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花宵奇譚  作者: 花宵
1/2

過去

 七重八重 花は咲けども 山吹の 實の一つだに なきぞ悲しき (兼明親王)


咲き誇る山吹の華を一房添えて、まだ微睡の中にいる愛おしいあなたに文を残す。


仮初めの夢が覚めた時、私はあなたの御傍にはいないことでしょう。

あなたがいるだけで私の世界は万華鏡のようにくるくると回り、踏み入れることすらかなわなかった景色を見ることが出来た。あなたがいたから私はとてもとても幸せでした。


いつか覚めると分かっていた夢でもこんなにも名残惜しいものなのですね。


しとしとと降り続く春の雨もそろそろお暇するようです。

私もそろそろ行かなくてはなりません。


どうか、どうか、お元気で。


もし叶うのならば

来世で再び巡り会い、今度こそはあなたと寄り添えたい。


あなたが散り行くその最期の瞬間まであなたの御傍に…


桜吹雪の舞い込む殺風景な部屋から立ち去る女の影。

その白い頬には一筋の雫が光っていた。

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