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夢の中で会いましょう  作者: 朱希紘
1章 Alice
4/12

1-3

「…と!…やと!隼人!!」

 

 誰かが俺を呼んでいる。

あぁこの声は杏里か。

目を開けると、いつもの風景が広がる。

青い空にいつもの住宅街。

なんなら散歩しているお姉さんと、ストーカー気味のお兄さんも居る。

 そして目の前には杏里の顔。

なぜか胸倉を掴まれている。


「お…おう杏里…」

「どうしたの?急にぼーっとしちゃって、寝てないの?」

「いや…ちゃんと寝てるぞ…」

「そうなの?急に立ち止まって目瞑ってるからびっくりしたじゃない」

「どのぐらい立っていた?」

「は?15秒ぐらい?声かけても反応ないから立ったまま寝てるのかと思った」


 15秒のはずがない。

3分以上はあっちにいたはずだ。

だが俺は夢の中の事だと思っているからそこまで気にしていなかった。


「ごめんごめん。さっ行こうぜ」

「まぁ元気そうならいいけどね」


 当初の目的通り学校へ向かう。

ここから住宅街を抜けた先の商店街を出るととすぐ学校だ。

少し遠く感じるが、朝の運動にはちょうどいい。

家が近い者は徒歩。俺ぐらいの距離だと自転車登校が許されている。

愛理は自転車だが、俺は杏里の件もあるため歩いてきている。

 以前杏里に自転車登校をしないかと聞いたとき、

『漕ぐより歩きたい』

とか訳の分からない事を言って却下された。

 雨の日とか割とめんどくさいのに…。

本人も雨の日にいたっては休みたいとか言っている。

それを言うのは自転車登校してる連中だろと思う…。

一応バスも出ているのだが、最寄のバス停が学校と反対方向にあるため、行きたくないらしい。

これは運賃の問題もある。

 

「今日は来るのかな例の転校生」

「あー…そう言えば昨日結局来なかったもんな」


 杏里から話をされてようやく思い出した。

昨日、悪友こと(はじめ)から転校生の話を聞いた。

しかしあの後、担任から転校生と連絡取れないと今日は来ないとホームルームの時に話された。

 そんな事普通あるか?

当然クラスは一日中ざわついてた。

事故にあったんじゃないかとか、バックれたとか色々言われていたが

結局帰りのホームルームまで姿を現す事はなかった。

 創が一番がっかりしていたのは笑ったが、転校初日で来ないとか本当に事故じゃないのか…姿を見たことないクラスメイトだが音信不通は少し心配である。


「さすがに今日は来るだろ…」


 そう呟いた所でいつの間にか商店街を抜ける。

他の学友達に混ざり校門へと向かう。

杏里は先に行くと言って走って前を歩いていた友達の元へ行く。

俺は手を振り、後を歩く。



――――――――パリン。



 校門を過ぎる瞬間に何かが壊れる音が聞こえる。

この音は…!

最初校内のガラスでも割れたのかと思い立ち止まり辺りを見渡す。

おかしな事に他の生徒は平然と下駄箱へと向かっていく。

 まるでなにも聞こえてないような…。

あの音はさっき聞いた覚えがある。

夢から現実に戻ってきた時と同じ…。


「…いや考えすぎか」


 気のせいだと思い。改めて下駄箱へと向かう。

そもそもあれは夢の世界の話。いわば妄想だ。

それにあんな音して誰も気付いていないのはおかしい。

きっと聞き間違いだ。


「おーす隼人ーどうした元気ないな」


 後ろから創が走ってきて俺の肩を叩く。

下駄箱から学校指定スリッパに履き替え、俺は創の方を向く。


「おす。なぁなんか変な音ならなかったか?」

「は?なんも聞こえなかったけど」

「そっか…俺の気のせいみたいだ」

「耳鳴りとかじゃねーの?お前疲れてるんじゃね」

「疲れるったっていつも通りの日常だぞ」

「ははそれもそうだな」


 あははと笑い創と一緒に3階へとあがる。

この学校は4階が一年、3階が二年、2階が三年となっており、1階は職員室や保健室や理科室になっている。

また、別館があってそこは吹奏楽部とか音楽室や文化部の部室が多数ある。

部活に入ってない俺にとっては授業で少し行くぐらいしか用がない場所である。

 2-C組と書かれた教室に入り、自分の机に鞄を置き椅子に座る。

杏里は先に着いて女子達と話している。

その姿を確認して、俺は鞄を開け失敗に気付く。


「弁当渡すの忘れてた…」


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