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ファンクラブに驚きました

 残念なイケメンである黄原の素を知り、友達となった翌日であるのだが。


「赤羽様ーー!」


 校門のあたりに貴成目当ての女子が集まっております。

そのせいで貴成の機嫌が非常に悪い。

妹の話で貴成にファンクラブができるのは覚えていたけど……

できんの早すぎじゃね!?


 上を見ると鮮やかな青空。春のうららかな陽気にふさわしくモンシロチョウが飛んでいる。

 隣を見ると、我が幼なじみの超絶不機嫌な顔。

オーラが黒い、止めてくれ。

して、この状況を打開するには………


「貴成、ごめん。忘れ物したわ。取り行くの付き合って」


 門の前でくるりと方向転換する。

幼なじみはホッとしたように着いてくるが、女子の視線が非常に痛い。

うん、邪魔だねー。知ってるよ、チクショウ。

貴成のファンから見えないところまで行ったら大きく迂回して裏門へ向かう。


「…貴成、あのさ、女嫌いなのは知ってるけど、態度露骨過ぎっぞ」


 裏門に着いたあたりで話を持ち出すと、貴成が嫌そうな顔をした。


「学校に来るだけでわざわざ変なことしてくるのが意味わからん。しかも、あいつら正彦を馬鹿にしてるし」


 あー、なるほど。


「…まあ、怒ってくれるのは嬉しいけどさ、俺別に気にしてないからさ。それよりも、せめて普通に正門から通えるようになって。もう、嫌なんだったら無視してもいいから。あのままだったら、お前学校の中に入れなかっただろ」


 そういうと、図星をつかれたようでそっぽを向いた。


「返事は?」

「…善処する」


 何というか、昔から手間のかかる幼なじみである。

まあ、小学校の時から、つきまとわれたり、物とられたりしてたの見てきたから無理も無いかと思ってしまうところが甘いのか。


 教室に着くと、


「赤羽君、おはようございます」


 ヒロインに声をかけられた。

一人くらいだったら、頑張れるだろ。

放置して用意をしに行く。

幼なじみが、助けを求めるような視線を送ってきたので「がんばれ」とクチパクで言いそのまま準備を続ける。


「篠やん、おはよう!」

「おう、黄原か。はよ」


 黄原に声をかけられた。

朝、きっちり髪とかをセットしたチャラ男スタイルな見た目を見るとますます昨日の残念さが際立つな。


「あれ、今日は助けに行かないの?」

「教育的指導。俺に頼ってばっかじゃいけません。切れそうなったり、大勢になったら助けに行くぞ」

「保護者?」

「うっせ」

「でも、そうか。あの子のことは認めてるのかと思ったよ」

「んー、まあ、それは置いといて昨日の練習の成果を披露しなくてもいいのか」

「それを言うなって!いってきます」


 黄原が男子に声をかけにいって、おはようと返されるが、会話につまり、結局女子としか話していない。

おい。


 それにしても


「ヒロインねえ」


 昨日は黄原のことですっかり紛れていたが、どうなんだろうな。あの子。

俺が転生者ってことはヒロインも転生者の可能性ありなのか。


 そう思ってチラリと見るとどうにか切り抜けたらしい貴成と、少し不満げにしながらも用意をしているヒロインが見える。

ぶっちゃけ言って、他の女子と反応変わんないからな、あれ。

 まあ、転生者かどうかは置いといて、


「放置でいいか」


 さすがに逆ハーとかやりだしたら妨害させてもらうが、その他は別にどうでもいいか。

幼なじみはトレーニングになるだろ。

切れそうになったりしたら助けに入るが。


 幼なじみの軽く恨みがましい視線に手を振って答える。


 よくある乙女ゲーム転生物みたいにモブがヒロインの応援ってのは俺では有り得ないんだろうな。

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