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Append ACE  作者: Yu─。
1/9

Append ACE 1

これは冒険、というかファンタジーというか..

とりあえずRPGテイストのバトルものです!



バトルを通じて、人との出会いを描いてみました。


いろんなアニメやゲームを見て自分なりに作ったもので、素人が暇つぶしに書いた程度なので、完成度は高くありませんσ(^_^;



なんでも思った事を書いていただいて構わないので、気軽に感想やレビューをいただけたらと思います。


また、誤字脱字、わかりにくい点は、教えていただけると助かります。


よろしくお願いします(*≧Δ≦)!


─午前0時 蒼い月明かりさす 都心部の一角。

『またかよ! 今度こそ、今度こそ絶対に..』

ネットゲームにログインするなり、いきなり背後をとられ、今にも打ち抜かれそうな状況。


巨大な銃を片手に黒マントをたなびかせる黒髪の美少女。



大人になって、いい歳してゲームだけが生き甲斐。それだけを一日の楽しみに、毎日仕事している。


近年、オタクと呼ばれる人たちが増加する中、それと比例するかのように20代30代で独身者が増大。


何をかくそう、俺もその中の一人である。


でも私は、オタクでありながら、3次元での実際の異性との出会いをずっとずっと、求めている。

実際は、男ばかりのむさ苦しい職場環境で、全く出会いなんてない毎日の中、唯一異性と、しかも美少女と呼ばれる人たちと繋がっていられるのは..ゲームの中だけなのである。



けれど今、まさにその美少女と交流できるゲームの、2次元の世界で..   



殺されかけている..。




毎日ログインするなり、どこからともなく現れて命を狙ってくる彼女。

俺に何の恨みがあるんだ..


『ふざけるな、ここ最近毎日毎日、どうしてわかるんだ?

ゲーム内で監視でもしてるのか? どうして俺なんだ? 恨みでもあるのか?』


コメントを送る。すると


『─迷惑なのよ』


コメントが返ってくる。文句を言ってやろうとコメント入力しようとした次の瞬間。

『バンッ!!』


本日もログイン早々、死んだ俺だった..。





『あ~ぁ、一体何が楽しくてゲームしてるんだろう..』


もぅ一年もプレイし続けて、さすがに自分のキャラには愛着もあるし、自分なりに強く育ててきたつもりだ。

..だからこそ、悔しい!


ちなみに、ゲーム内での俺のキャラ名は【ユウ】。んで、実際操作してる俺の名前も【ゆう】。

キャラ名が思い付かず、ただカタカナに変換しただけの、ありふれたスタイルだ。



二刀流の剣を武器に、スピードを売りにしてきて、わりといいレベルにまで育て上げた。


けれども銃には勝てないのか..


悔しさはもちろんあるが、何より仕事の疲れからか、すっかり冷めてしまった俺。


ふと、スマホにLINEが届いてる事に気付く。


『今日もお疲れさま。仕事はもう終わったかな?』


まだ彼女でも何でもないが、出会いを求めるサイトから知り合った女の子からのLINE。

今はまだ、会った事もないし、写メすら見せてもらった事がない。


ゆう『お疲れさま。終わったよ。今、少しゲームしてた。』


自分がゲーム好きである事は、彼女も知っている。

歳が近くて、凄く理解があって、思いやりのある彼女だ。


ゆう『でも、もう飽きちゃった。今何してるの?』


立て続けにLINEを送る。すると、すぐに


『今日は仕事終わった後、お風呂入ってぼーっとしてた。笑』


『ところで..』


何か言いたげなLINEに気になって、すぐ返信してみる。


ゆう『どうしたの?』


すると


『今度の休み、もし良かったら会ってみませんか?』


急な誘いに驚きを隠せない。でも、凄く嬉しかった。まさか女の子から誘ってもらえるなんて..。


ゆう『もちろん大丈夫! 楽しみだ』


すぐ返す。 


そしてその後、きちんとした日時を決めて、待ち合わせを決めた。







─やがてその日がやってきた。







凄く緊張する..こういった出会いは初めてで、現状において、LINE上の名前しか知らない。


待ち合わせ場所に、どうやら随分早く着いたようだ..


と..とりあえず、落ち着こう。


そう思い、待っている間、スマホゲームにログインしてみた。


ユウ『今日は、いつものあの女、いないみたいだ。』


とりあえずフィールド内を探索してみる。


このゲームはオンラインで、いわゆるロールプレイング。

モンスターを狩るようなゲームではなく、近未来的で、夜中の大都会をイメージさせるようなステージ。


様々なロボットや、妖魔のような敵を倒し、レベルを上げ、プレーヤー同士での対戦も含めたゲーム。


二刀流の剣と言っても、敵がロボットであるが故、刀といった類ではない。


二刀流のビームサーベルなのだ。 そして、空も飛べる。


ユウ『まずは上空からフィールドを見回し、今日のクエストを確認しますかね。』


しばらくクエストをこなし、数分がたった頃、再び例の女が現れた─。




今日は珍しく、即攻撃を仕掛け、俺を強制ログアウトさせる感じではない。


そうではなく、俺がミッション攻略に必要な敵退治、ボス退治の対象を次から次へとなぎ倒して行く。


嫌がらせ以外の何ものでもない!


急いで後に続く。

ユウ『持っていかれてたまるものか! あのボスは、俺が先に..』


女がザコを相手にしているのを良いことに、エネルギーを溜めて溜めて、ボスにめがけて必殺技を繰り出した。


一撃必殺! 必殺技が命中し、見事ボス戦に勝利した!


すかさず、あの女に剣のきっさきを向けた。


ユウ『どうだ! 毎日毎日、バカにされたままでたまるか!』

ユウ『今日こそは、お前を仕留めてやる!』


女はクールな表情を浮かべ、黒く長い髪を風になびかせ、

俺を見下ろす感じでつぶやいた。


女『やはり..お前がTeam.ACEリーダー、ユウか』

女『お前をここから追い出し、チームを解散させる。』



【Team.ACE】とは、俺とゲーム仲間が、フレンドと呼ばれるネット上で共に戦うプレーヤーたちとの間で協定を結び、結成したギルドである。


そして、俺はそのリーダーである。




ユウ『なんだ、まさかお前も、俺達をひがんでる輩の一人か?』


Team.ACEは、実はゲーム内ではそこそこ名の知れたギルドで、個人個人としては、まだそれほどでもないが、遠距離、近距離、トラップ。それぞれに優れたプレーヤーを集め結成したのがこのチーム。

チームの成績は常にトップクラスで、それをひがんで強襲を仕掛けてくる奴らも少なくない。



ユウ『知ってるなら話が早い。なぜお前が、俺をTeam.ACEのリーダーと断定出来たのかはさておき、知られた以上、チームの為にやられる訳にはいかないな!』



──武器を構え、攻撃に出る。



足元や辺り一帯の空間に、爆弾トラップをバラまきながら、突進してくる女。


それを避けながら、二刀流の剣で回転しつつ向かい受ける。


ユウ『そんな小細工、俺に通用すると思うな!』


剣先から空間を切り裂くかまいたちの如く、ビームを2連3連と叩き込む。


だか女は、それをもろともせず、回避と同時に銃弾を放つ。


ユウ『しまった! 罠だ!』


銃弾が目の前で弾け、動きを封じられる。


ユウ『スロウ弾か』


一定の空間の時の流れを遅くする、銃使いのキャラが得意とする技の一つ。


完全に隙をつかれ、動きが鈍くなる。

これでは、トラップや銃弾を回避出来ない。


『ドカーンッ!!』


爆風に飲まれ、瀕死に陥る俺。


ユウ『ヤバい! ..強い!』


ライフが残り僅かで、今にもやられそうなその瞬間!


『ごめ~ん。 お待たせ!』


ふと我に帰り、現実世界に辺りを見渡す。






見上げばそこには、黒髪で長い髪の美人が立っていた。


『あなたが、ゆうさんですね。 私がハルです。』

『よろしくです!』


LINEの相手だ。 想像以上の美人に驚き、慌ててゲームを止めた。


ゆう『はじまして。 ゆうです! よろしくお願いします!』


緊張が絶頂に達し、あたふたする俺に、彼女は笑顔で語りかける。


ハル『それじゃ、行こうか。』


そのままデートが始まり、気付けば夜も更けていた。

その間、緊張でほとんど覚えていない..


まずは車でドライブ、その後食事を済ませ、しばらくダベっていた後、ショッピングモールをふらつき..

所々の記憶がチラホラあるだけで、どんな話をしたのか、彼女が実際はどんな人だったのか、記憶が曖昧である。


ゆう『今日は楽しかった。 それじゃ、またLINEするね。』


別れ際、彼女がそう言った。


ふと..


ハル『また遊んでね。リーダーさん。』


..? 彼女が謎めいた台詞を言い残した後、そのまま駆け足でさって行った。


ゆう『リーダー? いったい、どういう?』


俺がゲーム好きなのは彼女も知っていた事だが..

どんなゲームをやっているのか、ましてや、俺がTeam.ACEのリーダーだという事なんて、当然知るはずは無いのだ。


しばらくして、

ゆう『あ!そう言えばバトル..』


再びログインすると、さっきまでのバトルは中断、つまり無かった事にされ、いつも通りの風景が現れる。



ユウ『よかった、戦歴に影響はない。つまり、負けてない。』


ステータス画面は、昨日までとは全く変わり無かった。


安堵した後、チームの仲間に今日あった出来事を報告する。


ユウ『─どういうわけか、つきまとっては命を狙ってくる。』

ユウ『皆もそういった輩には気を付けるように!』



チームのメンバーは、俺を入れて7人。そのうち女子が1人。

今日は、たまたまログインしていたその女子から返事があった。


『そんな恐い人がいるの?私、一人だと一瞬で終わっちゃうじゃん!』

『すぐ来て、助けてよ!』


その娘のネームはミヤカ。それが本名なのかどうかは、知る由も無い。

ミヤカのバトルにおいての特徴は、遠距離攻撃型で、弓を使って攻撃する。光の矢を無数に放ち、いつも援護するようにチームを支えてくれる。

とても頼りになる存在だ。



けれど、遠距離型であるが故に、一人の時はすぐに相手に間合いを詰められ、やられてしまう事が多い。


俺はとりあえず、ミヤカと合流する事にした。



ユウ『大丈夫!とりあえず2人いれば、なんとかなるさ』


そう言って、ミヤカを安心させようとする。


ミヤカ『まだ他の皆はログインして無いのかな?』


細々とした声でミヤカが不安そうに呟いた。


ユウ『だから大丈夫だって。ミヤカのミッション、一緒に付き合ってやるから』


仲間がミッションをこなして、レベルを上げてくれれば、それだけチーム全体が強くなる。何より俺にとっては、嬉しい事だ。



他の仲間のログインを待つ間、俺達は2人でミッションをこなしていた。



しばらくして..



ミヤカ『あ! もうそろそろ日付変わっちゃう!』

ミヤカ『今日はここまでね。また明日!』



結局今日は、他の仲間はログインして来なかった。

彼女がログアウトして、俺もゲームを辞めようとしたその時!




『まだこんな所にいたのか─。』

『そろそろ嫌になって、逃げ出したかと思ったが..』


また再び、あの女が現れた!





本音を言えば、夜中という事もあって、少々眠かったが..

リベンジする、またとないチャンスだ!


ユウ『でたな! ストーカーめ!』

ユウ『お前の攻撃パターンはだいたい把握した。今度は、そう簡単にはいかんぞ!』



武器を手に取り、戦闘モードに移行する。



しかし女は、戦闘モードになる素振りを見せない。



女『今、お前とやり合ったところで結果は見えている。』

女『時間の浪費に過ぎない』



─?どういう事だ? 急に態度を変えやがった。



女は、眼中に無いと言いたげな表情で、俺を見下すと、そのまま背中を向けこう言った。


女『大会まであと数日、それまでせいぜい、足掻いてのし上がってみせろ!』


顔の割に、随分と生意気な台詞を言い残し、そのまま去って行った。


大会とはおそらく、ゲーム会社が立ち上げたビッグなイベントで、現実世界において数多くのプレーヤーを集め、繰り広げられるコロシアム型、ゲームバトル大会の事だろう。


数日前にアプリに通知が来ていたので、当然知っていた。


─だが、実際現実の俺は、仕事以外で外に出る事はほとんど無く、大好きなゲームであろうと、それは例外では無かった。


インドアというより、仕事を除いた『引きこもり』である事に変わりないのだ。

なので、当然、参加するつもりは無かった。



─翌日。



仕事の休憩時間中、直樹からLINEが届く。


直樹とは、俺の古い友人で、俺が今やっているゲーム仲間でもある。


ゲーム内の直樹のキャラはナオトといい、グローブを装備して、拳でチームを勝利へ導く、ボクサータイプの、正に力任せのキャラだ。

彼もTeam.ACEの一員である。


直樹『ゆう、聞いたか? どうやらゲームの大会が近々やるらしいぞ!』

直樹『最高だ! たまんねーよな? ユウも当然参加するよな?』


いつだって、テンション高いやつだ。


ゆう『そんなのだいぶ前から通知来てたろ?』

ゆう『何今更な話してんだ?』


直樹『え?そうなのか? 俺今さっき初めて知ったぞ!』

直樹『普段、サイトからの通知なんて全く読まないからな!』


そんな自信たっぷりにそんな事言われても、なんて返すべきか、かるく面倒になっていた。



少し放置していると、今度は電話がかかってきた。


直樹『おい、ゆう! 参加するだろ? その日たしか、休みだったよな? 俺も休みずらしてもらって合わせるからさ、一緒に行こうぜ!』


なんでお前が俺の仕事の休みを把握してんだ?

そう言いかけたが、話が長くなると面倒なので..


ゆう『その日は別な用事があってさ。あ!ってか、もうそろそろ休憩終わるから、わるい、また今度な!』


適当に誤魔化して電話を切った。

普段はわりと普通だが、なにかしら興味を持てば即行動タイプで、周りを振り回す。かるく面倒なところが、アイツの特徴だ。


─そう言えば、まだハルさんからのLINEはないな。





そのままその日は、仕事を終え、自宅に帰った時の事である。



ハルさんからのLINEはないまま、望んでもいない直樹からのLINEが数件あった。


直樹『今、仲間にも連絡とったぞ!』


直樹『カイトも来てくれるそうだ!』


直樹『ついでにゲーム内に一斉メールしておいたぞ!』


直樹『ミヤカも参加OKだってさ!』


直樹『テラも、行けるかどうかはまだわからないけど、検討してくれるってさ!』


おいおい!なにやってんだアイツ! 勝手に話を盛り上げるな!

─と思いつつ、冷静になって考えてみる。


カイトは元々友達で、いつもクール気取ってるが、なんだかんだで、いつも助けてもらってるし..


ミヤカって、実際に本当に女の子だったよな?

まだ会った事ないし、当然友達ってわけでも、LINEをやり取りする様な仲でもない。 専ら、ただゲーム内でやり取りするだけの関係で、チームメイトではあるが、それ以上でも以下でもない。


そう思うと、少し興味が沸いてきた。

どんな娘なんだろう?


まだ、ハルさんとの関係が終わったわけではないが、それとこれとは話が別なのである。



そして実状、男だか女なのかわからない奴も一人いる。

テラという奴がそれだ! キャラ的には小柄で、男と言うより、男の子と言った方が妥当だ。


ミヤカと同じ遠距離攻撃型で、長身の大砲が4つ、それに小型ミサイル、更にはライフル銃まで持っている。なんでもアリのようなキャラだ。

威力は絶大で、その破壊力は抜群だ!



ただ、コストがかかる分、体力はそれほど無く、しかもチャージにやたら時間がかかる。ソワソワさせるようなキャラだ。


口数も少なく、大人しくて気が小さい。僕キャラなのである。


男であるか女であるかはともかくとして、どんな人がプレーヤーなのか大変興味深い。



ゆう『仕方ないなぁ。まだ行くと決まったわけではないが、考えておくよ!』


内心、興味が溢れでそうなのだった。

 

ゆう『あと2人はどうした? シンと..あと、ゼロだっけ?』


直樹『アイツらは元々、コミュニケーション能力に乏しいからな。話かけても、滅多に返事が返って来ない。』


直樹『でも、この際なんとか説得してみるよ!』



ゆう『そうか、頑張ってくれよ!』珍しく直樹に期待した瞬間だった。




─そして、その運命の大会当日が訪れた。



大規模な施設で行われるこの大会。その日は晴天で、ジリジリとむし暑い夏の日であった─


俺達Team.ACEは、結局全員集まるかどうかはわからないまま、現地集合する事になっていた。


誰よりも早く待ち合わせ場所にいたのは─

やはり直樹だった。


直樹『よう! 久しぶり! ちょっぴり遅刻だぞ?』


ゆう『わるい、ちょっと遅れた。 というか、まだ皆来てないのか?』


直樹『そうなんだよ。ユウからもみんなにビシッと言ってやってくれよ!』


ゆう『まぁ、みんないろいろ都合あるだろうし.. 開会までまだ時間あるから、気長に待とう』


直樹『あーぁ。お優しいリーダーさんだこと。みんなユウに甘えてるんじゃないか?』


ゆう『俺だって、たまには遅刻するし、みんなにはいつも助けてもらってるから、リーダーだからって偉そうな事言えないよ』


ゆう『実際、直樹にだって今回の件に関しては、みんなに連絡とってもらったりしてるし。』


直樹『なんなら、俺が代わりにリーダーやってやろうか?』


ゆう『いや、それはどうだろう..』


直樹も頼れる奴だが、リーダーとなると話は別だ。

何かと猪突猛進な直樹には、みんな振り回させそうな気がする。


むしろリーダーとして一番妥当なのは、カイトだと思っている。


カイトはチームの誕生からずっと苦楽を共にしてきた仲で、頭の回転が早く、いつだって冷静沈着に物事を解決してきた。


俺が他の誰より、最も信頼している奴だ。



─と、噂をすれば、カイトがやってきた。




直樹『遅い! お前達は、どうしていつもそんなマイペースなんだ?』


そんな台詞を吐きつつも、もう楽しみでしょうがない!といった満面の笑みを浮かべている。


ゆう『カイト、久しぶり! 今日はよく参加してくる気になったな』


どこか面倒くさそうな、クールな表情を浮かべカイトは答えた。


カイト『たまたま予定が空いてな。こんな時でもなけりゃ、お前らのアホヅラを拝める機会も他にないしな。』


くすりと、笑顔を浮かべて見せた。


カイトも基本的には近距離型で、大きな槍を装備して戦う。

ただ、その攻撃範囲が広いため、後方からの攻撃も可能な、いわゆる中距離支援型と言ってもいい。


体力、攻撃力共に他のプレーヤーより優れており、何より、頭が良い。


いつだって頼りになる存在だ!



本名は『海人』といい。 俺の高校の頃からの友人である。



海人と俺、それと直樹のこの3人でTeam.ACEを創設した。



海人は人前で目立ったり、人に指示出すより自分で動いた方が楽だと思うタイプで、リーダーを断り続けていた。


─なので、結果俺がリーダーだ。



─しばらくダベっていると、どこからともなく可愛いらしい声がした。



『あのぅ。こんにちは。ここはTeam.ACEの集まりでよろしかったでしょうか?』



振り返るとそこには、小柄でショートカットの中学生くらいの女の子だ立っていた。


ゆう『そうですが..どちら様ですか?』



『私、ミヤカです!』

『よろしくお願いします!』



『えぇっ!?』3人とも驚いた!



海人『ミヤカはまだ若いとは思っていたが..まさかこんなに幼いとはな。 いまいくつ? 中学生かな?高校生かな?』


と問いかけると。ミヤカは少しふくれ面して答えた。



ミヤカ『私、こう見えてもう22なんですけど!』



あれ?まさか、もう成人していたとは─。



『すみませんでした。 よろしくお願いします!』

3人が口を揃えて謝罪した。



主に直樹の質問責めにあっているミヤカ。

どうやら、本名ではないようだ。


不敏に思い『場所を変えよう』と提案する。


今朝から連絡がない残り3名。

おそらく今日は来れないだろう。


少し早いが、会場へと向かった。




受付を済ませ、本大会の栞、そしてギルド名が書かれたカードが渡させた。

受付した人数分のみ。それぞれ色違いで、ユーザーコードとユーザー名が書かれている。


会場は広々としていて、ステージの他に、白いカプセル状の大きなマシーンが無数に設置されていた。



どうやら、ただスマホでゲームをするだけでは無いらしい。



次々と参加者が集まり、次第に人で溢れかえっていた。


ゆう『けっこういるな。みんな、はぐれないように気をつけてくれよ。』


ミヤカ『もしはぐれたら、いつものように迎えに来てよね♪ ユウくん。』


見た目は幼いが、ゲーム内のキャラとあまり変わりないミヤカ。

そのフレンドリーな振る舞いが、とても心地よかった。


ゆう『はぐれないようにって言ったはずだぞ。なんなら、手でも繋いでおこうか?』

冗談交じりに答えた。


ミヤカ『それもいいかもね? でも汗で手が滑っちゃ意味ない から、ゆうの鞄にしがみついてる。』


そう言って俺の鞄に手をかけるミヤカ。


まるで子供みたいで可愛い。



開会数分前、場内アナウンスが流れる。

その時─


直樹『あ!テラからLINE。』


テラ『たった今会場に着きました』

テラ『みんなと合流するのは難しいけど、必ず僕もみんなのお役にたちます!』


─との事。この会場のどこかにはいるらしい。


ゆう『そうか、間に合ったのか。会えないのは残念だけど、参加してくれるのは心強い。』


ミヤカ『一体、どんな人なんですかね? 本当はどこかに隠れてるだけなんじゃ?』


ゆう『まぁ確かに気になるが、こん混雑の中じゃ、仕方ないよ。』


─となると、やはりシンとゼロは、不参加か。


本音を言えば2人にも会えるのを期待していたが、それも仕方ない。





─そして、場内アナウンスと共に開会式が始まった。




女性『今、ここに開会を宣言します!』


場内が一気に盛り上がった。俺達も一斉に声をあげた。



女性『まずは予選を行います。皆様、各ギルドごとの敷地に別れ、ゲームをログインして下さい。 尚、ギルド不参加の方々は、ステージ横のゲートにお集まり下さい。』



各ギルドごとに例のカプセルが設置してある。

どうやら、ゲームの臨場感を味わうためのマシーンで、VR機能が搭載してある。



皆一斉にその装置を取り付け、ログインを行った。


ミヤカ『うわぁ、何これ? 凄い凄い!』


直樹(ナオト)『マジ?スゲーな! こいつは驚いた!』


海人(カイト)『こんな大掛かりなセットに固定されて、俺達は本当に大丈夫なのか?』



確かに俺も驚いた。あまりにも最新なシステムとハイレベルな技術に圧倒されて、言葉が出ないくらいに。



女性『ログインを行った方々から順番に、お渡ししたカードに記載されたシークレットコードを入力して下さい。』


受付でもらったカードのことか。

メンバーそれぞれに違う色と、異なる模様が描かれている。


俺のは、クロスする2本の剣とその上にTeam.ACEと描かれた模様で、赤いカード。


他のメンバーも書体は同じで、模様はおそらく、それぞれのキャラのメイン武器が描かれているようだ。


ちなみに、

カイトが青。ミヤカが黄色。ナオトが緑だ。

テラは、何色なんだろう?



とりあえず、そのシークレットコードとやらを入力してみた。

すると─


【Team.ACEのリーダー、ユウさん。おめでとうございます!】

【特別ログイン達成にて、あなたには超レアアイテムが支給されます。】


【SSSランクの武器、イクスブレードです!】


俺に合った二刀流の武器がプレゼントボックスに贈られた。


ユウ『えっ!マジ? 今までの武器とは桁違いなレベルだ。』

ユウ『こんな凄いので闘えるのか!』


テンションが冷めやらぬ中、続けてそのカプセルが意味深なセリフを口にした。



【Team.ACE内において、あなたは『鬼』に任命されました。】

【くれぐれも、お気を付け下さいますよう。】



鬼?一体何の事だ? 今までこんな仕様は無かったが。


不可解な謎を残したまま、俺はゲーム内のステージにたどり着いた。



今までの大都会をイメージさせるステージとは違い、アマゾンを思わせるような、辺り一帯が巨大なジャングルに覆われたステージだ。



─が。そこにはメンバー誰一人いなかった。






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