0007 伊須淳
「一般民家行きません?」
雷人が言った。
「はい?」
「静寂さんが、家に来いっていわれてるんですけど、優夏も来ません。」
「あの三人エロすぎるわよ。」
「はい。一人で来いって言われたので、実はもう三人誘いました。」
「静寂さんには言ったの?」
「言ってません。」
「………ちょっと待って、それ私入ってる?」
「はいってません。」
優夏は思った。
「男と友達出来た?」
「よく分かりましたね。中澤春宮さんと宮木アンナさんと、伊須淳です。」
優夏は勉強道具を片付けた。それと同時に雷人が首からDVDを抜き出す。
「………何でそんなとこにあんのよ。」
「いいじゃないですか?これ勉強用ソフトのDVDですよね。中にケーキとか入ってますが、たべます?」
「そんなに中身充実してないの、あなた。」
「うー、何か体内にスカスカしてるところと、詰まってる所があって。もうすぐいかないと、中澤さんの車に乗れませんし、迷惑かけてしまいます。」
静寂さんの家についたが、伊須淳を見るや否や優夏は痺れを感じた。
とても顔がかっこよくない、軽く言うと、キモすぎる。
あまりここでは見かけない顔である。
静寂さんは自分の部屋にいて、雑誌の占いと、オレンジジュースで皆でわいわいやった。
「淳くん、何位。」
「はい。ぼくは、10位、だと、思い、ます。」
「じ、淳くん。オレンジジュース飲む。」
「はい。ぼくはオレンジ、ジュースを、飲みたいと、思います。」
「…………。」
「得意な、ことは、部活、です。」
「へえ、何の?」
「空手をしてます。」
「…………。」
「…………。」
「ちょっと、いい。」
雷人はおもいっきり空手の技をかけた。
雷人は綺麗なカーブを描いた。
「えい。」
雷人は受け身が取れなかった。
淳は雷人を見て言った。
「この部屋で、空手の、技を、しかも、応用を、かけるのは、まったく、感心、しませんね。」
伊須は怒った。
「あーみえて、空手全日本選手権の優勝連覇記録更新中なんだ。仲良くやってくれ。」
「雷人が体術で負けた?相当な実力ね………。」
夕陽は落ちて、二人は我が家に帰っていく。
「さてと。」
雷人が東に立った。
審判が笛を吹く。
雷人はおもいっきり空手でない技で淳に勝とうとした。
けたたましい速さで背中をから落ちて、無茶苦茶打った。
(優夏を守れねえ、こんなんじゃ。)
「なあ。」
「はい。」
「オレに空手を教えてくれ。オレは朝倉で下宿してる身だ、構わないか?」
淳は雷人を見て言った。
「修行中。」
淳は礼をすると行ってしまった。




