第17話 〜 何故?此処はどこ?〜
オリエンテーションがあったその週の週末勇は皇安局第3課の入り口がある新宿駅に来ていた。
「なんで、能力測定と試験で1泊2日?それも準備する項目に2日分の食料って?キャンプでも行くのかっての?今の時代コンビニとかがあるのだからわざわざ食料なんて…何か悪い予感がする…」
着替えなどの荷物はストレージに収納しているので財布を入れる小さなショルダーバックを持っているだけの姿の勇は【危険察知】のスキルが微妙に何かを察知している感覚に悩んでいた。
「おはようございます、本日は能力確認と試験に来ました」
皇安局の転移陣に入り、入り口の白い部屋に着いた勇は大きな声で言った。しばらくすると正面の白い壁が開き女性のアナウンスが流れる。
「おはようようございます、山田さん。入って左に進んでください」
勇はアナウンスに従い開いた壁の中に入り左右に続く廊下を左側に進んだ。先週も2回ほど皇安局に来ているが、今回は別の廊下に出たらしく誰とも合わなかった。
しばらく進むと右側に開かれている扉があり覗くとオリエンテーションをしてくれた女性局員が待っていた。
「おはようございます、山田さん。準備はよろしいでしょうか?」
「あ、おはようございます。はい、問題ないですがこれは持ったままでも大丈夫ですか?」
勇は上のコーヒーショップで購入したコーヒーを少し持ち上げ確認をする。先日裕に案内された時に購入をして、オリエンテーション時にも購入していたので今日も購入していたのだった。
「…構いませんが、移動時に溢れると行けないので少しだけ量を減らしておいてください」
女性局員の指示に従い、勇は小さな穴から息を吹きかけ少し冷ますとコクコクとコーヒーを飲んだ。1/3ほど量を減らし「OKです」と伝える。
「それでは、こちらの転移陣に乗ってください。移動し終わるまで動かないでくださいね」
部屋の中にある一段高い円形の台の上に緑色で描かれていた。異世界にいた頃、ダンジョン内で転移トラップにはまった経験があるので少し躊躇したが、女性局員も中に入って行ったので意を決して転移陣に乗った。
女性局員がおもむろに右手を挙げると、転移陣の光がまし一瞬の酩酊感を感じた後、同じような部屋に移動した。勇はすぐにマップを確認したが先日と同じように「Unknown」と表示された。
「こちらです」と言う女性職員に従って部屋を出る、横に3人が並んでもゆうに歩ける程の広い廊下が真っ直ぐ20mくらい続いていて正面には頑丈そうな扉があった。
扉の前には迷彩服を着た顔をフルフェイスのゴーグルで覆い、機関銃?を持った2人の自衛隊員?がいた。女性職員が扉の入り口にあるコンソールにIDをかざし、右手を載せ、最後に開いている穴を覗くと大きな扉がゆっくりと開かれた。
開かれた先は格納庫?のような感じで天井が高く吹き抜けになっており、2階部分にはがぐるっとバルコニー型廊下が続き一定間隔に扉が見える。
1階部分には、机が並べられスーツ姿、緑色の制服、迷彩の制服を来た多くの人が忙しそうに土曜日にも関わらず働いていた。ぜんいんが勇の方を一瞬見て直ぐに仕事に戻って行ったのが印象に残る。
女性局員さんは格納庫?を少しまっすぐ進むと途中で右に曲がり【最高顧問】と扉の上に書かれている扉をノックした。中から返事が返ってきたのを確認して「失礼します」と言って入って行くので続いて入室した。
部屋の中は手前にソファの応接セット、奥に大きな執務机のあるドラマなどで出てくる社長室の様な感じの部屋だった。
執務机には白髪をオールバックにした温和そうな70歳台くらいのおじいさんが柔らかな笑みを浮かべて座っていた。
勇は入り口で「失礼します」と頭を下げて2歩ほど中に進むと突然鋭い殺気が飛んできた。咄嗟にバックステップで後ろに飛び扉まで下がる。
すぐに【危険察知】が左右からの攻撃を察知したのでストレージからハンズオブグローリーを抜き放ち左側からの攻撃に向かって身体ごとぶつけ、攻撃を止めると直ぐにしゃがみ右からの攻撃を交わした。
攻撃が過ぎ去った後、低姿勢のまま剣先を老人に向けて次の攻撃に備えた。
「ふぉふぉふぉ、中々見どころのある新人じゃの。全部交わしたのは神崎以来じゃの。驚かせてすまんのちょっとした入局試験じゃ、合格じゃよ」
「お、おじいちゃん。何が「入局試験じゃ」よ!この人が魔法を使ったら私まで巻き込まれていたじゃない!私は一般人なんだからね!」
先程まで厳つい雰囲気を醸し出して「合格じゃ」と言っていたが女性局員の口撃にあたふたとオロオロしている姿に勇はゆっくりと剣を鞘に納めた。
お読みいただきありがとうございます。
今作品は全て作者の妄想で出来ております。
現実の言葉、人物、団体、組織などなどは、一切関係がございません。ご了承の上お読み頂けますと幸いです




