第11話 〜限界突破?〜
「なにを変顔してんだよ?俺は、“強くなりたく無いか”?と聞いているんだ」
千里也が呆けている勇を見て少しイライラしながら同じ問いを言ってきた。勇は少し時間を掛けて千里也の言っている事を理解すると。
「なれるものなら」
と答えた。千里也は少しだけ口角を上げると満足したような表情で話し始めた。
「さっきお前の鑑定結果を見たが、レベルカンスト、レベルカンストって言っていたがレベル99の能力値255だった。たぶん、お前が行っていた異世界での限界だったのだろう。でも、この世界ではお前が望むならもう1段、いや2段上の力を得ることが出来ると言ったらどうする?」
「馬鹿なっ!さっきそこの人がこの世界は【レベル制】じゃ無いって言ったいたばかりだろう?それなのに“もう1段上の力”?ありえないっ!」
「おいおいおい、z世代とか言われているくせに頭が硬いなぁ?目の前でありえない事が起きていて、そもそもお前自身、この世界の一般常識ではありえない存在なのに、そんな事を言うのか?馬鹿か!すでに、俺ら“トフルギア”は非常識でありえない存在なんだよ」
千里也の言っている事は無茶苦茶だが、妙に説得力の有る内容に納得し始めている自分に勇は戸惑っていた。しかし、自身の力が及ばず死んでいった仲間達の顔がフラッシュバックしてどうしようもなく感情が掻き乱されていた。そしていつの間にか両眼から止めどなく涙が流れ始める。
「…もう、俺はあんな思いはしたく無い…もっと強くなれるなら成りたい…」
そこまで言い終わると勇は膝を抱え嗚咽を漏らしながら泣いた。どの位泣いていたかわからないが、しばらくすると肩を叩かれ白狐の面を付けた人からハンカチが渡され涙を拭いた。
「落ち着いたかしら?若い子が泣いているのに決断を迫るのは楽、いや心苦しいのだけどこれも仕事なので。どうしますか?山田勇君?」
「…入ります、あなた達の組織に入れてくれ。そして俺はもっと強くなりたい…でも約束してくれ俺の家族には絶対に手を出さないと」
勇は決意を込めて、そして最後は威圧を込めて加恋に答えと要求を伝えた。
「ふう、良かった。そんなに疑わなくても大丈夫よ。私達の組織は腐るほど大きくは無いし、常に相互で監視をする様に出来ているし、それに何かの漫画のセリフじゃ無いけど「人質は生かしているから意味がある」だったかしら?…それじゃ此処にサインをしてちょうだい。因みに魔力契約だから不履行の場合はきっちり罰があるから」
勇は加恋の言葉を聞き契約書を3回ほど読み直し、わからない部分やあやふやな部分について質問や確認をした後、サインをした。
「ようこそ、皇安局へ。これからも宜しくね」
加恋が先ほど迄とは変わりとてもかわいい笑顔で勇に握手を求めてきた。加恋の変わりように勇は少し戸惑ったが、待たせるのも悪いのでおずおずと握手をした。
「はぁー、疲れた。毎回だけど緊張するわね、無事に引き込めて良かったー、千里也ありがとね。さてこんな堅苦しい場所から移動してもう少し話しましょうか。着いてきて?」
加恋はいきなり砕けた口調でそう言うと握手で握った勇の手をそのまま引いて応接室から出ていく、半分引きづられるように勇は着いていった。
応接室を出ると先程移動してきた所まで戻り、逆に進み行き止まりで加恋が一瞬立ち止まる。手を引かれたまま何をしているのかと思っていると、突然何も無い所に扉があらわれ、電子音と共に開いた。
扉が開いた先はオフィスの様になっており、白狐や黒狐の面をつけたスーツ姿の人々と素顔の人達が数人居て仕事をしていた。
加恋に引き連れられている勇を見ると何故か拍手が湧き上がり、加恋は手を上げて答えていた。勇も良くわからないが頭を下げておいた。
オフィスを横切り“3課待機室”と書かれた扉の前に着き先程同じように自動で扉がスライドし開く。中は…一見オフィスの一室の様に見えるがオフィス机が2つ、その上にPCが2つ…あとは大型テレビとどでかいソファーそしてソファーの真ん中にあるテーブルにはお菓子の食べかすが散らかっていた。
「裕っ!お客様が来ると時位は片付けるように言ってあったでしょうっ!私が来ないとすぐにこうなる…千里也!戻ってくすぐにソファによこになるなぁ!」
応接室での緊張感は何処へやらリラックスモード、いやだらけモードだなぁと思う勇だった。散らかっているソファに座るわけにもいかず、比較的整理されているオフィス机の席に座った。
「全く、これだから3課の風当たりがよくならないのよ…あっ、ごめんね。此処が勇君が所属する皇安3課の執務室兼待機室ね。更衣室や装備室は他にあるから本当にここは待機室かな。一応フルタイム契約だからずっとここにいても良いけど、千里也はほとんど訓練所だし、裕は医療棟で別の仕事しているわね…里見は、呼び出しがある時以外は居ないし…あれ?勇君1人になっちゃうわ」
「あのー、そもそも何をすればいいのでしょうか?」
お読みいただきありがとうございます。
今作品は全て作者の妄想で出来ております。
現実の言葉、人物、団体、組織などなどは、一切関係がございません。ご了承の上お読み頂けますと幸いです。




