奇行ですか?
ヤバい、見つからない。
四時間目の終了時に俺は頭を抱えていた。
残りの時間は、昼休みと講演会を含めて後二時間ちょっとだ。
今のところ収穫は、学園のシステム上重要書類は持ち出しに適切な処置をしないと学園から持ち出した時にアラームが鳴り、大事になるので学園の中にあることは確実ということと、体育の時間にゴミ捨て場をあさった結果ゴミにはなっていないということである。
シュレッダーの中も空だったし、ゴミの収集日は明日なので、おそらくは確実だ。
本当にどこにやりやがった、アノヤロウ。
「篠やん、お昼行こー!」
黄原がいつも通り声をかけてきた。
まあ、とりあえず昼休みになったんだから黄原達には悪いが、探しに行こう。
「悪い、黄原。講演会の準備あるから、今日はパス」
「あ、そっか。結構、忙しいんだね」
「まあな。貴成も悪いな」
「いや、別にいい。頑張れよ」
とりあえずは、資料室探してみるかなと思いながら、教室を出ようとした瞬間、
「ああああっっーー!!」
桜宮の声が響きわたった。
……なんぞ?
「ご、ごめん、篠山君! 今日の講演会の担当の先生って、もしかして紫田先生!?」
「そ、そうだけど、何で知ってんの?」
言ったら、紫田先生目的の手伝いをしないお手伝い立候補者達がたくさん出ることがわかっていたから隠していたのだが。
「や、やっぱり。ごめん、教えてくれてありがとう! 用事出来たからまたね!!」
走って教室を出て行ってしまった。
何だったんだ。
一瞬、呆然としたものの時間が無いことに我に帰り、俺も教室を飛び出した。
「…見つからねえ」
もう昼休みの終わりかけである。
講演会の時間をいれても、タイムリミットはあと一時間ほど。
やっぱり、芝崎先生を問い詰めるしかないだろうか。
でも、絶対、素直に言うわけ無いからやっぱり時間が無い。
大事になるからってためらわずに、あの時問い詰めてみたら良かった。
思わず深いため息をついた。
「ヤッホー! ため息ついたら幸せ逃げるよ、青少年!」
「うわぁ!?」
陽気なセリフと共に背中を勢いよく叩かれてつんのめった。
振り返ると想像通りのさっきお世話になったどこか子供らしい笑顔がそこにあった。
「いきなり背中叩くの止めてくださいよ、茜坂先生!」
ケタケタ笑ってるけども、普通に痛かったぞ。
保健室の先生がこんなに暴力的でいいのかねえ?




