1.設定と来歴
神国ジタフィ、七つの大都市を擁する王国で、実在した神エマカミノナを信仰する宗教の聖地を王都に有する。
魔物による被害は古く、悠久の神話の頃から続いているという。
北の隣国は支配者が定まらず、長く内乱が続き、南の隣国とは聖森が隔て、交流がない。
王国の形は見事に円形となっており北から右回りに闇・水・風・光・火・土と大地の属性がはっきりと分かれていて、中央には無属性の大水晶が存在する王都がある。闇領と光領以外は海に接しているが土領と火領の海側は山に囲まれている上に危険地帯で人里はない。
なぜこのような不自然な地形が生まれたか。
神が作ったからである。
6歳、ステータス閲覧という意味不明なギフトスキルに目覚めた。
人、物が視界に入るとその情報が視界に自動展開されるようになる。
ギフトスキルとは人それぞれ違う、神より贈られる祝福のスキルと言われている。
真っ先に母親にギフトの存在を伝えるも口外しないように言われる。鑑定スキルは極めて希少価値のあるスキルらしく誘拐を恐れた為。
厳密には鑑定ではないのだが、子供の拙い伝え方では鑑定の様なスキルだと思われたようだ。
スキルから得られる情報は6歳の子供では少ししか理解できなかったが、母親の教えでレベルを上げる事の素晴らしさを知り、子供でもできる最弱の魔物狩りとレベル上げに憑りつかれ、日々を過ごした。幼馴染のレオンとアメリアちゃんをレベル上げに誘うもめんどくさい・興味がないとあっさりと断られてしまった。
商人の男の息子セルジオと知り合う。彼は親の仕事上の関係で定住せず、村を転々と回っている。
六十日に一度程度村に来るらしい。来るたびに嫌味を言いながら皆に飴を配るのである。喜んでもらう。
7歳、母親に辞書を贈られる。ステータス閲覧の情報を少しずつ解読し、スキルの珍しさの意味を理解出来るようになる。
将来は冒険者になりたい夢がほのかにあったので自分のスキルの二流具合に落ち込み、幼馴染レオンの驚きの英雄的素質を羨んで一層レベル上げに励む。
最弱のモンスター退治では経験値が入らなくなり、村の暇な警備兵に頼んで二番目に弱い魔物の退治を手伝ってもらう。
容姿が良く、警備兵のおじさんたちに愛想を撒いて可愛がられていたのが幸いした。
子供の魔力の行使については王国法で決まっているために10歳までは攻撃方法は物理一択のみ。
魔力はイヤリングやピアス、腕輪もしくは足輪で制限される。
隣人の一歳年上のレオンが国民の義務である才能鑑定を受け大騒ぎになる。
隙あらば魔物退治したい私とかわいい遊びをしたい友達のアメリアちゃんは方向性の違いで解散する。
8歳、隣村にて教会の神殿から派遣された神官の鑑定を複数人同時に受ける。
初回無料。今なら8歳、12歳、16歳のセットが無料で受けられる。
目的は人的資源の早期発見であり、才能が見つかれば早くにその道へ修行に出るのがこの国では一般的。
四年間隔で鑑定を行う理由は人間の成長期に伴って才能が段階的に発現する者がいるため。
大多数が10代が終わるまでに全てのスキルを発現するだろうと言われている。
母親は私のステータス閲覧スキルが鑑定によって露になり、教会が私を連れて行ってしまうと思ってせめて8歳までは手元で育てたいと教会には黙っていたそうだが、そうはならなかった。
なぜなら鑑定では私のギフトスキルを明らかにすることはできなかったから。
神官が行った私の鑑定結果はこうだ。儀式後、紙に書いて渡された。人によっては家に飾るらしい。
シエナ・ロス(8)女 レベル9
属性:風
スキル
祈り(敵対心減少)
強打(武器攻撃増幅)
武器 特別な才能なし
魔法 水風土闇 才能あり
他 特別な才能なし
適正 風魔術師
正直、これだけか?と驚いた。
私が私を“ステータス閲覧”で見る一部はこうなっている。
▶ギフト
アクティブスキル
祈り(敵対心減少) 消費魔力30 ランクD
強打(武器攻撃1.2倍) 消費魔力2 ランクD
パッシブスキル
ステータス閲覧 ランクSSS
料理(目玉焼き) ランクD
虫よけ ランクA
▶スキル
魔法
火魔法E 最終C+ 早熟(0/9000)
水魔法E 最終B 早熟(0/9000)
風魔法E 最終B+ 晩熟(0/11000)
土魔法E 最終B 普通(0/10000)
光魔法E 最終C+ 早熟(0/9000)
闇魔法E 最終B 早熟(0/9000)
癒魔法E 最終D 晩熟(0/11000)
無魔法E 最終B 晩熟(0/11000)
逆に”ステータス閲覧”で神官のギフトスキルのみを見てみた結果。
▶ギフト
アクティブスキル
鑑定 消費魔力20 ランクB
ガード 消費魔力10 ランクB
パッシブスキル
状態異常耐性(呪い) ランクC
絵心 ランクE
逃げ足 ランクE
神官の鑑定スキルはランクB。
鑑定ランクBでは名前・年齢・現在レベル・属性・アクティブスキルと潜在的な素質しか鑑定できないようだ。
アクティブスキルとは手動発動スキルのことでパッシブスキルとは自動発動スキルのことだ。
村の人々からパッシブスキルの存在を一度も耳にしたことがないのはおかしい。さらに神官にすら見定められなかった。
私のステータス閲覧のスキルランクSSSはやはり異常だと再確認。
聖職者の道には魅力を感じなかったので、申し出ずにさっさと家に帰った。
両親も非常に喜んだ。
9歳、学校が始まった。二日に一度隣の村へ通うようになり、アメリアちゃんと商人の男の息子セルジオも同時に入学する。
先生に戦闘に関する授業態度が素晴らしいと褒められる。一年先に学校教育が始まっていたレオンの規格外ぶりを思い知らされ、奮起して一層レベル上げに励みアメリアちゃんにドン引きされた。
授業への取り組みでは真面目なセルジオとそりが合う。少々嫌味を言うけれど。
大きな事件があり、人同士の殺し合いを初めて間近で目撃する。
10歳、魔法が解禁される。魔法のレベル上げは難航した。
更には将来冒険者として役に立ちそうなスキルを鍛えていくことにした。
男の子に告白され、初彼氏が出来る。近接術のスキル上げに巻き込み三日で破局する。
学校から将来の希望職を聞かれ冒険者と答えれば、幼馴染に養ってくれと言われた。
村の警備兵の数人が配置移動になり三名ほど新人が来る。
前の警備兵とは比較にならない高レベルにスキルの練度、正体は王国の中央騎士団の兵士であった。
揃って所属が同じだ。子供達には知らされないので勿論知らないふりをする。
兵士らの目的は言わずもがな幼馴染の保護だろう。
11歳、男の子に告白され、断るも一週間だけでいいといわれ了承する。翌日なぜか謝られて破局する。
学校で対人訓練が始まる。レベルを熱心に上げていたこともあり、同学年ではほぼ負け知らずだ。
セルジオは才能もあり、真面目なので良きライバルになる。
私は一芸が突き抜けていないからこそ、魔法を広く学ぶことを信条とする。
料理スキルを上げるべく奮闘。スキルのレベルを上げる事のみが目的で調理できる種類を増やすことは残念ながら一切興味がわかなかった。
レオンは学校で王国兵士になる道への勧誘を受けたそうだ。そして一足先に卒業し戦闘に重きを置いたミハウという町の中等教育学校に進学。入寮するそうだ。
12歳、初等教育学校の最高学年になる。
2度目の鑑定を受け、変化なしの結果を学校に提出。進路は冒険者。
両親から一人で村の外に出る許可が下りる。
村からさほど離れていないのに人攫いに襲われるが無事助かる。
レオンと同じ学校に推薦を受ける。面談と筆記試験に合格。
来年からは村を離れることになる。