プロローグ
ここ最近変な夢を見ていた。
真っ白い空間にただ一人。
右も左も無限に続く白
認識出来るのは自分の姿のみ。
「またこの夢か」
言葉に発してみるが返事はない。
自分の声がむなしく響く。
夢であるのなら早く覚めてほしい。
そう願い自分の頬を叩くが、痛くとも何ともない
「はぁ…」
仰向けに寝転び何もない空を眺める。
白。
雲もなくただの白い空。
そんな白い空を見上げながら今日あった出来事を考える。
いつも通り登校前に一人暮らしの幼馴染、杏里を起こしに行ったら珍しく起きていて逆に遅いと怒られたっけ…。
いっつもあいつ怒っているからな…。
機嫌がいい日なんてそうそう見たことない。
杏里と一緒に登校すると転校生が来るとクラスで話題になってた。
しかも超絶可愛いとの事。
クラスの話題はそれで持ちきりだった。
「おい隼人今日転校生が来るみたいだぜ」
俺が席に座ると同時に、前の席から悪友の佐藤創が話かけてきた。
「みたいだな。皆その話してるじゃないか主に男子だけだけどな」
「そりゃそうだよ。めちゃくちゃ可愛いんだからな」
「そうなのか?まるで見たみたいな言い方だな」
そう言うと創がふっふっふと不気味な笑い方をする。
「なんだよその笑い方気持ち悪い」
「だって昨日、商店街で見たんだよ転校生」
「は?」
何言ってんだこいつと言おうとした時、創が話を続ける。
「うちの制服来て金髪女子が歩いてたんだけど、校内で見たことない女の子だったから間違いないわ。すごい可愛かったし」
「お前…それだけで転校生と判断したのか?」
「さすがにそれはないけど、朝担任に聞いたらどんぴしゃだったんだよ」
転校生が来るのは確定なのか。
その後も創と話していると朝のホームルームの時間が始まった。
ただここからいつもと違っていた。
担任から言われた一言が衝撃が走った。
そしてこの夢もいつもと違う事が起きる。
白い空から人が落ちてくる。
「なっ…!」
隼人がいる場所に一直線に急降下。
あのスピードで落ちてきたら間違いなく死ぬと悟った隼人は受け止める構えをとる。
正直受け止めれる自信はなかった。
だが見過ごす訳にもいかなかった。
自分の夢で他人が死ぬとか夢見が悪いからな
いや今夢だったわ。
どうせ痛みはないんだ受け止めてみせる。
「よし!来い!」
そう叫んだ直後、落ちてくる人がくるりと半回転し、スピードも減速。
一直線に隼人の元へ落ちていたはずの軌道もずれ、ちょうど隼人の目の前にゆっくり降りてくる。
スタっと靴と地面の擦れる音が聞こえると、隼人はようやく現実に戻った。
「えっ…」
この受け止めようとした構えはどうしようと考える前に目の前の人が喋ってきた。
「初めまして。早速ですが、あなたの運命を私にくれませんか?」
「は?」