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挨拶は大事です

「篠やん、赤っち、オッハヨー!!」


 朝っぱらから、やたらとテンションの高いこの声は言わずもがなで黄原である。

赤っち呼ばわりに幼なじみの顔が軽く引きつってるな。

数日前に黄原も誘って昼飯食べてから、なんかこんな感じである。

 しかし幼なじみを赤っち呼びとは軽く笑え…、いや、勇気あると思う。さすがは未来は同じ生徒会として働くだけあるな。


「はよ、黄原。朝からテンションたけーな」


 幼なじみは視線をチラッと向けて答えただけだ。

付き合い長いから、嫌っては無いとわかるが、その反応はどうなんだ。


「赤っちは、返事無し?ひっどー!!」


 あ、うん。軽くイラッとするので幼なじみの反応でも別にいいか、これは。


「おはようございます。赤羽君、黄原君。………篠山君」


 ヒロインが声をかけてきた。毎朝恒例なのだが、最近はちゃんと俺にも挨拶するようになった。

一応成長したのだろうか。

 軽く、はよ、と返す。

まあ、いつも通り幼なじみは不機嫌オーラまるだしだけどな!


「オッハヨー、桜ちゃん。今日も可愛いね!」


 キラッという効果音が似合いそうな笑顔で挨拶する黄原はやはりチャラ男に見える。

だが、チラッとこっち向いて目配せしたのはやはり幼なじみに気を使ってくれたのだろう。

意外と気の使えるやつである。

 黄原がヒロインとしゃべっている間にさっさと退避し、席に着いた。

準備をしているともうすぐ、HRの時間になり、黄原達も席に着いた。

 と、幼なじみが席を立った。

いつもは自分の席で授業までじっとしているのに珍しい。

 黄原の席まで行って


「……おはよう」


 何というか、実に幼なじみらしい。

さっき、気を使ってくれた礼の代わりと、あと、さっきは無視して悪かったというところだろうか。

素直に言わないが、こういうことを行動に移せるところはいいやつだなと思う。

 黄原もなんとなくわかったようで、明るくオッハヨー、と返していた。

あいつもなんだかんだ言っていいやつである。


 朝から、幼なじみの不機嫌顔を見なくて済んだし、平和だなと思っていると


「おはよう」


 女子のキャーという黄色い声があがる。

はい、副担の紫田先生ですね。いつも穏やか、にこやかな、成瀬先生はどうした。


「今日は成瀬先生が出張ということで私が担任の仕事を代理します」


 ああ、なるほど。成瀬先生、出張か。

にしても女子がうるさいな。

黄原のおかげで削られずに済んだ俺のライフがガリガリ削れている気がする。

 別に、紫田先生が嫌いとかじゃないんだけど、周りがうるさいのは気にくわない。

俺は授業とかHRは静かに受けたい派だ。


「欠席は……白崎か」


 ふっと、白崎の席の方に目をやる。 

そう、白崎は入学式以来殆ど学校に来ていない。

その割には、授業であてられた時はさらりと答えるし、小テストなども満点なので、近寄り難くなってしまったようで、たまに学校に来てもあまり話しているところを見かけない。

 攻略対象者ということを考慮してもなんか心配な感じである。

軽く今日の連絡をして、HRは終わりなのだが、それまでの間にも女子はキャーキャー言っていた。

本当にうるさい限りである。


「すみません、もうすぐ授業始まるんで早くしてくれませんかね」


 いつの間にか、一限の先生が来ていたようで紫田先生に文句を言っている。


「すみません」

「まあ、女子生徒に色目使うのもほどほどにしてください」


 うっわ、超イヤミ。

紫田先生も軽く顔が引きつっている。

さっさと教室を出ていったが、何というか、顔がやたらと派手だと苦労するなぁ。

 そして、このイヤミな先生は個人的に好かん。

前世で貧乏人と散々イヤミ言われたのを思い出し、不愉快になる。

まあ、成績で見返してやってたけどな。


 欠伸をかみ殺し、ノートを取る。

朝の平和な気分と、幼なじみを見て軽く和んだ気分が台無しである。

まあ、その後、あてられてワタワタしていたヒロインを見て軽く和んだが。

 見ていて面白いのだが、こいつもちょっと残念だよな。


タイトルが思いつかない……

まあ、挨拶は大事ですよね、うん。

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