第119話 真珠の加工
王都の家は最低限住めるようになったが、まだまだ手を入れないと快適には遠い。父さん達が張り切っているので今日の修復は任せて私は真珠を加工したい。
アンティーク・ジュエリーもモダンなデザインも好きなので作りたいものがたくさんあるが、素材の真珠がたっぷりあるから全部作れるだろう。楽しくて仕方がない。召喚魔法という名のインターネット通販でカタログを取り寄せて留金の仕組みはパク…模倣して創造魔法で作った。
── 織物が盛んなドス・グラントでフォーマルも仕立てたから正装する機会があったらいいな。
今度ダンジョンで大きな宝石が出たら宝石を中心に3連チョーカーも作ろうっと。小ぶりな宝石を真珠と合わせても可愛いよね。
…… リザは宝石に興味ないんだよね。真珠のダンジョンでも良さを伝えようとしたら逃げられたし。
加工がひと段落したところでノックの音がした。
「カナ、ちょっといいか?」
「どうぞ父さん、どうしたの?」
「すごいな、全部作ったのか?」
「うん…父さん」
「なんだ?」
「リザは宝石も真珠も興味ないみたいだけどリザも正装する機会があると思うから私とお揃いで作ったよ。普通に渡したら存在さえ忘れちゃいそうだけど父さんが贈れば喜んでもらえると思うよ」
「そうか…そうだな。全然気づかなかったよ」
「リザが興味無いもんね」
「そうなんだよな」
「今度、大きな宝石が出たら宝石と組み合わせてチョーカーとか作りたいんだ」
「じゃあ気に入ったのがあったら売却せずに残そう」
「リザのは父さんが石を選んでね」
「加工も俺がやる」
「きっと喜ぶよ」
「だといいがなあ…食い物の方が喜びそうなんだよなあ」
── それは同感だ。
「小さい宝石も小ぶりな真珠と組み合わせて普段使いのアクセサリーに加工したいんだ」
「じゃあカナが気に入ったものは残そう」
「ありがとう。じゃあこれはリザの分ね」
チョーカーや指輪など一式と、宝石と合わせて加工する用に厳選した真珠を渡す。
「サンキュー」
「そういえば父さんの用事はなんだったの?」
「忘れてた!外壁は近所と合わせた色にしたが内装はどうする?」
「壁は白い方が明るくていいよね」
「ドアや窓枠も白か?」
「悩ましいね!見に行く。みんなで決めようよ」
リビングに行くとリフォームが進んでおり、かなり綺麗になっていた。魔法で見た目が変わるのが楽しいらしく、ハナがアルバロの足元ではしゃいでいた。
「すっごく綺麗になったね!」
「まあね!壁は白でいいかな?」
「賛成!」
リザとハナと父さんは何色でもいいと言うのでアルバロと私の好みで窓枠とドアは水色に決まった。
「ねえ、窓ガラスって1枚ガラスじゃ無いんだね」
「大きなガラスを作る技術も広まっていないし運搬でダメにしちゃうからね」
1つの窓が和室の障子のように小さなガラスの組み合わせで出来ている。
「ステンドグラスもいいよねえ。光を通したいから大部分は透明なガラスがいいけど部分的に」
「それは素敵だねえ」
リザと父さんとハナにも意見を聞いたがどっちでもいいという無関心な答えが返ってきた。




