第117話 焚き火ご飯
「長い間、お世話になりました」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「リオさん達がいてくれて良かった」
売買を終えてグロリアさんが経営する女性客限定宿の鈴蘭亭を退去した。
トニーさんが毎日やってくるようになり、グロリアさんが1人で無理をすることも無くなった。ずっと不安そうだったミーナちゃんが今では元気いっぱいにトニーさんに甘えている。ミーナちゃんはすっかりトニーさんに懐いており私たちも安心だ。3人が家族になるのも時間の問題だろう。
購入した廃墟に移動して庭に馬車を出す。住めるようになるまで表向きは馬車泊だ。
「じゃあ浄化するぞ」
父さんと2人で家全体を浄化すると廃墟がボロ屋になった。修復魔法で門や家の金属部分の錆を落としたところで本日の作業は終わり。ハナを連れて辺境の森林地帯にやってきた。
お散歩がてら魔物を倒して、ついでに間引きした方が良さそうな場所で木材を採取した。インベントリの中で水分を分離させればすぐに使える。木材化はアルバロがやってくれたが角材や板にした残りの木屑が出た。
「だいぶ木屑が出たね」
「今日は王都の家で焚き火料理にするか」
「焚き火料理ですか?」
「焚き火で肉を炙って食おう」
「いいですね!」
リザが大喜びだ。
肉やベーコン、ソーセージや野菜を串に刺したら薪を組んで火をつける。
ザワークラウトのような発酵キャベツとベーコン、ソーセージ、ジャガイモを煮込んだシュークルートを煮込む側で串に刺した肉や野菜を焼いて食べる。
「炙ったソーセージにはマスタードな」
「おいしー」
「ハナちゃんも気に入ったか?ラクレットチーズもあるぞ」
父さんが大きなチーズの塊を炙って溶けたところをみんなのお皿に落としてくれる。炙った肉と野菜に合う。
「美味しいです…全部美味しいです…」
リザが涙目になるほど気に入ったようだ。
「良かったな!シュークルートもいい感じだ。これもマスタードが合うぞ」
父さんがシュークルートも配ってくれた。
「おいしー」
ハナも気に入ったようでたくさん食べている。
「アルバロとハナにはデザートだよね」
「何かあるの!?」
「焼きチョコバナナにするよ」
バナナに切り込みを入れてチョコを挟んで焼くだけだ。
「そろそろいいかな」
焼けたところをアルバロとハナのお皿に乗せてやる。
「おいしー」
「バナナって焼くとフワフワするんだね!美味しい」
味が濃いからハナが二口で満足したので残りは全部アルバロのお腹におさまった。焚き火ご飯は楽しくて美味しかった。
明日もリフォームを頑張ろう。




