表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/110

問題児認定かもしれません

「成瀬先生、ちょっといいですか」


 まあ、とりあえずは状況確認だろう。

HRの前に成瀬先生を捕まえた。

幼なじみは今日は早く来ていたらしく、時間はそれなりにある。


「どうしましたか?」

「紫田先生どんな感じかわかりますか?」


 いきなりの質問に成瀬先生は少し驚いたような顔をした。


「…ひょっとして、書類の件について言ってます?」


 やはり、成瀬先生は知ってたらしい。


「はい。俺も今まで作業してきたので、書類探すの手助けできるかなと思いまして。……それに、紫田先生、大変そうでしたし。どんな感じなのかと心配になりまして」

「…正直言って、篠山君に手伝えるようなことは無いと思いますよ。書類が無くなったのは、夜です」


 夜?


「前日に私と一緒に確認した時には、ありましたから。その後に、紫田先生だけ最終確認で残って少し作業をしてたんですよ」

「その時って、他に誰か先生残ってたりしませんでしたか?」

「芝崎先生が残っていましたけど、知らないとさっき言っていました」


 芝崎先生って、あのイヤミ数学教師か。


「紫田君を心配してくれるのはありがたいですけど、篠山君が関わるような問題では無いですよ。私も紫田君といっしょに探しています。HRの時間ですので、もう行きましょう」

「すみません、あと一つだけ質問いいですか」

「なんでしょう?」

「その書類がいるのっていつですか」

「…ですから、篠山君が関わるような問題では無いと「お願いします。成瀬先生」


 笑顔でもっかい尋ねる。

モブ顔じゃあまり迫力は出ないかもしれないが、ごり押しだ。


「ですから…

「お願いします」

「あの、人の話を…

「お願いします」

「もう、HRのじk…

「お願いします」


 終始笑顔を絶やさず、話す暇も与えずに言い続ければ、成瀬先生がため息をついた。


「…講演会が終わった後に先方に渡す書類さえ見つかれば、どうにかなります」


 ということは、タイムリミットは講演会の時間も含めて六時間ってところか。

正確なタイムリミットがわかったのは、助かるな。


「…君は、そういった聞き出し方をどこで覚えたんですか」


 成瀬先生が呆れたような顔をしてる。


「小学生の時から同じようなことしてたので慣れです!」

「君の小学校の先生に心から同情します」

「途中で諦めてましたよ。それに、変なことでこういったことはしませんでしたし」

「尚更です」


 見た目は普通なのに、とか呟いている。


「先生、HRの時間始まっちゃいますよ」

「君が言いますか。…念の為言っておきますけど、授業を疎かにしないでくださいね?」

「大丈夫ですよ。授業は・・・疎かにしません」

「本当ですか?」

「本当です。先生、時間ヤバいですよ」


 はあぁあ、と深く深いため息をついた先生を尻目に、質問答えてくれてありがとうございました、と言ってさっさと教室に向かう。

 なんか、問題児認定されたかもしれないけど、まあ、いいだろう。

小学校、中学校とそうだったしな。

気にしない、気にしない。


 さーて、どうやって首突っ込もうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 笑顔でのごり押しって、通用するのは女性だけじゃないのかなー。 男性でもありな、テクニックなのかな? イケメンならありだと思うけどねー。 普通な男性なら、真面目な顔とか、真剣な顔とか、そ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ