第101話 オスカル様のパートナー
「オスカル様ー!依頼達成ですよー」
「はーい!」
翌日、冒険者ギルドの受付で依頼票をヒラヒラさせたら奥からオスカル様が嬉しそうにやってきた。
「指名依頼の達成ありがとうございます」
「ハナ、シーフードのダンジョンもう行かない」
ハナにしてはキリッとした顔つきで宣言した。
「ハナちゃんには退屈な依頼でしたか、ごめんね」
「カナちゃんとパパが『待ってね』ばっかり言うの!」
「ごめんごめん。でもハナちゃんの我慢のおかげで助かる人がいるんだよ」
「もう行かない」
ハナがプイっとした。
オスカル様の麗しいお顔もハナには効果無しだ。
「すっかり嫌われちゃいましたね」
「もしかして…」
「私もテイマーのスキル持ちなんですよ。パートナーのローザをご紹介しますね」
オスカル様が呼ぶと美しい鳥が飛んできてオスカル様の肩にとまった。
「ぴい!」
「カナリアのローザです」
オスカル様に引けを取らない美しいカナリアだった。
「とっても綺麗ですね!」
綺麗なオスカル様と綺麗なカナリア。カルピオパーティ全員が頬を染めて見惚れた。
「世界で1番綺麗だなんて…正直な人たちね」
ローザは結構いい性格だった。
頬を染めて片翼を顔にそえるローザの羽は綺麗だが世界で1番までは言っていない。
「あら、これは?」
「ダンジョン職員の皆さんに実物を納品したんだが同じものを差し入れようかと思ってな」
「たくさんドロップしたので良かったらどうぞ」
「あらあらあら!まあまあまあ!フルーツね!」
いい性格のローザが大喜びだ。
「ダンジョンのフルーツおいしいよ!」
うちの本当に可愛いハナちゃんがニコニコでおすすめする。
「気に入ったわ!オスカル、私の美しさを理解できる上に手土産まで。珍しく礼儀正しいパーティね」
……どこから目線なのかローザはとても偉そうだった。
「ローザは高貴過ぎるのか綺麗過ぎるのか、友達がいないんですよ。カルピオパーティと打ち解けてくれて嬉しいな、ねえローザ?」
── いやいやいや!全然打ち解けていませんから!
「いやあ…」
「私たち急ぐので…」
商業ギルドに用があると言って逃げるように冒険者ギルドを出た。商業ギルドに行ってみるとコンフィチュールの委託販売を引き受けてくれることになったので、たくさん納品した。
目的だったシーフードもたっぷり仕入れ済みだし、さっさと逃げ……王都に行くことにした。




