第116話 王都の3LDK
「こんにちはー」
「カナ?今日はどうしたの、デニッシュの売り込みはまだ時間がかかるわよ」
「今日は別件、王都の家の相場を知りたくって」
「そういうことね!うちで1番の担当者を紹介するから座って待ってて」
クラリッサは話が早いし行動力もあって頼りになる。
座って待っているとクラリッサがたれ耳の犬っぽい獣人の女性を連れてきた。すっごく可愛い。愛犬時代のハナを思い出す。愛犬時代のハナは油断していると耳が半分垂れていることがあって可愛かった。
「紹介するわ、不動産担当のゾエよ」
「本日はよろしくお願いします」
「はじめまして、カルピオパーティです」
クラリッサは紹介だけして手を振って戻っていった。
「まだ買うと決めていないんですが王都で家を持つ場合の相場を知りたくて」
「条件によって変わりますのでヒヤリングさせてくださいね、広さやエリアのご希望は?」
「代々暮らしてきた家というか領地というか、拠点はあるんだ。そこを放棄するつもりはないし冒険者の仕事で各地を回るので、たまに王都に来た時だけ使う家があったらと思っている。だから最低限でいいんだ」
「私と父さんは錬金スキルとかもあるから古い家を自分たち好みに改修できるの。防犯の魔法陣も自前で用意できるから長期留守にしても大丈夫」
「なるほど…本当にボロボロでよろしければ2,000万シルくらいで庭付きをご案内できますよ」
「買えちゃうね」
「そうだな」
「現地を見てみますか?」
「是非!」
2,000万シルくらいで買える庭付き物件は中心部に近い3LDKと城壁に近い4LDK。どちらも立て直しに近いレベルのリフォームが必要だった。
「ご予算を上げれば広い物件や綺麗な物件をご紹介できます」
「年に1回来るかどうかの家を豪華にしてもねえ…(魔法陣で我が家に戻るし)」
「俺は自分で建ててみたくなったぞ!」
とりあえずこの2つで検討しようという事になって我が家に帰った。
「便利な方がいいよね、私は中心部に近い方がいいなあ」
「市場が近いのはいいな」
「それに大きな栗の木があったよ」
「あの栗の木は俺も気に入った!リフォームするならどこかで木材を調達しないとな、セメントは召喚するか」
そんな話をしているうちに完全に買う気になっていたしリフォーム計画も煮詰まったので翌日買いに行った。
「決断、早いですね。ほとんど廃墟ですがよろしいですか?」
「スキルがあるからな!」
「はい、2,000万シル」
キャッシュで買った。




