表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/110

思った以上にバッサリ切ってて驚きました

大変にお久しぶりです。

感想の返信も出来ていなくて、本当にすみません。

もらった感想は全てありがたく読ませていただいています。

修論も出し終わり、無事卒業できそうです。

そして、告知が遅くなって申し訳ないのですが、コミカライズ2巻が発売中です!

ピッコマなどでも気軽に読めるので、久松ゆのみ先生の素敵な漫画を是非見てくださるとうれしいです。

これらの記念ということで、しばらくストックが消れるまで毎日0時に連続投稿します。

なるべく完結までいきたいなと思ってるので、頑張ります。

よろしくお願いします。



 夏休みが明けて、新学期になった。

 とは言え、久しぶりの学校って感じは一切ない。

 ……学園祭前の修羅場で、ずっと学校来てたからな。今年の夏休み、遊んだ思い出あまり無いぞ。

 まあ、文化祭準備で机などがどけられていない状態の普通の教室に来るのは久しぶりと言えるだろうか。

 教室に着いて、周りを見渡す。

 ……まだ、来てないか。

 

「おっはよ~! 篠やん! 赤っち! 新学期だね~」

「ああ、はよ。黄原」

「おはよう、黄原……昨日も会ってたのにテンション高すぎないか」

「え~、赤っち、つーめたい! ねえ、篠やん!」

「ああ、うん、そうだな。あ、はよ、白崎」

「おはようございます、篠山」

「思いっきり、スルーするね! とは言え、おはよう、白っち!」


 いつものメンバーで駄弁りながらも、ついつい教室の入り口の方を気にしてしまう。

 いつもならこれぐらいの時間で来てたはずなのにな……。

 チャイムが鳴る直前、俺らがそろそろ席に着こうとした時、桜宮が教室の扉を開けた。

 左足首にはしっかりと包帯巻かれている。


「ま、間に合ったあ。あ、おはよう、凛ちゃん」

「おはよー、桃。足、大丈夫?」

「うん、安静にしてれば、ギリギリ文化祭には治るって。ただ、いつもみたいに走ったり出来ない分、ちょっと学校に来るの大変だったあ」

「あー、やっぱり大変そうね。安静、頑張れ。荷物持とうか?」

「ううん。大丈夫。ありがとね」


 染谷と話してる内容が聞こえてきて、なるほどなと頷く。

 そりゃ捻挫してれば、いつもみたいにはいかないか。

 そんなことを考えて、桜宮の方を見ていたら、ふと目が合った。

 桜宮が慌てた様子でこちらに来ようとした瞬間、チャイムが鳴った。

 慌てて、席に着く。

 まあ、学校も始まったし、普通に話す機会もあるよな。

 そう思って、久々に授業に頭を切り替えた。

 


 話す機会がある、そう思ったのに……!

 新学期が始まって、3日目の放課後。

 俺は生徒会室で作業をしながら、頭を抱えていた。

 うん、まあ、あれだろう。文化祭直前の修羅場、なめてた。

 新学期が始まって、授業が開始された分、ギリギリ進行な部活、クラスは大分焦っている。

 そのため、絶対に生徒会役員を捕まえられる休み時間などにやってきて、書類提出や確認などをしていくのだ。

 お陰様で、昼休みとか飯を掻き込むのがやっとだったぞ。流石にふざけんなよって言いたいけど、先輩に言われて走りました感溢れる一年生とかに当たる訳にもいかないしな。

 文化祭は新学期が始まってから丁度一週間後だけど、終わるまでこんなんかひょっとして。

 朝話そうにも、桜宮、最近、来るの遅いしな。まあ、捻挫で安静言い渡されてるんだから、むしろゆっくり来てくれって言いたいくらいなんだけど。

 今日もギリギリ挨拶出来たぐらいだったし。

 ちゃんと謝りたいって思ってんだけどな。思わずため息を吐くと、近くで小さな笑い声が聞こえた。

 

「ため息多いですね。やっぱり、桜宮の事で悩んでます?」


 そちらを見ると白崎が笑いながら、こっちを見ていた。今は他のメンバーが屋台関連の確認に行っているから、この時期には珍しく生徒会室には二人だけだ。


「……聞く前から分かってんじゃん」

「いえいえ。篠山、結構色んな事に首突っ込んではその事で悩んでますので。いつもため息増えたり、ぼーっとしたりが増えるんですよね」

「……すんませんね」


 うん、よく指摘されるけど、改めて言われるとちょっと恥ずかしいな、これ!

 

「でも、そんなに悩むと思わなくて。篠山、普段は人付き合い上手いので普通に仲直りすると思ってたんですよね。珍しく、生徒会室に二人きりですし、悩み聞きますよ」

「うーん、人付き合い上手いと言うかなあ……」


 まあ、前世からの積み重ねで対人関係の経験がそれなりにあるってだけだし。

 前世でそれなりに色々あって、困って、悩んだ記憶があるから、つい周り見て先回って動いてしまうのだ。

 それに大体の対人トラブルって、こっちがちょっと大人になって譲ったり、気を使ったりすれば結構防げちゃうのである。

 小学校、中学校と流石にこっちのが精神年齢大人なんで、基本そんな感じでやってきている。

 貴成とかは付き合いが長すぎる分、お互い何か気になった時に文句言うし。

 拗ねてるなあとか、機嫌悪いなあと思っても、あんまり気にしないで話しかけにいけるし、普通に謝って終了だ。面倒くさい所も多いけど、貴成、何だかんだ言って根が良いやつであるので。

 だから、俺には喧嘩からの仲直りという経験があまりなかったりする。黒瀬とかは最初は素っ気無かったが、喧嘩という訳では無かったし。

 前世では仲拗れて、拗れっぱなしとか結構あって。それが嫌だから今生は徹底的に避けてたしなあ。

 そんな風に今までやってきて、困った事とかも特に無かったけどこう言う時にすごく困る。

 最近、桜宮を怒らせたりする事が多いのもその辺の問題だろうなあ。

 なんと言うか、最近、ちょっと気付いてしまったけど。俺は前世から経験で動いているせいか、前世で出来なかった事にかなり弱いのだ。


「……喧嘩の経験値低いんだよ、俺」

「黒瀬と一緒に喧嘩したのが切っ掛けで仲良くなったと聞きましたけど?」

「そういう喧嘩ではなく! つーか、なんでお前も知ってんの!?」

「いえ、黒瀬と篠山が仲良くなってきた時、赤羽が聞いて、黒瀬が普通に答えてましたよ。なので、黄原も知ってますし」


 あー、口止めしてませんね、そう言えば!

 つーか、知ってて何も言わずにスルーしてたのね、コイツら。

 なんか恥ずかしいので、話題を元に戻す。


「俺の練習にわざわざ付き合わせた上に、最後滅茶苦茶怒らせちゃったからなあ。正直、桜宮にすごい悪いし、ちゃんと謝りたいんだよ」

「あれ? 篠山、謝ってましたよね?」

「一応謝ったけど、あの後、忙しすぎてちゃんと話せてないから。許してもらってないのに、謝ったから、もう大丈夫は無しだろ。嫌な思いさせたのはこっちなのに」

「……篠山、本当に良いやつですよね」

「お前ら、それよく言うけど。お世辞にしても恥ずかしいんだが」

「いえ、お世辞では全くなく。と言うか、今回はタイミングが悪かったのも大きいですが、桜宮が少々面倒くさいのもありますよ」

「え、いや……」


 おい、攻略対象者。ヒロインに対して、それかい!

 思わず微妙な顔してしまった所に、他の生徒会メンバーが帰ってきた。


「たっだいまー! あれ、篠やん、変な顔してどうしたの?」

「いえ、桜宮の事で悩んでいたので。今回はタイミングが悪いのと、桜宮が少々面倒くさいのが拗れた原因ではと言ったら、変な顔をしてしまって」

「普通にそうだろ。確かに夏休み挟んで面倒くさくなったのが大きいが、正彦、ちゃんと謝ってたしな。あれでいつも通りに戻してたら、普通に仲直りできてただろ。多少ムカつくことがあったとしても、変に距離取らずそれをそのまま伝えれば、拗れずに済んだだろうにな」

「あー、えっと、うーん。……そう言う所も女の子らしくて可愛いよね!」

「……えと、まあ、その……篠山先輩が忙しいの落ち着いたら、……多分、大丈夫です」


 ばっさり桜宮をこき下ろす貴成。

 フォローになってないフォローをする黄原。

 目を泳がせつつ、その話題にはそっと触れないようにする青木。

 ……生徒会メンバー全員、桜宮を庇う気配なし。

 おい、攻略対象者達。


「でも、篠やん。そんなに桜ちゃんの事で悩んでるなんて、気になってる感じ?」

「まあ、俺が怒らせたのがそもそもの原因だしな」

「いや、いくら失礼な事言ったとはいえ、あれはちょっと拗ねすぎだろ。あっちもそわそわしてるし、仲直りは時間の問題だろ」


 またしてもばっさりな貴成は相変わらずである。

 まあ、でも、確かに面倒くさいっちゃ、面倒くさいのか、桜宮。

 初めて会った時には典型的なミーハー女子って感じで貴成を怒らせ、白崎の件でちょっともめて。

 よく分からない言動は多いし、変な所で落ち込むし、はしゃぐし、挙動不審は多いし……あれ、大分面倒くさいな?

 でも、まあ、ちゃんと反省出来るヤツだし、一生懸命だし、友達想いだし。良い所も沢山あるぞ、うん。

 思わず自分で思った事に自分でフォローしてたら、ちょっと冷静になった。

 まあ、確かにちょっと何か切っ掛けあれば、普通に仲直り出来そうな問題ではある。

 それなのになんでこんなに悩んでるのかと言うと……。

 あー、本当に全然接する機会が無くなったからか。

 去年の途中から桜宮からの絡みが増えて、それが普通になってたけど、夏休みからずっとちゃんと話せていない。

 忙しいのも原因だが、桜宮が話しかけてくれてたのが減るだけで、こんなに接する機会が無くなると思わなかった。

 それに、……文化祭まであと四日。

 あのダンスの約束どうなるのか、どうしようかとか、本当にすっごい気にしてるから。

 やっぱり悩んじゃうよな、うん。

 そんなことを思っていると、ポケットに入れっぱなしだった携帯が振動しているのに気付いた。

 危な、マナーモードにしとくの忘れてたな。授業中じゃなくて助かった。

 確認すると、メールが来ていた。

 送り主は渚だ。なんかこの前会ってから、連絡増えたな。

 今年、忙しすぎて、あんまり誘いに乗れなかったけど。

 えっと、何々、中学の時のメンバー誘って、文化祭に遊びに来るのか。

 『正彦が頑張ってるならすごそうだし、楽しみにしてる。当日、是非、案内してね!』と書かれた文面に、少し考える。

 文化祭は当日も結構忙しそうなんだよな。

 いつものメンバーも同じくといった感じだし。

 でもまあ、ちょっと回る時間がないこともないか?

 去年は黒瀬の件であんまり普通に回れてないから、色々見れたら楽しいなとは思う。

 同じ件で頑張ってた桜宮は、今年はちゃんと遊べんのかな。

 多分、染谷とか香久山さんとか仲良い子たちと回るんだろうな。あ、ひょっとしたら、文化祭では好きなやつ誘ったりするのかな。

 去年、桜宮に助けてくれた礼を言いにいった時のことを思い出す。

 見つけた時に丁度不良に絡まれてて、急いで割って入った。不良が思ったよりも簡単に引いてくれて、助けられて良かったと思った所で、泣き出されて、すごく焦った。

 あのちょっと後くらいから、桜宮が俺に話しかけてくることが増えたんだよな。

 去年は大変だったけど、桜宮も今年は最後まで楽しく過ごせれば良いな。

 そんなことを思いながら、メールの文面を見ながら少し悩む。


『わざわざ来てくれるの、ありがとうな。

 当日も忙しいけど、ちょっとの間だけなら大丈夫だと思う。

 来たらメールくれって、他の奴らにも言っといて』


 と返して、役員としての仕事も頑張らなくちゃなと、仕事に頭を切り替えた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新有り難うございます。 リアル大事に。 [一言] これが鈍感系主人公の実力か!(モブだけどw) 本当の意味で何が原因なのか分かっていないところにジレジレして、また楽しいのですが そして…
[良い点] 更新ありがとうございます。 楽しみにしてます。 無理のない範囲でよろしくお願いします。
[一言] なるべくなんか・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ