第34話 〜 限界突破2?〜
階層主の部屋の中央にはいつもなら仁王立ち状態で待ち構えている牛頭鬼の姿が無く、不審に思いつつ少し部屋の中に進む。
そしていつものように扉が閉まり、階層主の部屋が明るくなる。それでも何も現れずに警戒をしつつ気配を探っていると部屋の中央に光る魔法陣が現れ立膝で座った状態の牛頭鬼?らしきものが現れた。
その者の腕は2本しかなく、その代わり頭部には左右に大きな角と額と頭頂部に一角鬼の様なつのが一本づつ生えていた。
そして何より体が紅く、全体から陽炎が立ち上がっていていかにも炎の属性だと言わんばかりの容姿をしていた。
「おいおいおい、この状態でレアボスの出現とか勘弁して欲しいのだが…100回以上も連続で戦っているから変なモードに入っていたりするのか?」
ゆっくりと言うかのっそりと表現をした方が正しいような動作で全身から“面倒臭い”臭を漂わせながら牛頭鬼?らしき者は立ち上がり勇を睨みつけた。
「…っく、モンスターのくせに威圧とか生意気だね。俺もスキルを封印されていなければやり返すのにな…こいつを一撃で倒すおはかなり無理ゲーじゃないか?」
勇は目の前で威圧を放ちこちらに今にも襲い掛かろうとしている牛頭鬼?『いや、面倒だから牛頭鬼改に決定』牛頭鬼改の動きを油断なく警戒する。
牛頭鬼改は、ゆっくりと両刃のバトルアックスを右肩に背負うように担ぐと腰を下げた。っ、その瞬間牛頭鬼改の足元が爆発したかのように弾けると、一直線にショルダータックルの姿勢で勇に突進してきた。
その動きは勇の予想の範疇だったため、突進の後に続く高速の振り下ろし攻撃も後ろ足を引くだけで回避した。牛頭鬼改の攻撃はそれでは止まらず、続けて2回の連続3回の振り下ろし攻撃が続いたが初撃と同じく半歩動くだけの最小の動きで回避をする。
「ふぅん、中々いい動きだけど見切れない速さじゃない。今度は、こっちからだっ!って、ダメダメ一撃しか与えられないんだからっ!」
勇は反射的に反撃しようと踏み込もうとする身体を意志の力でなんとか抑え込み、バックステップで距離をとった。
“ブモォーッッ!!”
反撃を途中でやめて下がった勇の行動を挑発と理解した牛頭鬼改は天を仰ぎ両手を広げて大きく吠えた。それと同時に体から発せられていた陽炎の量がふえ瞳の色も金色に変化した。
「待てまてまて、別におちょっくってはい無いから!唯の縛りゲーだから、なっ?…うん?でも縛りゲーってある意味…おちょくりか?…うわっと」
勇の行動に攻撃力を上げた牛頭鬼改が怒り心頭の様子で猛攻を仕掛けてきた。先ほどと同じ振りかぶりからの連続攻撃を1回、2回と仕掛ける。
「幾ら、頭に来ていても冷静にならないと攻撃は当たらないぞっ!おっと!」
牛頭鬼改の攻撃を半歩の移動だけで回避し、アドバイスをするほどの余裕を見せていたが、2回目振り下ろし攻撃からバトルアックスが跳ねるように勇に向かって肩の位置へ横なぎの様に振り抜かれた。
勇は一瞬驚きはしたものの、攻撃をよく見て膝を落としつつ状態を後ろに逸らして回避をする。顔の前を勢い良く振り抜かれえたバトルアックスが通り過ぎていく。
「惜しいっ!、同じと見せて変化を見せるのは良かったけど、せっかく両刃なんだから手首を返さないで振り抜けばもっと良いよ」
渾身の一撃を回避されただけではなく、アドバイスを受ける屈辱に牛頭鬼改の怒りは頂点にったし先ほど以上の勢いで連続攻撃を行う。
しかし、牛頭鬼改の攻撃はスピードや威力が上がっても技としての修練が足りていないのか、先ほど連続攻撃の様に動作の初動がわかりやすく勇にはテレフォンパンチにしか感じられていなかった。
それでも一撃、一撃の威力は相当な物なので、現在の生命力(HP)が1桁の勇にとっては防御をしても当たったら即ゲームオーバーなほど危険ではあった。
『これ以上引き伸ばしても攻撃パターンが変わるとも思えないし…次の隙が出来るタイミングで行ってみるか?』
これ迄の戦闘で牛頭鬼改は高速連続振り下ろしの後、下段からの振り上げ攻撃を行う。その勢いのまま横8の字を描くように逆下段振り上げを行った後、小さく飛び上がり強撃の振り下ろしで石畳を割る。
この時、数瞬の硬直がありこの時に左右のどちらかに回避した後眼を狙って攻撃すれば一撃で倒せると勇は攻撃を組み立てたのだった。そして数回の攻撃の後、狙っていたパターンが来た。
高速連撃を回避し、跳ね上がる振り上げ攻撃も難なく回避を行う。次に来る逆振り上げ攻撃をいつもの様に回避しようと少し早めに動いたのだが、そこで牛頭鬼改が自身で穿った穴に足を取られた。
上体が下がったまま逆振り上げ攻撃を続けたため、バトルアックスが石畳を削りながら振り上げられ、十数個の石礫が勇に向かって飛んでくる。
「馬鹿かっ!」
バトルアックスの攻撃は回避できたが石礫の範囲が広く最小で回避していた勇に真っ直ぐ飛んでくる。勇は咄嗟に目と首を両腕で庇う防御体制をとった。
石礫の大きさは人間の拳位の大きさだったが、防御耐性を取ったのと高ステータス値の恩恵でダメージはなかった。しかし、牛頭鬼改がその隙を逃すはずもなく強撃振り下ろし攻撃を放ってきた。
『ちっ、これは防御(受ける)と不味い!仕方がない』
勇は硬直が溶けた直後直ぐに一歩前に出て牛頭鬼改の攻撃を鉄パイプをウェイトリスティングの様に横に持ちバトルアックスの持ち手の部分を受けしゃがんだ。
バトルアックスの刃の部分を防御(受ける)とダメージが貫通する可能性があったので、一歩懐に入り持ち手の部分で攻撃を受け止め、しゃがむことで勢いを吸収したのだった。
グォガキィイーーン
鉄パイプには魔力を纏わせていたが、牛頭鬼改の攻撃が強かったせいで盛大に衝突音が鳴り、少し鉄パイプが曲がった。それでもノーダメージで攻撃を防御出来たので安心して上を見上げる。
『おいっ!嘘だろっ!』
勇が見上げた先ではバトルアックスを振り下ろし頭と上体が下がっているはずの牛頭鬼改の頭がそり返る様に上がっており、胸は深呼吸をしているかのように膨らんでいた。
【危険察知】のパッシブスキルが視界を赤く点滅させ危険を知らせている。勇は全身の筋肉を総動員して前方、牛頭鬼改の股下に向かってダイブした。
先ほどまで勇がいた場所に紅蓮の炎が噴き上がり石畳を焼く。石畳みに当たり広がった炎が勇のダイブしている両脚を襲うが上半身が牛頭鬼改の股下をつうかしたしゅんかんに上体をくるりと反転し腹筋を酷使して回ったので何とか回避できたが、反転した際に盛大に背中を擦った。
「…ふざけるなよぉ…幾ら炎の属性だからって牛頭鬼がブレスを吐くって何処の世界のモンスターだっ!」
グガァーーーーッ!
勇の猛抗議に牛頭鬼改も会心の攻撃を回避された悔しさの咆哮で返答をする。そしてどちらかともなく部屋の中心まで同時に移動をし攻撃体制を再度取った。
「おい、いい加減疲れて来たから決着を付けようじゃ無いか?なぁー?」
牛頭鬼改は勇の問いにゆっくりと大きな鼻息と共に頷いて同意した。そしてバトルアックスを右肩に担ぎショルダータックルの姿勢をとる。
「来なっ!」
お読みいただきありがとうございます。
今作品は全て作者の妄想で出来ております。
現実の言葉、人物、団体、組織などなどは、一切関係がございません。ご了承の上お読み頂けますと幸いです




