第27話 夕暮れに散歩
短いです。
さっちゃんと僕は遊歩道を歩く。歩きながら、さっちゃんの趣味についてゆっくり聞いてみる。
さっちゃんは、いわゆる「女らしい趣味」ばかりだから、お兄ちゃんには退屈な話かも・・・と恐縮した。
僕は、「そんなことないと思うよ。聞かせて欲しいな」と言う。
さっちゃんは、「そう?そ、それじゃあ」と話し始める。
「まずはプロ野球観戦かな。応援してるチームもあるんだ。サッカーも好き。たまに友達とフットサルもやるよ」
「へえ、さっちゃん、フットサルもやるんだね!カッコいい」と言うと、赤かった顔が余計に赤くなる。
「そうかな。えへへ。あっ、バスケットも見るよ!海外のやつ。」
さっちゃんはバスケットにも詳しいのかな。日曜日の練習試合、一緒に行ってもらおうかな?
さっちゃんはさらに続ける。
「あとは、ギター弾いたりとかかな」
「さっちゃん、ギターも弾けるんだ。聞かせて欲しいな」と言ってみる。
さっちゃんは、「そんなに上手じゃないけど、練習しておく!」と握りこぶしを作って言う。
その後は、さっちゃんの好きなプロ野球チームの話を主に聞いていた。毎年、夏頃に負けが込むから嫌になる、などなど。
そんな風にして、遊歩道を一周する。さっちゃんは、時々、夕陽が沈むのを見に海まで行ったりするらしい。海までは、自転車で20分ぐらいだ。今度連れて行って欲しいと言うと、さっちゃんは「海辺でデート!」と興奮していた。
帰り際、さっちゃんが「お兄ちゃん、学校の女子にもそんな風に優しく話すの・・・?」と聞いてきた。
僕は、「普通に話してる、というか、会話がなかなか続かないかな」と、笑いながら話す。ほとんどの人はひと言ふた言話すと逃げるように行ってしまう、とも付け加える。
さっちゃんは、僕から顔を逸らしながら、「お兄ちゃん、す、好きな人とか、いるのかなぁ〜、なんて」とモゴモゴと質問してきた。
「いまは特にいないよ」と答えると、さっちゃんは「そ、そうなんだ・・・えへへ」と、身をよじる。可愛い仕草だったので思わず頭を撫でてしまう。
さっちゃんが、「ひゃっ!」と声をあげる。あまりに唐突すぎたかな?と思ったので言い訳をしておく。
「なんかさっちゃんの仕草が可愛くて。突然ごめんね、嫌だった?」と言うと、さっちゃんは、真っ赤な顔で「ぜんっぜん!!嫌じゃないよ!!もっと、して欲しいなぁ〜ってくらい・・・」と、多少目をギラギラさせながら言う。
僕は、「じゃあ・・・」と言いながら、さっちゃんの頭を撫でる。さっちゃんは僕が撫でやすいように少し身を屈めてくれている。
やめるタイミングがイマイチ掴めなかったけど、犬の散歩をしている中年の女性が近づいてきたのでさっちゃんの頭から手を離す。さっちゃんは、「あっ・・・」と言った後、「もう少しして欲しかったな」と呟いた。
そんな風にして、僕たちの散歩は終わった。




