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第27話 〜 入局試験合格?〜

(イサム)は口の中でブツブツ何かを呟きながら加恋(カレン)の後を大人しく着いていく。昨日ダンジョンに向かう際に出てきた建物に入ると多くの局員達が業務の手を止め勇を見ていた。


加恋はそんな事を気にするそぶりも見せずただただ黙って勇を引き連れて会議室の一つに入っていく。勇も続いて会議室に入ると着替えがテーブルの上にたたまれて置かれていた。


「まずは、そこにある作業着に着替えて来て下さい。そこの衝立の裏でお願いします。着替えた後、入局試験の結果を伝えます」


苛立ちが滲む声色で加恋は書類から目を離さずに着替えをするように伝える。勇は喉まででかかった言葉をなんとか飲み込み、用意された作業着を持って衝立の後ろに移動した。


『97・94・91・88・85・82・79・76・73・70・67…ふう、漸く少し気分が落ち着いた。何なんだ?あいつのあの態度は?俺が何かしたのか?!ヤバいまた、イライラしてきた。100・97・94…』


勇は湧き上がる怒りをカウントダウン法で抑えながら、加恋の態度について考えていた。考えれば考えるほど理不尽に思え、その度に湧き上がる怒りをカウントダウン法で抑えるのだった。


作業着は濃い青色でとても動きやすい縫製になっていた。衝立から出る前に深く深呼吸をして心を沈める。ふと異世界でエルから言われた言葉が蘇ってきた。


『いい、勇?交渉の時は努めて感情を抑えるの、怒りなどもってのほかよ。貴方なら出来るから…』


「全く、いつまで経っても子供扱いしやがって…ククク」


「…?着替えたのなら早くこちらへ」


加恋がイラつきながら勇を自分の正面の席に座る様に促す。勇は小さくため息を吐いた後、大人しく指示に従い席に着いた。


「それでは、改めて入局試験お疲れ様でした。無事に5階層のミノタウロスの討伐を確認しましたので合格です。それでは辞令を言い渡しますので、私の横に移動して下さい」


勇は座ってすぐに呼び寄せるなら、座らせなければ良いのにと思いながらゆっくりと余裕がある様に加恋の横まで移動する。


「山田勇殿、辞令、貴殿を皇安局第三課配属とする。誠心誠意陛下に尽くし、お守りする事を期待します。おめでとうございます」


大きな声で辞令を読み上げる共にA4サイズの事例書を手渡した。加恋の勢いに少し引きながら中学生の卒業式で習った賞状の受け取り方で辞令書を受け取る。


「それでは、本日は以上です。荷物を持って転移陣に移動します」


「あの?」


「まだ何か?私は昨日貴方が行った【威圧】の後始末で忙しいのです!」


「えっ?何がそんなに?」


加恋が言った意外な言葉に勇は驚きの声を上げる。その様子についに我慢の限界が来たのか目を釣り上げて勇に詰め寄ってきた。


「「えっ?何がそんなに?」じゃ、ありません。貴方が魔力を大量に込めて行った【威圧】により、気絶した職員14名、意識が遠退き倒れて怪我をした職員が5名、気分が落ち込んだ職員が33名。その他壊れたPCが53台、壊れた大型モニターが4台などなどなど。それ以外にも苦情の処理など膨大な余計な仕事が沢山、沢山、貴方のせいで生まれたの。それを私1人で処理をしなくてはいけない理不尽が貴方には理解ができるの?」


勇は『あの位の【威圧】で?』と考えたが目の前でキレている加恋の剣幕に小さな声で「ごめんなさい」と伝えるのだった。


「だから、今日は大人しく新宿に戻っていて。ドロップアイテムの清算とかは後日でお願い。それまでは絶対にアイテムボックス?から取り出さない事!」


今後の指示を勇に伝えた加恋は「私は忙しいの」と捨て台詞を吐いて会議室から出て行った。勇は暫く会議室でぽかんとしていたが、何もする事がここでは無いので転移陣のある部屋まで戻り新宿まで戻った。


転移陣から出ると白狐の面を被った職員の人が迎えに来てくれていて、勇を第三課の待機部屋まで案内してくれる。


待機部屋には千里也(セリヤ)(ユタカ)がカードゲームで遊んでいて勇に気づくとゲームをしながら声をかけてきた。


「お帰り勇くん」「おつかれさん、ひよっこ」

お読みいただきありがとうございます。

今作品は全て作者の妄想で出来ております。

現実の言葉、人物、団体、組織などなどは、一切関係がございません。ご了承の上お読み頂けますと幸いです。

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