Append ACE 1
これは冒険、というかファンタジーというか..
とりあえずRPGテイストのバトルものです!
バトルを通じて、人との出会いを描いてみました。
いろんなアニメやゲームを見て自分なりに作ったもので、素人が暇つぶしに書いた程度なので、完成度は高くありませんσ(^_^;
なんでも思った事を書いていただいて構わないので、気軽に感想やレビューをいただけたらと思います。
また、誤字脱字、わかりにくい点は、教えていただけると助かります。
よろしくお願いします(*≧Δ≦)!
─午前0時 蒼い月明かりさす 都心部の一角。
『またかよ! 今度こそ、今度こそ絶対に..』
ネットゲームにログインするなり、いきなり背後をとられ、今にも打ち抜かれそうな状況。
巨大な銃を片手に黒マントをたなびかせる黒髪の美少女。
大人になって、いい歳してゲームだけが生き甲斐。それだけを一日の楽しみに、毎日仕事している。
近年、オタクと呼ばれる人たちが増加する中、それと比例するかのように20代30代で独身者が増大。
何をかくそう、俺もその中の一人である。
でも私は、オタクでありながら、3次元での実際の異性との出会いをずっとずっと、求めている。
実際は、男ばかりのむさ苦しい職場環境で、全く出会いなんてない毎日の中、唯一異性と、しかも美少女と呼ばれる人たちと繋がっていられるのは..ゲームの中だけなのである。
けれど今、まさにその美少女と交流できるゲームの、2次元の世界で..
殺されかけている..。
毎日ログインするなり、どこからともなく現れて命を狙ってくる彼女。
俺に何の恨みがあるんだ..
『ふざけるな、ここ最近毎日毎日、どうしてわかるんだ?
ゲーム内で監視でもしてるのか? どうして俺なんだ? 恨みでもあるのか?』
コメントを送る。すると
『─迷惑なのよ』
コメントが返ってくる。文句を言ってやろうとコメント入力しようとした次の瞬間。
『バンッ!!』
本日もログイン早々、死んだ俺だった..。
『あ~ぁ、一体何が楽しくてゲームしてるんだろう..』
もぅ一年もプレイし続けて、さすがに自分のキャラには愛着もあるし、自分なりに強く育ててきたつもりだ。
..だからこそ、悔しい!
ちなみに、ゲーム内での俺のキャラ名は【ユウ】。んで、実際操作してる俺の名前も【ゆう】。
キャラ名が思い付かず、ただカタカナに変換しただけの、ありふれたスタイルだ。
二刀流の剣を武器に、スピードを売りにしてきて、わりといいレベルにまで育て上げた。
けれども銃には勝てないのか..
悔しさはもちろんあるが、何より仕事の疲れからか、すっかり冷めてしまった俺。
ふと、スマホにLINEが届いてる事に気付く。
『今日もお疲れさま。仕事はもう終わったかな?』
まだ彼女でも何でもないが、出会いを求めるサイトから知り合った女の子からのLINE。
今はまだ、会った事もないし、写メすら見せてもらった事がない。
ゆう『お疲れさま。終わったよ。今、少しゲームしてた。』
自分がゲーム好きである事は、彼女も知っている。
歳が近くて、凄く理解があって、思いやりのある彼女だ。
ゆう『でも、もう飽きちゃった。今何してるの?』
立て続けにLINEを送る。すると、すぐに
『今日は仕事終わった後、お風呂入ってぼーっとしてた。笑』
『ところで..』
何か言いたげなLINEに気になって、すぐ返信してみる。
ゆう『どうしたの?』
すると
『今度の休み、もし良かったら会ってみませんか?』
急な誘いに驚きを隠せない。でも、凄く嬉しかった。まさか女の子から誘ってもらえるなんて..。
ゆう『もちろん大丈夫! 楽しみだ』
すぐ返す。
そしてその後、きちんとした日時を決めて、待ち合わせを決めた。
─やがてその日がやってきた。
凄く緊張する..こういった出会いは初めてで、現状において、LINE上の名前しか知らない。
待ち合わせ場所に、どうやら随分早く着いたようだ..
と..とりあえず、落ち着こう。
そう思い、待っている間、スマホゲームにログインしてみた。
ユウ『今日は、いつものあの女、いないみたいだ。』
とりあえずフィールド内を探索してみる。
このゲームはオンラインで、いわゆるロールプレイング。
モンスターを狩るようなゲームではなく、近未来的で、夜中の大都会をイメージさせるようなステージ。
様々なロボットや、妖魔のような敵を倒し、レベルを上げ、プレーヤー同士での対戦も含めたゲーム。
二刀流の剣と言っても、敵がロボットであるが故、刀といった類ではない。
二刀流のビームサーベルなのだ。 そして、空も飛べる。
ユウ『まずは上空からフィールドを見回し、今日のクエストを確認しますかね。』
しばらくクエストをこなし、数分がたった頃、再び例の女が現れた─。
今日は珍しく、即攻撃を仕掛け、俺を強制ログアウトさせる感じではない。
そうではなく、俺がミッション攻略に必要な敵退治、ボス退治の対象を次から次へとなぎ倒して行く。
嫌がらせ以外の何ものでもない!
急いで後に続く。
ユウ『持っていかれてたまるものか! あのボスは、俺が先に..』
女がザコを相手にしているのを良いことに、エネルギーを溜めて溜めて、ボスにめがけて必殺技を繰り出した。
一撃必殺! 必殺技が命中し、見事ボス戦に勝利した!
すかさず、あの女に剣のきっさきを向けた。
ユウ『どうだ! 毎日毎日、バカにされたままでたまるか!』
ユウ『今日こそは、お前を仕留めてやる!』
女はクールな表情を浮かべ、黒く長い髪を風になびかせ、
俺を見下ろす感じでつぶやいた。
女『やはり..お前がTeam.ACEリーダー、ユウか』
女『お前をここから追い出し、チームを解散させる。』
【Team.ACE】とは、俺とゲーム仲間が、フレンドと呼ばれるネット上で共に戦うプレーヤーたちとの間で協定を結び、結成したギルドである。
そして、俺はそのリーダーである。
ユウ『なんだ、まさかお前も、俺達をひがんでる輩の一人か?』
Team.ACEは、実はゲーム内ではそこそこ名の知れたギルドで、個人個人としては、まだそれほどでもないが、遠距離、近距離、トラップ。それぞれに優れたプレーヤーを集め結成したのがこのチーム。
チームの成績は常にトップクラスで、それをひがんで強襲を仕掛けてくる奴らも少なくない。
ユウ『知ってるなら話が早い。なぜお前が、俺をTeam.ACEのリーダーと断定出来たのかはさておき、知られた以上、チームの為にやられる訳にはいかないな!』
──武器を構え、攻撃に出る。
足元や辺り一帯の空間に、爆弾トラップをバラまきながら、突進してくる女。
それを避けながら、二刀流の剣で回転しつつ向かい受ける。
ユウ『そんな小細工、俺に通用すると思うな!』
剣先から空間を切り裂くかまいたちの如く、ビームを2連3連と叩き込む。
だか女は、それをもろともせず、回避と同時に銃弾を放つ。
ユウ『しまった! 罠だ!』
銃弾が目の前で弾け、動きを封じられる。
ユウ『スロウ弾か』
一定の空間の時の流れを遅くする、銃使いのキャラが得意とする技の一つ。
完全に隙をつかれ、動きが鈍くなる。
これでは、トラップや銃弾を回避出来ない。
『ドカーンッ!!』
爆風に飲まれ、瀕死に陥る俺。
ユウ『ヤバい! ..強い!』
ライフが残り僅かで、今にもやられそうなその瞬間!
『ごめ~ん。 お待たせ!』
ふと我に帰り、現実世界に辺りを見渡す。
見上げばそこには、黒髪で長い髪の美人が立っていた。
『あなたが、ゆうさんですね。 私がハルです。』
『よろしくです!』
LINEの相手だ。 想像以上の美人に驚き、慌ててゲームを止めた。
ゆう『はじまして。 ゆうです! よろしくお願いします!』
緊張が絶頂に達し、あたふたする俺に、彼女は笑顔で語りかける。
ハル『それじゃ、行こうか。』
そのままデートが始まり、気付けば夜も更けていた。
その間、緊張でほとんど覚えていない..
まずは車でドライブ、その後食事を済ませ、しばらくダベっていた後、ショッピングモールをふらつき..
所々の記憶がチラホラあるだけで、どんな話をしたのか、彼女が実際はどんな人だったのか、記憶が曖昧である。
ゆう『今日は楽しかった。 それじゃ、またLINEするね。』
別れ際、彼女がそう言った。
ふと..
ハル『また遊んでね。リーダーさん。』
..? 彼女が謎めいた台詞を言い残した後、そのまま駆け足でさって行った。
ゆう『リーダー? いったい、どういう?』
俺がゲーム好きなのは彼女も知っていた事だが..
どんなゲームをやっているのか、ましてや、俺がTeam.ACEのリーダーだという事なんて、当然知るはずは無いのだ。
しばらくして、
ゆう『あ!そう言えばバトル..』
再びログインすると、さっきまでのバトルは中断、つまり無かった事にされ、いつも通りの風景が現れる。
ユウ『よかった、戦歴に影響はない。つまり、負けてない。』
ステータス画面は、昨日までとは全く変わり無かった。
安堵した後、チームの仲間に今日あった出来事を報告する。
ユウ『─どういうわけか、つきまとっては命を狙ってくる。』
ユウ『皆もそういった輩には気を付けるように!』
チームのメンバーは、俺を入れて7人。そのうち女子が1人。
今日は、たまたまログインしていたその女子から返事があった。
『そんな恐い人がいるの?私、一人だと一瞬で終わっちゃうじゃん!』
『すぐ来て、助けてよ!』
その娘のネームはミヤカ。それが本名なのかどうかは、知る由も無い。
ミヤカのバトルにおいての特徴は、遠距離攻撃型で、弓を使って攻撃する。光の矢を無数に放ち、いつも援護するようにチームを支えてくれる。
とても頼りになる存在だ。
けれど、遠距離型であるが故に、一人の時はすぐに相手に間合いを詰められ、やられてしまう事が多い。
俺はとりあえず、ミヤカと合流する事にした。
ユウ『大丈夫!とりあえず2人いれば、なんとかなるさ』
そう言って、ミヤカを安心させようとする。
ミヤカ『まだ他の皆はログインして無いのかな?』
細々とした声でミヤカが不安そうに呟いた。
ユウ『だから大丈夫だって。ミヤカのミッション、一緒に付き合ってやるから』
仲間がミッションをこなして、レベルを上げてくれれば、それだけチーム全体が強くなる。何より俺にとっては、嬉しい事だ。
他の仲間のログインを待つ間、俺達は2人でミッションをこなしていた。
しばらくして..
ミヤカ『あ! もうそろそろ日付変わっちゃう!』
ミヤカ『今日はここまでね。また明日!』
結局今日は、他の仲間はログインして来なかった。
彼女がログアウトして、俺もゲームを辞めようとしたその時!
『まだこんな所にいたのか─。』
『そろそろ嫌になって、逃げ出したかと思ったが..』
また再び、あの女が現れた!
本音を言えば、夜中という事もあって、少々眠かったが..
リベンジする、またとないチャンスだ!
ユウ『でたな! ストーカーめ!』
ユウ『お前の攻撃パターンはだいたい把握した。今度は、そう簡単にはいかんぞ!』
武器を手に取り、戦闘モードに移行する。
しかし女は、戦闘モードになる素振りを見せない。
女『今、お前とやり合ったところで結果は見えている。』
女『時間の浪費に過ぎない』
─?どういう事だ? 急に態度を変えやがった。
女は、眼中に無いと言いたげな表情で、俺を見下すと、そのまま背中を向けこう言った。
女『大会まであと数日、それまでせいぜい、足掻いてのし上がってみせろ!』
顔の割に、随分と生意気な台詞を言い残し、そのまま去って行った。
大会とはおそらく、ゲーム会社が立ち上げたビッグなイベントで、現実世界において数多くのプレーヤーを集め、繰り広げられるコロシアム型、ゲームバトル大会の事だろう。
数日前にアプリに通知が来ていたので、当然知っていた。
─だが、実際現実の俺は、仕事以外で外に出る事はほとんど無く、大好きなゲームであろうと、それは例外では無かった。
インドアというより、仕事を除いた『引きこもり』である事に変わりないのだ。
なので、当然、参加するつもりは無かった。
─翌日。
仕事の休憩時間中、直樹からLINEが届く。
直樹とは、俺の古い友人で、俺が今やっているゲーム仲間でもある。
ゲーム内の直樹のキャラはナオトといい、グローブを装備して、拳でチームを勝利へ導く、ボクサータイプの、正に力任せのキャラだ。
彼もTeam.ACEの一員である。
直樹『ゆう、聞いたか? どうやらゲームの大会が近々やるらしいぞ!』
直樹『最高だ! たまんねーよな? ユウも当然参加するよな?』
いつだって、テンション高いやつだ。
ゆう『そんなのだいぶ前から通知来てたろ?』
ゆう『何今更な話してんだ?』
直樹『え?そうなのか? 俺今さっき初めて知ったぞ!』
直樹『普段、サイトからの通知なんて全く読まないからな!』
そんな自信たっぷりにそんな事言われても、なんて返すべきか、かるく面倒になっていた。
少し放置していると、今度は電話がかかってきた。
直樹『おい、ゆう! 参加するだろ? その日たしか、休みだったよな? 俺も休みずらしてもらって合わせるからさ、一緒に行こうぜ!』
なんでお前が俺の仕事の休みを把握してんだ?
そう言いかけたが、話が長くなると面倒なので..
ゆう『その日は別な用事があってさ。あ!ってか、もうそろそろ休憩終わるから、わるい、また今度な!』
適当に誤魔化して電話を切った。
普段はわりと普通だが、なにかしら興味を持てば即行動タイプで、周りを振り回す。かるく面倒なところが、アイツの特徴だ。
─そう言えば、まだハルさんからのLINEはないな。
そのままその日は、仕事を終え、自宅に帰った時の事である。
ハルさんからのLINEはないまま、望んでもいない直樹からのLINEが数件あった。
直樹『今、仲間にも連絡とったぞ!』
直樹『カイトも来てくれるそうだ!』
直樹『ついでにゲーム内に一斉メールしておいたぞ!』
直樹『ミヤカも参加OKだってさ!』
直樹『テラも、行けるかどうかはまだわからないけど、検討してくれるってさ!』
おいおい!なにやってんだアイツ! 勝手に話を盛り上げるな!
─と思いつつ、冷静になって考えてみる。
カイトは元々友達で、いつもクール気取ってるが、なんだかんだで、いつも助けてもらってるし..
ミヤカって、実際に本当に女の子だったよな?
まだ会った事ないし、当然友達ってわけでも、LINEをやり取りする様な仲でもない。 専ら、ただゲーム内でやり取りするだけの関係で、チームメイトではあるが、それ以上でも以下でもない。
そう思うと、少し興味が沸いてきた。
どんな娘なんだろう?
まだ、ハルさんとの関係が終わったわけではないが、それとこれとは話が別なのである。
そして実状、男だか女なのかわからない奴も一人いる。
テラという奴がそれだ! キャラ的には小柄で、男と言うより、男の子と言った方が妥当だ。
ミヤカと同じ遠距離攻撃型で、長身の大砲が4つ、それに小型ミサイル、更にはライフル銃まで持っている。なんでもアリのようなキャラだ。
威力は絶大で、その破壊力は抜群だ!
ただ、コストがかかる分、体力はそれほど無く、しかもチャージにやたら時間がかかる。ソワソワさせるようなキャラだ。
口数も少なく、大人しくて気が小さい。僕キャラなのである。
男であるか女であるかはともかくとして、どんな人がプレーヤーなのか大変興味深い。
ゆう『仕方ないなぁ。まだ行くと決まったわけではないが、考えておくよ!』
内心、興味が溢れでそうなのだった。
ゆう『あと2人はどうした? シンと..あと、ゼロだっけ?』
直樹『アイツらは元々、コミュニケーション能力に乏しいからな。話かけても、滅多に返事が返って来ない。』
直樹『でも、この際なんとか説得してみるよ!』
ゆう『そうか、頑張ってくれよ!』珍しく直樹に期待した瞬間だった。
─そして、その運命の大会当日が訪れた。
大規模な施設で行われるこの大会。その日は晴天で、ジリジリとむし暑い夏の日であった─
俺達Team.ACEは、結局全員集まるかどうかはわからないまま、現地集合する事になっていた。
誰よりも早く待ち合わせ場所にいたのは─
やはり直樹だった。
直樹『よう! 久しぶり! ちょっぴり遅刻だぞ?』
ゆう『わるい、ちょっと遅れた。 というか、まだ皆来てないのか?』
直樹『そうなんだよ。ユウからもみんなにビシッと言ってやってくれよ!』
ゆう『まぁ、みんないろいろ都合あるだろうし.. 開会までまだ時間あるから、気長に待とう』
直樹『あーぁ。お優しいリーダーさんだこと。みんなユウに甘えてるんじゃないか?』
ゆう『俺だって、たまには遅刻するし、みんなにはいつも助けてもらってるから、リーダーだからって偉そうな事言えないよ』
ゆう『実際、直樹にだって今回の件に関しては、みんなに連絡とってもらったりしてるし。』
直樹『なんなら、俺が代わりにリーダーやってやろうか?』
ゆう『いや、それはどうだろう..』
直樹も頼れる奴だが、リーダーとなると話は別だ。
何かと猪突猛進な直樹には、みんな振り回させそうな気がする。
むしろリーダーとして一番妥当なのは、カイトだと思っている。
カイトはチームの誕生からずっと苦楽を共にしてきた仲で、頭の回転が早く、いつだって冷静沈着に物事を解決してきた。
俺が他の誰より、最も信頼している奴だ。
─と、噂をすれば、カイトがやってきた。
直樹『遅い! お前達は、どうしていつもそんなマイペースなんだ?』
そんな台詞を吐きつつも、もう楽しみでしょうがない!といった満面の笑みを浮かべている。
ゆう『カイト、久しぶり! 今日はよく参加してくる気になったな』
どこか面倒くさそうな、クールな表情を浮かべカイトは答えた。
カイト『たまたま予定が空いてな。こんな時でもなけりゃ、お前らのアホヅラを拝める機会も他にないしな。』
くすりと、笑顔を浮かべて見せた。
カイトも基本的には近距離型で、大きな槍を装備して戦う。
ただ、その攻撃範囲が広いため、後方からの攻撃も可能な、いわゆる中距離支援型と言ってもいい。
体力、攻撃力共に他のプレーヤーより優れており、何より、頭が良い。
いつだって頼りになる存在だ!
本名は『海人』といい。 俺の高校の頃からの友人である。
海人と俺、それと直樹のこの3人でTeam.ACEを創設した。
海人は人前で目立ったり、人に指示出すより自分で動いた方が楽だと思うタイプで、リーダーを断り続けていた。
─なので、結果俺がリーダーだ。
─しばらくダベっていると、どこからともなく可愛いらしい声がした。
『あのぅ。こんにちは。ここはTeam.ACEの集まりでよろしかったでしょうか?』
振り返るとそこには、小柄でショートカットの中学生くらいの女の子だ立っていた。
ゆう『そうですが..どちら様ですか?』
『私、ミヤカです!』
『よろしくお願いします!』
『えぇっ!?』3人とも驚いた!
海人『ミヤカはまだ若いとは思っていたが..まさかこんなに幼いとはな。 いまいくつ? 中学生かな?高校生かな?』
と問いかけると。ミヤカは少しふくれ面して答えた。
ミヤカ『私、こう見えてもう22なんですけど!』
あれ?まさか、もう成人していたとは─。
『すみませんでした。 よろしくお願いします!』
3人が口を揃えて謝罪した。
主に直樹の質問責めにあっているミヤカ。
どうやら、本名ではないようだ。
不敏に思い『場所を変えよう』と提案する。
今朝から連絡がない残り3名。
おそらく今日は来れないだろう。
少し早いが、会場へと向かった。
受付を済ませ、本大会の栞、そしてギルド名が書かれたカードが渡させた。
受付した人数分のみ。それぞれ色違いで、ユーザーコードとユーザー名が書かれている。
会場は広々としていて、ステージの他に、白いカプセル状の大きなマシーンが無数に設置されていた。
どうやら、ただスマホでゲームをするだけでは無いらしい。
次々と参加者が集まり、次第に人で溢れかえっていた。
ゆう『けっこういるな。みんな、はぐれないように気をつけてくれよ。』
ミヤカ『もしはぐれたら、いつものように迎えに来てよね♪ ユウくん。』
見た目は幼いが、ゲーム内のキャラとあまり変わりないミヤカ。
そのフレンドリーな振る舞いが、とても心地よかった。
ゆう『はぐれないようにって言ったはずだぞ。なんなら、手でも繋いでおこうか?』
冗談交じりに答えた。
ミヤカ『それもいいかもね? でも汗で手が滑っちゃ意味ない から、ゆうの鞄にしがみついてる。』
そう言って俺の鞄に手をかけるミヤカ。
まるで子供みたいで可愛い。
開会数分前、場内アナウンスが流れる。
その時─
直樹『あ!テラからLINE。』
テラ『たった今会場に着きました』
テラ『みんなと合流するのは難しいけど、必ず僕もみんなのお役にたちます!』
─との事。この会場のどこかにはいるらしい。
ゆう『そうか、間に合ったのか。会えないのは残念だけど、参加してくれるのは心強い。』
ミヤカ『一体、どんな人なんですかね? 本当はどこかに隠れてるだけなんじゃ?』
ゆう『まぁ確かに気になるが、こん混雑の中じゃ、仕方ないよ。』
─となると、やはりシンとゼロは、不参加か。
本音を言えば2人にも会えるのを期待していたが、それも仕方ない。
─そして、場内アナウンスと共に開会式が始まった。
女性『今、ここに開会を宣言します!』
場内が一気に盛り上がった。俺達も一斉に声をあげた。
女性『まずは予選を行います。皆様、各ギルドごとの敷地に別れ、ゲームをログインして下さい。 尚、ギルド不参加の方々は、ステージ横のゲートにお集まり下さい。』
各ギルドごとに例のカプセルが設置してある。
どうやら、ゲームの臨場感を味わうためのマシーンで、VR機能が搭載してある。
皆一斉にその装置を取り付け、ログインを行った。
ミヤカ『うわぁ、何これ? 凄い凄い!』
直樹『マジ?スゲーな! こいつは驚いた!』
海人『こんな大掛かりなセットに固定されて、俺達は本当に大丈夫なのか?』
確かに俺も驚いた。あまりにも最新なシステムとハイレベルな技術に圧倒されて、言葉が出ないくらいに。
女性『ログインを行った方々から順番に、お渡ししたカードに記載されたシークレットコードを入力して下さい。』
受付でもらったカードのことか。
メンバーそれぞれに違う色と、異なる模様が描かれている。
俺のは、クロスする2本の剣とその上にTeam.ACEと描かれた模様で、赤いカード。
他のメンバーも書体は同じで、模様はおそらく、それぞれのキャラのメイン武器が描かれているようだ。
ちなみに、
カイトが青。ミヤカが黄色。ナオトが緑だ。
テラは、何色なんだろう?
とりあえず、そのシークレットコードとやらを入力してみた。
すると─
【Team.ACEのリーダー、ユウさん。おめでとうございます!】
【特別ログイン達成にて、あなたには超レアアイテムが支給されます。】
【SSSランクの武器、イクスブレードです!】
俺に合った二刀流の武器がプレゼントボックスに贈られた。
ユウ『えっ!マジ? 今までの武器とは桁違いなレベルだ。』
ユウ『こんな凄いので闘えるのか!』
テンションが冷めやらぬ中、続けてそのカプセルが意味深なセリフを口にした。
【Team.ACE内において、あなたは『鬼』に任命されました。】
【くれぐれも、お気を付け下さいますよう。】
鬼?一体何の事だ? 今までこんな仕様は無かったが。
不可解な謎を残したまま、俺はゲーム内のステージにたどり着いた。
今までの大都会をイメージさせるステージとは違い、アマゾンを思わせるような、辺り一帯が巨大なジャングルに覆われたステージだ。
─が。そこにはメンバー誰一人いなかった。