夜更かしは止めたほうがいい
ねっみい。
欠伸をかみ殺すが、頭がぼうっとするほど眠い。
…やっぱ、昨日のバイクレースの動画がダメだったか。三時間睡眠でいけると思ったんだが。
ちなみに、今は六時間目の学活である。
授業は耐えることが出来たのだが、やはり何かの係決めなどは眠たくなってきた。
何の話をしているのかわからないほど眠い。
「篠山君はどうですか?」
ん?
どうやら、クラス委員の生徒に名前を呼ばれたのだが話をまったく聞いてなかったため何を聞かれているのかわからない。
そして、眠たすぎて頭が働かないのである。
…適当に答えるか。
「いいと思います」
「あれ、いいんですか?」
「大丈夫だと思いますよ」
「わかりました。じゃあ、篠山君が文化係決定で」
ん!?
一気に目が覚めた。
ヤバい、俺よ、何故適当に返事を!?
この学校のこういう係はとてつもなく面倒くさいと内部のヤツに聞いている。
い、今からでも断って……
「おー、篠山やるのか。意外だな」
「頑張れよー」
断れる雰囲気じゃ無え!
「それでは、篠山君。細かい説明などを行うので放課後、職員室に来てくださいね」
成瀬先生の穏やか笑顔にとどめを刺され、ガックリとため息を吐いた。
「引き受けてくれてありがとう。こういう係は皆やりたがらないから助かったよ」
放課後、職員室で成瀬先生に心からそう言われて、軽く罪悪感がわいた。
すみません、ぶっちゃけ言って引き受ける気なんて欠片もありませんでした。眠たくなかったら、絶対に頷きませんでした。
「やることはさっきも軽く説明したけど、講演会の手伝いや姉妹校との交流を取り仕切ることだよ。講演会は本当に有名な方が来るので、絶対に失礼の無いように気をつけてくださいね。」
成瀬先生が書類を渡してきた。
「とりあえずは、1ヶ月後にあるこの講演会の手伝いを始めてください。やることはこれに書いてあります」
書類にざっと目を通す。
とんでもなく面倒くさそうだが、引き受けてしまったものはしょうがないので真面目にやろう。
それにしても、
「すみません、この担当の先生って誰ですか」
「ああ、それは…。っと、いいところに。紫田先生!」
うえ!?
「講演会の担当は紫田先生です。何か聞きたいことややることの指示は紫田先生に貰ってください」
「篠山だったな。大変な仕事だけど、いっしょに頑張ろう」
「…頑張ります」
「頑張ってくださいね。特に質問等がなかったら、もう帰っていいですよ」
「あ、はい。じゃあ、帰ります。さようなら」
「はい、さようなら」
「気をつけて帰れよ」
職員室を出て、深いため息を吐いた。
また、攻略対象者との接触かい。
なんか、入学当初の目標からどんどん遠ざかっている気がする。
それにしても、
「紫田先生ってあんなキャラだっけ」
なんか、前世の妹は紫田先生はちょっといい加減で面倒くさがりなところがあるんだけどそこがいい!って騒いでた気がするんだが。
実際の紫田先生は真面目でキチンとした先生である。
スーツもキッチリと着こなしているし。
でも、まあ、俺みたいなイレギュラーがいたりもするんだから、キャラが違うくらい許容範囲だろう。
それに、黄原だって実際はあんなに残念だったし。
そんなもんなんだろう。
その後、何故かわざわざ待っててくれたらしい幼なじみに係を引き受けた理由を聞かれて、眠たくて適当に答えたら何故かやることになってたと、答えたら大爆笑された。
チクショウ。もう二度と夜更かしなんてしねえ。