タイトル未定2025/07/07 20:01
「浩司にいちゃん食料を調達してくるね。」
「気をつけて行って来るんだぞ、香倫」
香倫はそそくさと玄関口に移動し靴箱の戸棚の上に置いてある完全防具を着始めた。
伝染病放射能汚染などあらゆるウィルスを防ぐ代物だ
「これって相変わらず着づらいし着たら着たらで中が暑いんだよね。」
「まあそう言うなよ香倫それが無いと外なんて歩けないだろ。」
「わかってるって、私が無事食料を取りに帰ってきたら、次の機会の時は浩司にいちゃんが取りに行ってよね。」
「ああわかってるって、香倫が無事戻ってくることを願っているよ。」
ピシッ
浩司は勢いよく敬礼したかと思えば、完全防具を着終えた香倫も敬礼する。
「では行って参ります浩司にいちゃん。」
香倫は玄関先のドアを開け、外に出る
「香倫よついに行っちまったか無事に帰って来いよ。俺はお前の帰りを待つことしか出来ない哀れなにいちゃんさ。」
感傷に浸っていて、10秒も経たない内に
ガチャ
ドアが開かれ勢いよく香倫が戻ってきた。
「おお〜香倫無事だったか、しかもちゃんと物資が手に入って何よりだ。」
香倫の両手には食料が入っているであろう袋を手にしている。
「今日も無事乗り切れそうだね〜。」
香倫はブイサインをする、それにつられて兄の浩司もブイサインをした。
香倫は完全防具を脱ぎ去り、食料の入った袋をテーブルの上に置く。
兄妹満面の笑みで袋から物資を取り出し始めた。
お米に肉魚の缶詰野菜詰めのパックにお茶ドリンク類
「今日も豊作ですな、香倫のおかげですわ。」
「でしょ〜私もやれば出来るんだから〜。」
1日分の食料がテーブルの上に置かれる、この食料は自分達で宅配として頼んでいるのではなく、国から支給されている、供給物資なのだ。
指定された時刻に玄関先の自分達の表札の下に置いてある供給物資専用の箱の中に入れてくれる。
「浩司にいちゃん明日は供給物資を取りに行ってね、頼りにしているんだから。」
「わ、わかってるよ完全防具を身に着けてちょちょいと外出して食料を取りに行けばいいんだろ。」
「あんまり油断しちゃ駄目だよ浩司にいちゃん。」
「それより飯だ飯、飯を食うぞ腹が減って仕方がないわ。」
「もう仕方がないなぁ浩司にいちゃんは。」
テーブル上に置かれた食料を2人分、1日3食分に器用に分けていき、お互いに朝ご飯を食べ始めた。
昼になれば支給された食料を食べ夕方になれば食料を食べる。
兄妹は外に出ることもなく、いつもの時間帯に玄関先の表札のある場所に支給物資に置かれた食料を取りに行き、それらを食べ生きながらえているのであった。
「浩司にいちゃん今日は玄関先にある食料を取りに行く番だよ。」
「ああわかってるって、早速行ってくるわ。」
そう言いながら完全防具を身につけ、兄妹はお互いブイサインをしながら、兄浩司は覚悟を決め玄関先のドアノブを引き外出する。
玄関先から表札まで約3メートルほどだ。
そそくさと歩き、敷地内から出る為の扉を開け、表札のある真下あたりに支給物資箱の中に、今日の食料が入れられているはずだ。
さっそく浩司は支給物資箱の中を開ける。
「え、無い入ってないぞ、どういうことだ今日は遅れているのか。」
食料を配達人が来るまでこの場で待つのはあまり良く無い。
完全防具を装着していようが、あまり長い出来ないのだ、原因不明の奇病にかかる恐れがありそれは命に関わること。
とりあえずは自宅に戻ることにした。
「浩司にいちゃん食料は〜。」
「すまん無かったわ、今日はおそらく配達人が遅れているんだろう。」
「はあ〜仕方がないなぁ〜待ちますか。」
1時間後に支給物資が届いているか確認しにいくも入っておらず、定期的に確認しにいくも今日は食料が届かなかったのであった。