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第41話 心の雪解け

 東北地方をダンブル軍が通過しているときに、シャルロットが私に面会を求めて来た。


「シャルロット、私に会いに来たのは公務なの?」


「はい、お姉様」


「随分と素直になっちゃってるけど、よからぬことを考えているの?」


「お姉様、私はお姉様には敵わないことを身をもって知りました。お姉様に敵対するより、言うことを聞いていた方が、心の平静を保てます。それに、国民から大人気になるって、悪くない気分ですのよ」


 そう言ってにっこり笑った笑顔は、小さいころ、私と仲の良かったときに見せていたシャルロットの笑顔だった。


「そう、じゃあ、任せられそうね」


「公務ですか?」


「そうだけど、もう少し大きくなるのよ。あなたの夫は王都から追放して、王位を剥奪するわ。これはいいわよね?」


「それを何とかして欲しいと交渉するのが今回の私の公務ですが、お姉様の仰る公務とは質が違いますわ。私的な意見を申し上げると、夫なんてどうなっても構わないですわ」


「そう、良かったわ。では、あなたが王位を継ぎなさい。王国初の女王となってね」


「え?」


「あら? 権力志向は無くなっちゃったの? 王になればもっともっと国のため、民のために働けるわよ。もちろんしっかりやっていないければ、罰を与えるのはこれまでと同じよ」


「嬉しいような、嬉しくないような。でも、お姉様、今、私は結構お仕事にやり甲斐を感じていますのよ。それと、夫を選び直していいってことかしら」


 シャルロットの目が輝き出した。


「ええ、もちろん、伴侶は大切ですものね。自分を高めてくれる伴侶が見つかるといいわね」


「お姉様、私、一目惚れしてしまった殿方がおりますのよ」


 まさかヒューイじゃないでしょうね……


「お名前を聞きそびれてしまったのですが、私を案内してくれたあの方。お兄様かと思ってしまいましたわ」


 私はピンと来た。


「トーマス中尉かしら」


「お姉様、私の監視役がたくさんいらしているのは分かっております。トーマス中尉をお姉様からの監視ということで、私の手元に置かせてくれませんこと?」


「え、ええ、でも、実は私もあの子は側に置いておきたいのだけど……」


「お姉様にはヒューイ様がいらっしゃるじゃないですか。お二人も独占するのはずるいですわ」


「わかったわ。ヒューイとトーマスに聞いておきます」


「よろしくお願いしますわ。では、ごきげんよう」


 あの子、本当に随分変わったわね。


 お母様も謝罪文なんて書いて来るし、お父様は今や領地経営関係での私の一番の協力者だし。


 兄さんがきっと護ってくれているのだろうけれども、ヒューイの存在が大きいわ。


 私は昔のように明るくなって来たし、人とも心が通じ合えるようになって来た。


 ヒューイがバカかと思うほどの一途な愛で私を温めてくれなかったら、私の心は凍りついたままだったと思うわ。


 兄さん、私にこんないい人生をくれて本当にありがとう。これからも頑張るわ。

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