!」
お茶を淹れなおしてアイスを配る。アルバロだけ500mlの大きなサイズだ。
「おいしー」
ハナは牛乳大好きなのでバニラアイスも気に入ったようだ。
「あっという間に無くなっちゃう、アイスって儚いね」
アルバロは500mlをもりもり食べて儚いは言い過ぎだと思う。
夜のおでんも美味しかった。専門店の練り物はスーパーで買う練り物とは違う美味しさでいつもよりたくさん食べてしまった。




