13話『オカ研』
「いてて……」
「大丈夫ですか先輩。」
「由良…なんで信濃に説明してくれなかったんだよ。」
「私だって、命を張ってまで部長を止めたく無いです。」
「くそぉ…」
まだお腹と顔が痛い……
信濃のやつ、全力で殴りやがって…
「ごめん…加古川…私ついカッとなって…」
僕をノックダウンさせた信濃は少しは落ち着いついて冷静さを取り戻したのか、今は一転して落ち込んでいる。
彼女自身前々からすぐに手を出す癖を直したがっており、大人しくしていれば可愛い少女そのものなんだが…
「い、いいって…ちゃんと説明してなかった僕も悪かったよ。」
「失礼します。」
その時、突然開かれたドアからよく聞く声が聞こえた。
「あの〜、私もオカ研に入りたいのですが…」
声の主はもちろん、天野さんだ。
「あ、あんた!一体誰の差し金でここに来たのよ!」
「え?私は自分の意思で来ましたけど…」
「ま、まさか加古川を狙ってるんじゃ…」
「加古川君と過ごせる時間を少しでも長くしたいと思ったのは事実です。」
あっさりと断言する天野さんに、少しドキッとしてしまう。
「いっ!?」
なにかを感じ取った由良に机の下で足を踏まれた。痛い…
「み、認めない!この部の部長である信濃恋花があなたの入部を認めないわ!」
「でもこの部活って非公認で別に入部届けなんかもいらないですよね?なので…私は勝手に居座るので気にしないでください。」
「くっ!確かに生徒会長のあなたに出さなきゃならない書類申請すらしてないけど…」
「ふふ、じゃあ決まりですね!」
そう言いながら天野さんは僕の隣に駆け寄り椅子に座る
「なに勝手に座ってんのよ!」
「加古川君、今日も一緒に帰りましょうね。」
「え?あ、うん。」
「ちょっと加古川!なにデレデレしてるの!?」
「加古川先輩、幻滅です。」
こうして、ただでさえ賑やかなオカ研に天野さんが加わった。