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第45話 王国の再統一

「陛下、ノーランドの水軍が惨敗しました」


 ジョージはマルクスの報告に瞠目した。


「ノーランド優位ではなかったのか!?」


「ダンブルの奇抜な戦略と最新鋭兵器の投入で、ノーランドは一方的に攻撃され、全く反撃できないまま、次々に主要戦艦を沈められたそうです」


「あのノーランド水軍がか」


 王国をこれまで散々悩ませて来たノーランドの水軍が、こうもあっさりと撃破されるとは、完全に想定外だった。


 ダンブルに勝てないまでも、いい勝負をして、しばらくノーランドの対応にダンブルを注力させ、その間にヘルツ王国と協力してダンブルを挟撃するという目論見がすっかり外れてしまった。


「ヘルツ王国との協議は順調か?」


「それがまずいことになっています」


「どういうことだ?」


「船舶技術の向上と、海軍の強化で、ダンブルはヘルツを介さずに、直接大陸の国々と貿易を開始しました。ダンブルの発明品を喉から手が出るほど欲しがっている大陸各国は大喜びです」


「一方でヘルツは窮地に陥っているのか?」


「そうです。元々大陸各国の資源や農産物の中継貿易で成り立っていましたので、大打撃です。ダンブルが海賊を一掃して、陸路よりも安全で安くて早い航路を各国に提供しているようです。陸路もヘルツを迂回するルートが開発されています」


「ノーランドの水軍に代わって、海を制覇したのか。ノーランドは武力で、ヘルツは経済的に追い込んだということか」


「諸外国の協力は見込めないどころか、北朝が正当な王国であると各国が表明し始めました」


「馬鹿な。侵略してきたのはダンブルだぞ」


「ダンブルは王国で内乱が起きたため、縁故のある北を支援しただけと表明しています。実際、ダンブル軍は既に撤退しておりますし、ノーランド戦はシャルロット女王の要請に応じて海軍を貸しただけ、と説明しているそうです」


「詭弁にすぎぬっ!」


「陛下……。各国はただの夫婦喧嘩だと説明を受けています。妹が可哀想で見ていられない、皆様も北朝への支援をお願いします、とカトリーヌ皇太子妃から説明があったそうです」


「国際関係に姉妹関係を持ち出すなど言語道断だと言ったのはカトリーヌだぞ。その口でよくも言えたものだなっ」


「陛下、理由などどうでもいいのです。北にはダンブルがついている、ということが分かれば、各国は北を支援します。ダンブルは何も悪いことはしていないという証明にもなりますので、ダンブルを非難することもありません」


「一部の隙もないではないか。こうも完璧にしてやられるものなのか……」


「いまさら言っても無駄ですが、陛下が決められた通り、カトリーヌ皇太子妃とご結婚されていれば、立場は違っていたと思います。ダンブルの戦略はカトリーヌ皇太子妃、戦術はヒューイ皇太子が担当しているようです」


「カトリーヌ……」


 この数日後、ジョージ国王の最大の後ろ盾となっていたエーベルバッハ侯爵が北朝への帰属を表明し、ジョージ国王はわずかな側近と共に西の離島に幽閉された。


 こうして、南北朝時代は一年で幕を閉じ、王国は統一された。

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