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悪役令嬢に転生しても、腐女子だから全然OKです!  作者: 味噌村 幸太郎
第二章 百合の花を咲かせましょう
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魔法と百合の国、ユリーナ


 長かった……ようやく、ここまで辿り着けた。

 思えば、当ての無い旅だったわ。

 しかし今の私は、この世界の半分を貰ったようなもの……。


 瞼を開けば、そこには大きな赤い絨毯が下の階段まで続いている。

 私の左隣りには、カデル王子が立っている。いや、元王子か。

 右側には兄のアランが目を光らせている。


 ”女王である私”を守っているからだ。

 玉座の上に腰をかけ、足を組んでみせる。


 前国王である、”ヒューイ”から頂いた黄金の冠を人差し指を使い、クルクルと回して見せる。


「ようやく、この国も健全になったわね」


 私が口角を上げて見せると、カデルが眼鏡をかけ直す。


「残念ながら我が父、ヒューイには、人望が無かっただけです」

「そう言うな、カデルよ。彼も今じゃ私の大事な読者だ」


 

 一週間前、第一王子のアランを百合の同人誌で、沼へ落とすことに成功した。

 それからの出来事は、スムーズに進んでいった。

 まずアラン王子の魔法”カラー”を使い、私の描いた原稿に全て色をつけてもらった。


 これにより、全編カラーの同人誌を作成することが出来た。

 あとは、弟のカデルの魔法、コピーで大量複製。

 正に有能な兄弟と言えるわ。


 それを国中の男性にバラまくことで、大量の読者を獲得した。

 噂が広まり、国王のヒューイも読みたいと言い始め。

 読み終えたころには、感動したヒューイが作者である私に、王位を譲ると言い出した。


 息子たちのアラン王子やカデル王子も、王位継承権を自ら放棄した。

 神聖なる魔法の国、マジーナ。

 今ではこう呼ばれるようになった、百合大国ユリーナと。


  ※


 だが、ここまでは男性陣にしかメリットがない。

 これでは、いつか女性たちの不満が爆発するわね……そう思っていたころ。

 それは起きた。


 百合大国ユリーナへに対するデモ、いや暴動と表現した方がいいかもしれないわ。

 それだけ民衆の、いや女性たちの反感を買ってしまったのよ。

 

 若い兵士が慌てて、玉座の前に膝をつき、私に頭を下げる。


「女王陛下! ご報告いたします。暴徒と化した民衆、いえ女性たちが宮殿にまで押し寄せて来ましたっ!」

「ほう……」


 その報告を聞いても、私は至って冷静だ。

 だって、ここまでは私のシナリオ通りだもの。

 私の姿を見てアランが、顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。


「陛下っ! 話が聞こえなかったのですか!? 今、あなたが民衆に捕まえられたら、命の補償はありませんよ?」

「フッ……」


 つい先週まで、私を処刑させようとしたアランが、命の心配か。


「案ずるな、アランよ。それより、カデル。民草たちをここへ」

「はっ、イエス・ユア・マジェスティ」


 カデルはちょっと、アニメの見過ぎかしら。

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