第99話 採取の日
今日は街の外の森に来た。
散策して薬草を摘んでハナに気分転換させるのだ。近場だと駆け出し冒険者の仕事の邪魔になるので車…じゃなくて馬車をかっ飛ばして遠くまで来た。
「マッピングの地図に人間が反応しないから自由にして大丈夫そうだね」
「ハナちゃん、思いっきり走ってもいいけど見えないところまで行っちゃだめだぞ」
「わかったー!」
分かったと答えながら走っていって見えなくなった。誰も近くにいないと気づいたら戻ってくるだろうからマッピング地図でハナの位置を確かめながら採取を始めた。白熊のアイコンがぴこぴこして可愛い。
「カナちゃーん!」
さっそくハナが戻って来た。
「泉と木がカナちゃんを呼んでるみたい」
ハナに案内されてたどり着いた場所には聖人の泉と祝福の木。
ぱしゃりと水音がして“おしゃれな睡蓮”と水面が波打った。
あの聖人の泉と祝福の木の仲間だと理解して召喚魔法(インターネット通販)を起動して睡蓮で絞り込む。
「この紫の睡蓮ですね?確定しますね」
OKと波打ったので確定、届いた睡蓮を浮かべると:.゜٩(>◡<)۶:.…と水面が波打った。嬉しいらしい、良かったですね。
泉から水が溢れたのでバケツで受け止めた。
「貴重なお水をありがとうございます」
祝福の木が“最高級発酵リン酸有機肥料”を欲しがるだけ買った。今回の木は5つ欲しがったので5つ買って根元に撒くとグングン吸収して葉っぱを落としてくれたが落ちた葉っぱが前回より少なそうだったので心配になった。
「無理していませんか?もっと肥料を足しますか?」
肥料を多めに必要としたのに葉っぱを落としてはだめだろう。大丈夫だと言うように木が揺れて枝で頭を撫で撫でされた。
葉っぱを拾うよう促されたので、落としてくれた葉っぱをありがたく拾って他に必要なものが無いか聞いたが何もないと言うのでお礼を言って元の場所に戻った。
元の場所は滅多に人が来ないらしく、キノコ類が豊富だった。薬草もたくさん採取した。
「今日のお昼はピッツァにしようか」
生地を仕込んでインベントリに入れてあったので具を乗せて焼くだけだ。採取したばかりのキノコとシーフードとお肉とチーズをたっぷり乗せて焼いた。
「おいしー」
「チーズがとろとろだね!」
ハナとアルバロの機嫌が良い。
この様子なら2〜3日で調査に行けるかもしれないけれど、のんびりと採取を楽しむのもいいなと思った。




