第34話 家飲みのあとに
かなり短いです。
話が広がらないっすね。ネタの数が少ない。
母さんと美香さんが酔いつぶれてから2時間。母さんはなんとか寝室に連れて行けたけど、美香さんは帰すわけにもいかなかったのでソファーに寝てもらった。
美香さんの隣に座り、様子を見る。少しすると、美香さんが呻きながら身を起こした。そして、「あれ・・・寝てた?」と呟く。まだ酒が残っているのか、頭を軽く振る。
僕が「お水、要ります?」と聞くと、ようやく僕の存在に気づいたようで、「えっ?あっ、勇気くん」と、少しぼうっとした表情で見てくる。そして、「あっ、お水。うん、欲しいです」と、乱れた髪や服を整えながら恥ずかしそうに言ってきた。
僕がコップに水を入れて持ってくると、美香さんは「ありがとう・・・」と言いながら一気に飲み干してしまった。
「勇気くん、もしかしてずっと居てくれたの?」
「ええ、母さんは寝室で寝てます。妹は部屋に行きましたよ。美香さんを一人にはしておけないので」
僕が笑顔で答えると、美香さんは凄まじく顔を真っ赤にしながら、「ごめんね、迷惑かけちゃって。もしかして、勇気くんに何か変なこと言っちゃったかな?」と、恐る恐る聞いてきた。
「そんなことはなかったですよ。面白かったです」と答えると美香さんは安心したようで、「それなら良かったけど、みっともないとこ見せちゃったね」と言う。
僕は「大丈夫ですよ。楽しく過ごしてもらったみたいですし、良かったです」と答える。美香さんは、何だか泣きそうになっている。どうしたのか聞いてみると、男性から優しい言葉をかけてもらったことがなくて、嬉しくてそれで・・・とのことだった。
仕事ばかりで、出会いがないのかな?と思って「お仕事、大変なんですか?」と聞いてみる。
美香さんは「結果がすぐに出るような仕事じゃないからね。時間をかけるだけかけてダメだった時とかはやっぱり落ち込んじゃうよ」と答えた。
仕事のことをあれこれ聞いているうちに美香さんは酔いが覚めてきたのか、僕との距離が近いことに気がついたようだ。慌てて「ごめん!近かったね」と言いながら少し離れる。
僕は「大丈夫ですよ」と笑って答える。美香さんはあまり背も高くないし、何より可愛らしく見える。あまり歳を感じさせない雰囲気だ。
美香さんは、しばらくモジモジしていたけど、やがて意を決したように僕の顔を見た。そして、「あの、勇気くんさえ良かったら、ほんともし良かったらでいいから、ライン交換してくれないかな・・・?」とおずおずと言ってきた。
僕が「いいですよ」と軽く言うと、美香さんはとてもいい笑顔で喜んでくれた。
そして、美香さんはタクシーを呼んで帰っていった。




