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『エクストラ』



 退屈な毎日を過ごしていました。


 毎日学校に行って、部活をして、お家に帰って、また学校に行く。

 そんな普通の日常にちょっぴり嫌気がさしてきました。

 村には同年代の人はおらず、大体がおじいちゃんや、おばあちゃん。

 わたしははたして、結婚なんて出来るのでしょうか。

 休日には友達と隣町に行くことはありますが、駅前にいくつかのファミレスと、ハンバーガーショップしかなくて、駅を離れると、何もありません。

 唯一の楽しみは、某大型ショッピングモールに行くことくらいです。


 友達はみんなわたしの事を可愛いですとか、モテそうとか言いますが、わたしの通っている高校は女子校であり、好きな人なんていたことがありません。


 それにみなさん可愛いとか言いますが、テレビに出てくる人達に比べたら、わたしは、普通だと思います。

 唯一胸の大きさだけは、張り合いがあるかもしれません。

 子供の頃はテレビの中の人達がとても身近に感じられ、特に子役と呼ばれる子達は、勝手に友達だと思っていた記憶もあります。そのくらい、幼い頃のわたしは、友達に飢えていたのかもしれません。

 そんなわたしは、今日も何となく、自宅でもある神社を掃き掃除いたします。

 よくあるじゃないですか、こうやって巫女さんが掃き掃除をしていると、見知らぬ男の人が、ふら〜っと、立ち寄ってきたり。

 でもそんな事は全然ありませんでした。


 そんな、非現実的な物語に思いをはせるわたしの前に、夢にまで見た王子様が舞い降ります。

 長めの黒髪に、少し小さめな黒目。見覚えがあります。昔、テレビで天才子役として名を馳せていた、「夜久やく はじめ」こと、げんちゃんです。


 わたしは、突然の出来事に思わず、声が上ずってしまいました。


「あ、あのっ、何か御用ですかっ? 今、その、えっと……」


 こうして、わたしの物語は始まったのです!






「なーに書いてるんだ?」


「わたしが、主人公の物語ですっ」


「なら、巫女服を着ておいた方がいいかもな」


「あうっ……」


「それから、脱衣所に服が散乱してるのもアウトだ」


「あっ……しかもトンチキコーデだったですよね」


「水色とグレーな」


「あ、でも、替えの下着はお母さんに買ってもらった、いいやつで……」


「はいはい、黒いやつですよねー」


「むぅ〜っ!!」

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