第22話 〜 雑魚の癖にやるね?〜
2階層を貰った地図と【探索】スキルのマップを使って最短で3階層に続く階段に到着した。当初はマップの空白を全部埋めてとかやっていたが、この樹海ダンジョンが予想よりも結構大きい事とソロでは時間がかかりすぎると断念したのだった。
「ちっ…それにしても餓鬼の青い血の匂いはどうにかならないかな?人間や動物の血よりも粘度が高く匂いがきつい…はぁーゲームやアニメみたいに倒したらチリになって消えてくれればいいんだけど…【クリーン】」
勇は本日何度目かの【クリーン】の魔法を使って自身の身体と装備を洗浄する。魔法を唱えると身体が淡く光り汚れが光の粒子となり消えていく。
「…綺麗にはなっているのはわかるんだけど…イマイチすっきりしないよなぁ。それに餓鬼の血の匂いが鼻から離れないし…」
勇はブツブツと独り言を言いながら3階層へ降りていく。2階層から3階層の時のように大体2階分位の階段を降ると3階層に着いた。
3階層も石壁の回廊が続いていた。しかし2階層とは異なり回廊の壁がザラついている様に思えた。そして心なしか湿った布の様な匂いを感じた。
「さてと、3階層も最短距離で進みますかねぇ…」
油断はしないが軽い足取りで石壁の回廊を進んでいく。所々【探知】のマップに罠の表示が出るので作動スイッチが有る石の床を避けながら進んだ。
「おっと、3階層第1モンスター発見か?…3体か?」
脳内に浮かぶマップ上に前方から3つの赤い点を見つけて剣を抜きながら呟く。モンスター達が視界に入る距離まで近づと細長い体に短い足のハクビシンの様な獣が2体いた。
「ふーん、鎌鼬ねぇ…手には鎌は持っていないけど…おっと流石は獣、行動が早いね」
2体の鎌鼬のモンスターは勇を発見すると直ぐに走り出し左右に別れるとダンジョンの壁を走りながら勇に攻撃を仕掛けてきた。
右側の壁を天井近くの高さまで走り登った鎌鼬A(特長がなく見分けがつけないので仮呼称)は、走っていた壁を蹴ったと思うと縦に回転し【風の刃】を飛ばしてきた。
左側の床を真っ直ぐに飛ぶように走って近づいて来ていた鎌鼬Bも鎌鼬Aの攻撃にから少しずらして横に回転し【風の刃】を放ってきた。
2つの【風の刃】は前後に少しズレているが、まるで十文字を描くように真っ直ぐ勇に迫ってくる。勇は冷静に軌道を見極め鎌鼬Aの攻撃を半歩右に避け、鎌鼬Bの攻撃をしゃがんで交わすと立ち上がる動作と同時に剣を下から上に振り上げた。
キンッと甲高い音が鳴り響いた後、空間に赤い鮮血が飛び散り何も無かった空間から胴体を両断された鎌鼬Cが現れた。
勇は振り上げた剣の勢いをそのまま利用しくるっと一回転すると剣を横に振るう。
「【破斬】」
鋭く振られた剣の軌道と同じ形の斬撃が鎌鼬AとBに向かって鎌鼬達の【風の刃】より数倍早い速度で飛んでいき先ほどの1体と同じく胴体を両断して命を狩った。
「全く、獣の癖に【隠密】?とか使いやがって…普通ならやられちゃうって。まあ、【探知】のマップにはずっと3体表示されてたし、鎌鼬は三位一体とか前に読んだ漫画に載っていたから対処できたけど…初見殺しも良いところだね」
剣に付いた血油を剣を振って払い勇は鞘に収めながら呟いた。【解析】スキルで確認した鎌の刃である尻尾を剥ぎ取り用のナイフで切り取りストレージに仕舞う。
マップに従い3階層に続くルートを進んでいると前方から微かに戦闘音がしてきた、マップには3つの赤い光が近づいたり離れたりして動いているのが確認できた。
『…?俺以外に誰かがこのダンジョンで戦っている?…訓練施設として使っていると言っていたしあり得なくは無いけど…」
勇は少しその戦闘をらしき動きをする3つの点を見ていたが、誰かが戦っているとしたら助けが必要になるかもと考えその場所に急いで移動する。
移動先で勇が目にしたのは、先ほど戦った鎌鼬と大きなイノシシの怪物が戦っていた。
『おいおい、何でダンジョンの中でモンスター同士が戦っている?おかしすぎるだろう??もしかしてあれは誰かがイノシシに変身とかしている?』
勇は大声でツッコミたい衝動を抑え【解析】のスキルを使ってイノシシの正体を確認する。
『??あぁ?、山の主?はぁ?何処ぞのアニメ映画じゃ無いんだから?特殊個体でもないし…』
勇が様子を伺っている間にも山のヌシは牙を突き刺し、石壁を使い体当たりで圧殺などしながら鎌鼬を倒してしまった。そして、『今度はお前の番だ』とばかりに勇の方に向きを変えて前足をかき鳴らした。
『あれ?何で俺が認識できる?俺の【隠密】が破られた?いや、そんな感覚はなかったけど…野生の勘?いやダンジョン内だし』
勇が今にも勇に向かって来そうな山のヌシ脳内高速ツッコミを繰り広げているとドンっと空気が震える音を纏いながら突進してきた。
脳内ツッコミをしながら頭の片隅では冷静に観察していたので山のヌシの突進モーションを察知した瞬間、ストレージから大楯を取り出し【シールドバッシュ】のスキルでカウンターを仕掛けた。
ドカンと自動車同士の衝突音の様な巨大な音がダンジョンの石壁に反響しながら広がった。勇は衝撃を受けて20cmほど後ろに戻され、山のヌシはカウンターの衝撃で頭蓋骨が粉砕され目と鼻と口から血を垂れ流して絶命していた。
「痛ててっ、オイオイオイ。ダメージが通ってきたぞっ!大楯使って、【シールドバッシュ】発動させているのに、数ポイントとは言え…。ちょっとギアを上げないと不味いかもね」
お読みいただきありがとうございます。
今作品は全て作者の妄想で出来ております。
現実の言葉、人物、団体、組織などなどは、一切関係がございません。ご了承の上お読み頂けますと幸いです。




