宣誓
『南蛮』領代の一人ペロセポネが王を自称。
現代における演劇で名高い「女王大乱」の始まりである。
「私の名は、ペロセポネ。
ここに集まる諸君の王となり、国家独立のために尽くすことを宣言する。
神聖を名乗る彼の国は、我々に何をしてくれた。
我々から、水を、食料を奪った。
我々から、我々のことを決める権利を奪った。
その引き換えに彼らが我々に成したことはなんだ。
ときに都合よく協力者とし。
ときに都合よく反乱者とし。
道具である。
我々は、人間と見られてこなかった。
いや、感謝しよう。
かつて、飢餓が蔓延したときに、わずかな食糧を分け与えてくれた。
それに感謝したからこそ我々は、彼らが食糧難のときに、多大な貢物を贈った。
祖父母は教えてくれた。
疫病が蔓延したときには、何をしてくれたのか。
かれらは固く門扉を閉ざし、助けを求める使者や一般民衆を拒んだ。
彼らがわれらを拒むなら、きっと我らが彼らを拒むことも受け入れてくれる。
さて、このたび、農作物が思うように育たず、食糧難の危機に陥った。
我々は自分たちの力で、それを解決しようとした。
それがダメだという。
彼らはいう。
「神の教えだ」と。
それを知らぬ我々は無知で、彼らに生きるすべを教示してもらうのだと。
彼らのいう「神」とはなんだ。
私は見たことがない。
皆は見たことがあるか。
その声を聞いたことがあるか。
「神」がいったい何者であれ、姿を見せず、
その意思を語るのは、彼らだ。
神の威光を示すのはいつも人だった。
我らとさして変わらぬ人だった。
なぜ彼らは「神」自らに語らせない?
私は思う。
これは、人の教えだと。
我らを支配するのは神ではなかった。
人なのだ。
もう一度言おう、我らと同じ、人なのだ。
彼らは多い。
水も作物も豊かな大地を占拠し、人を増やした。
そして我々のこの土地にやってきた。
彼らに食糧を、水を与え、この土地で生き抜く術や、彼らの故郷への帰り道も教えた。
つぎに彼らがもたらしたのは、色とりどりの作物だった。
我々は興味を持ち、親しみを覚えた。
しかし、次に持ってきたのは武器だった。
それを見て、我々は彼らを恐れた。
戦いを恐れたのではない。
人が、集団で、他人を殺すための武具を作る、
彼らの精神性を恐れたのだ。
彼らは言う。
神の教えに従えば、我々も神の威光に守られると。
しかし、言おう。
彼らが来なければ、我々は「神」とやらに守ってもらう必要もなかったのだ。
自ら鉄で脅しておきながら、どこにもいない敵から守ってやると。
そう、彼らは言ったのだ。
我々が親愛をもってもてなした友人は、脅迫者となってやってきた。
従えと。
彼らは我らの住むこの地を属州とよび、いつの間にか、意のままに動く人形のように心得違いをしている。
その場合はどうすればいい。
相手の意に屈するのか。
耐え忍ぶのか。
我々には我々の力がある。
ここで生き抜いてきた力がある。
彼らに彼らの「神」がいるならば、私は諸君の王になろう。
この地に戦う意思と力を宿していこう。
彼らがいろとりどりの果実をもたらすなら、我々はそれ相応の恩義を返す。
自由を奪い、災いをもたらすのならば、かれらを追い返す力となろう。
今日、ここに、この地は、いずれにも属さない、一つの独立した国であることを宣言する」
次はペロセポネ個人に焦点を当てます。




