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第109話 ハッピーエンド

「ただいまー!」


「おかえりなさい」

「ミーナちゃん、お母さんはどう?」

「少し起きてまた寝ちゃうの」

「貧血だもん、起きていられないよね。ゆっくり休んでもらおうね」

「うん」


「晩飯の支度をするぞ。今日はハンバーグだ」

「ハンバーグって何?」

「お肉を美味しく食べる料理ですよ」

「リザはお肉なら全部同じ感想じゃん」

「む!ちゃんと味わってますよ」

「確かに味わってるよね、ごめんごめん」



 父さんが大量のお肉をミンチにする。残ったミンチは明日の食事に利用するつもりのようだ。

 その横で私はコーンスープの準備。フードプロセッサー無しでとうもろこしから大量に作るのは結構大変なのでハイ・ヒューマンの体力と腕力がありがたい。


付け合わせはにんじんとインゲンのソテー、クリームドスピナッチ、切っただけの完熟トマト、茹でブロッコリー、ハッセルバックポテト。


出来上がった頃に宿泊客の皆さんが続々と帰ってきたのでハンバーグ定食を出す。


「ふわふわでジューシー…」

「美味しい…」

今日の夕飯も好評だ。グロリアさんとミーナちゃんも美味しいと言ってくれている。


「今日も来たのか」

「気になって…」

トニーニョさんは代金を支払うと言って夕飯を食べに来た。大柄な軍人さんなので父さんは大きなハンバーグを焼いた。

「美味しいですね」

「焼くのもコツがあるんだ」


「おいしー」

「ハナちゃんも気に入ったか、また作ろうな」

父さんは今日もハナの下僕のようだ。



夕飯の後はお片付けしてお湯を出したら宿の仕事は終わりだ。


 翌日も朝食の準備と部屋の浄化と洗濯。洗濯が終わる頃、宿に冒険者ギルドの使いの人が来た。ハナをアルバロとリザに託して父さんと一緒に行ってみたらクラーケンの肉を買い取りたいという話だった。20kgほど買い取りしてもらって200,000シルになった。イカにしては高級すぎるけどクラーケンは美味しいのだ。


 宿に帰って昨日のミンチを使ってミートソースをたくさん仕込んだ。今日はパスタで食べて明日はコロッケにリメイクだ。


 トニーニョさんは今日も夕飯を食べにきた。

「気になって…」


 夕飯の後はお片付けしてお湯を出したら宿の仕事は終わり。そんな毎日を繰り返した数日後、グロリアさんから状態異常が消えた。


「お母さん、良かった…」

「心配掛けてごめんね」

 ミーナちゃんがグロリアさんにしがみついて泣き出した。2人きりの家族で不安だったんだろう。宿泊客の皆さんも安心したようだ。



「それでトニーニョさんとグロリアさんはどうするんですか?」

 空気を読まないリザがぶっ込んできた。


「どどどどどどうするって?」

「なになになになになにを?」


── トニーニョさんとグロリアさんが動揺している。うちのリザがすみません。


「お2人は好きあっているように見えるのでつがうのかと思っているんですが?」


── 直球だった。宿泊客の皆さんも注目してしている。



「付き合ってほしい」

「はい」



 トニーニョさんはグロリアさんのことをずっと好きだったらしい。トニーニョさんは軍属だったグロリアさんの同僚で告白出来ないままグロリアさんはマテウスさんと結婚。マテウスさん亡き後もなにかと力になってきたそうだ。


「安心したよ」

「私たち、明日出発するね」


 成り行きを見届けた宿泊客の皆さん全員、明日出発するという。みんな心配で出発を延期していたっぽい。良い人たちだな。



 私たちはまだ王都に用があるので延泊します!

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