表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者パーティの俺は、もしかしたら人型の魔物なのかもしれない  作者: 空亡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/6

第1話「理想的なパーティ」


「みんな、今日はこの辺で野営にしないか?」


 光もほとんど届かない森の奥で、勇者のミゲルが皆に言った。

 周囲の暗さで時間は分からないが、日が沈んだのは確かだろう。

 

「賛成よ。もう足がくたくた……」


 そう言って安堵の息を漏らしたのは、僧侶のリリーナだ。


 彼女はとある寺院の箱入り娘で、過保護なまでに愛を注がれて育ったため、体力はお世辞にもある方だとは言えない。しかし誰にでも分け隔てなく慈愛の心を持つし、なかなかの博識だ。そして何より、回復の魔法で彼女の右に出る者はいない。


「今日はかなり歩いたからなぁ。ここから先は魔の臭いも濃くなっているし、俺もふたりに賛成だ」


 俺が自分の肩を揉みながら松明で周囲を照らすと、森の木々の中に大男がひとり浮かび上がった。


「ガッハッハ! オレっちはまだまだ行けるが、皆が疲れたんじゃしょーがねぇ。テントの設営はまかせな!」


 背負っていた大荷物を下ろしながら、大男改め武道家のガブアスが笑う。


 筋骨隆々の体はもちろん見せかけなどではなく、ガブアスは手際よく簡易式のテントを組み立てていった。彼は大陸一の大道場の跡取り息子で、武闘大会で何度も優勝している熱血漢だ。


「じゃあ俺は火起こし担当ということで」


「ああ、頼む。ここはもう魔王の領域内(テリトリー)だから、あまり遠くへは行かないようにね?」


「分かった」


 ミゲルはまだ十七だというのに、勇者としての才能に目覚めた若き天才。

 その甘いマスクも()ることながら、強く・優しく・頼りがいもある、俺たちのパーティの絶対的リーダーだ。


「さて、薪はこれだけあれば大丈夫だろう。火魔法(ロエモ)!」


 そして俺の名は【マホケス・ウィンター】。

 魔法が少し得意な、しがない田舎魔法使いだ。

 偶然に出会ったミゲルに魔法の才能を買われ、魔王討伐の旅に参加することを決めた。


 俺たちパーティは破竹の勢いで魔王軍の砦を攻略し、立て続けに三体もの四天王を倒してきた。目指す魔王城は、この森の先。魔王討伐の旅も、佳境と言っても過言ではないだろう。


「マホケス、怪我はない? やはりここまで来ると、魔物たちも手強いのが多くなってきたわね。回復魔法をかけておきましょうか?」


「ありがとう、気持ちだけいただいておくよ。俺はずっと後衛で、敵の攻撃もろくに受けてないからな」


「そう? でも、あまり無理をしてはダメよ?」


「はは、もちろん!」


 リリーナは本当に気立てが良く、その容姿も非の打ち所がない。

 ガブアスは気さくで楽しい、パーティのムードメーカー。

 ミゲルも戦いでは先陣を切ってくれる、勇敢な男だ。


 連携も悪くないし、バランスも良い理想的なパーティだと思う。

 このメンバーなら、魔王を倒すことだって夢ではないに違いない。


 ただひとつだけ、問題があるとすれば――――――



『もしかしたら俺が、人型の魔物なのかもしれない…………ということだけだ』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ