第102話 旅の昼ごはん
「オスカル様の従魔のカナリアはいい性格だったね」
「でもオスカル様はローザにメロメロみたいだね」
意外だねと話しながら浄化して回る。オスカル様の従魔のローザが面倒そうだったので絶対に距離を縮めたくないと思い、その日のうちにルースラゴスを出た。
王都へ向かう旅の途中で浄化が必要なエリアはすべて浄化するから旅の進みは遅いがこれで良いのだ。商人や旅人の皆さんが安全に移動できるようになるなら、ちょくちょく立ち止まって浄化する甲斐がある。
退屈だとぐずるハナの子守はアルバロだ。今日もアルバロの抱っこにハナがビチビチ跳ねて抵抗している。頑張れアルバロ。
「こっちは、もういいみたい」
「じゃあリオとリザの方を手伝おうか」
アルバロがハナを下ろすと父さんたちの方へ駆け出してゆく。ポフポフの丸い尻尾とお尻が可愛い。
「こっちも終わりました」
「ハナちゃん、迎えに来てくれたのか?」
父さんにわしゃわしゃされてハナが喜んでいる。
「お腹すいたー!」
「そうだな、そろそろご飯だな」
旅の間はキャンプ飯だ。
「今日の昼飯はクラムチャウダーとハンバーガーでどうだ?」
「ハンバーガー好き!」
「美味しいですよね!」
ハナもリザも大喜びだ。
「カナのバンズに俺の特製ハンバーグ、たっぷりのチーズ。半熟目玉焼きとアボカド、レタスとトマトも挟んだぞ。おかわりあるからな」
「おいしー!」
ハナを溺愛する父さんがハナが食べやすいサイズで作って紙に包んであげたら上手に食べている。両手でハンバーガーを持ってかぶりつくハナが可愛い。
「おかわりください」
父さんと私がハナにデレている間にリザは1個目を完食した。父さんはリザには特別にハンバーグを2枚挟んでいた。早食いだけど綺麗に食べるし味わっているから凄い。食事の度に父さんと私のリザへの好感度が上がってしまう。
「このスープ美味しい!」
アルバロはクラムチャウダーが気に入ったようだ。
「今日のクラムチャウダーはニューイングランド風だね、美味しい」
「種類があるの?」
「ニューイングランド風は白いクリームスープ、ボストンクラムチャウダーとも言うかな。マンハッタン風は赤いトマトスープなんだよ」
「へえー」
「今度、マンハッタン風も作るか」
「父さんのクラムチャウダーはニューイングランド風もマンハッタン風も、どっちも美味しいよ」
「そうか?そうか?」
父さんがそわそわしてる。明日の昼もクラムチャウダーかもしれないな、美味しいから大歓迎だ。
美味しいお昼に満足したハナを遊ばせたり、採取したり、浄化したりしながら、のんびりと王都を目指した。




