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カミビト  作者: Goinkyo.
女王ペロセポネ
9/11

女王ペロセポネ 宣言

ペロセポネは国の象徴的な君主となることを引き受けた。


国を名乗ると決めた以上、話し合うことは山ほどあった。

いつ、どう発表するか。皇国へ伝えるのか否か。

合議の範囲と王の権限。

決めるべきことが、次々と積み上がっていった。


しばらくは族長や大使たちは会合の地に泊まり込みとなった。


数週間後、予想できてはいたことだが、この動きは皇国側に漏れた。

各氏族あてに、さまざまな文書が届いた。


威圧的な文面。

懐柔しようという文面。


一つ一つの氏族にあわせた文面で、今回は本気のようだ。

ただ、この通知はすえてペロセポネたちに共有された。

文書はすべて共有された。

いまさら隠す者はいない。

届いていないと装えば、背信を疑われる。

あるいは、皇国に軽んじられたと見られる。

どちらも、耐えがたい。


ペロセポネが釘をさす必要もなく、一部の族長が言った。

「ここで寝返るようなら、他の氏族すべてを敵に回すと思え」

「やつらのために尽くしても、何も返してはもらえない。ここで一致団結しなければ、共倒れになるだけだ」

「そうだ、このまま、国を作る方が、よほど生き抜くのぞみが濃い」


大使の一人は言った。

「この場の一同は皇国の臣下なのか、国の象徴であるペロセポネ殿を主君と仰ぐのか、はっきりさせるべきでしょう」

「ちょっといいだろうか。三国には教皇とか、帝とかの君主の地位を表す称号があるそうだ」

「ありがとう。私もそう思います。私個人に従うというより、皆から選出された代表者に従う方が、皆も納得しやすいと思う」

「はい、恥ずかしながら…私が考えた称号は『王』です。この地と人々の柱として支える意味です」

『王』にあたる言葉の翻訳に迷ったのだが、漢字の『王』と非常に似通った言われなので『王』を訳語として採用することにする。

「王…か」

誰かが小さく呟いた。

不思議と、その響きには納得感があった。

感覚は、ときに理屈よりも強い。

その場にいた者たちは、自分たちが何か大きなものの創立者になるのだと、直感していた。


意図的かどうか、ペロセポネは、当人にとっては決意の表れか、

周囲をわずかに見下ろすようにして、厳かに言った。


「では、私は王となり、国の柱となります。

みなさんは柱の礎として、私を、いえ、王を支えてください」


なぜかみな、自然と頭を垂れた。


空気が変わった。


声に、重みが宿る。

視線が集まり、場が張り詰める。


異論を差し挟む余地は、もうなかった。


王を中心とする国造り。

抽象的な概念に名前がつくことで、

人々の頭にその構図がすんなりと落とし込まれるようになった。

族長たちは自然、何事も王に相談する習慣が身についた。

意図せず、ペロセポネは権威と権力を強めていく。


そして、冒頭で説明した、かの演説がなされることになる。


やがて人々は言い伝える。

あの日、王は皇国との決別を宣言したのだと。


実際には、もっと慎重で、冷静で、配慮に満ちた言葉だった。


だが、人の記憶は願いを混ぜる。


彼女はすでに、人々の思いを受け止める器となっていた。

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