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第17話 アードレー家の弱点

 アードレー家の弱点はシャルロットだ。


 ヒューイと諜報部はシャルロットを足掛かりにアードレー家を潰すプランを練っていた。


 カトリーヌの父は先王には平身低頭だったが、決して無能ではない。


 母も子爵の次女という身分でありながら、見事に侯爵夫人の座を勝ち取った女だ。普通の女であるはずがない。


 だが、シャルロットは隙だらけだ。潜在能力は高いが、甘やかされたのと、才能があるために努力をあまりしたことがない。


 そう思っていたのだが、想像以上にシャルロットは間抜けだったようだ。


 ヒューイは一週間前の婚礼の儀のことを思い出しながら、一緒にレポートを読んでいる諜報部長に話しかけた。


「あの間抜けぶりはカトリーヌの妹とは思えないな」


「いいえ、殿下、シャルロット王妃は十八歳にしては悪くないと思います。ただ、お相手が悪すぎます」


「カトリーヌだものなあ。あの場であのセリフ言えるか?」


「無謀で過激に見えて、実に綿密に計算し尽くされた言葉です。まだ十九歳ですぞ。末恐ろしいとはこのことです」


「いや、恐ろしくはないぞ。ものすごく頭がよくて、顔も可愛いい。どれぐらい可愛いか、この機会に説明しよう」


「いいえ、結構でございます」


「ちっ、俺をもう少し敬って、ゴマをすらないと出世出来ないぞ」


「そんな時間も気力もございませぬ。ところで、殿下、あのレポートを見て、王国はどう動いたと思われますか?」


「あの内容はやはり王国も知っていたのだろう?」


 カトリーヌが新王ジョージに渡したレポートには、シャルロットが病気を理由に公務を欠席したときに、どこに出かけたかの行動履歴が記載されている。例えば、病気で休んでいるのに貴族のパーティに出ていた、などを記載していた。


「ええ、間違いないです。記載内容そのものが重要ではないことは、殿下もご承知かと」


「彼らにとっての問題は、仮想敵国である我が国に、王妃の行動が筒抜けだということだったな」


「その通りです。ただ、王国もバカではないですが、なぜこのレポートが提示されたかの理由は分からないと思います」


「そうだよな。諜報部員がたくさんいます、って宣伝しているようなものだからな。国策としてはあり得ない。まさか俺の個人的な恨みを晴らすためとは夢にも思わないだろうしな」


「理由はさておき、諜報部員がいるのは確かですので、王国としては情報の漏洩ルートの調査を始めないといけませんものね」


「それで、敵の情報部は動いたか?」


「動きました。シャルロット王妃と両親に数名つきました」


「しかし、カトリーヌは本当によくこんなことを思いつくなあ」


 カトリーヌに諜報部からのアードレー家に関する調査報告を見せたところ、シャルロットの公務に関するレポートをカトリーヌが調べたことにして王国に渡せば、王室、情報部、アードレー家の三者が釣れると言ったのだ。


 そして、実際にその通りになった。


 まず、王室が揉み消しに動いた。素行のよくない王妃との噂が広がるのを恐れたのだ。


 次に情報部が動いた。王室の情報漏洩ルートを洗い出すためだ。


 そして、最後にアードレー家が動いた。万一廃妃になろうものなら、アードレー家への大打撃となるためだ。


 アードレー家の没落へのカウントダウンが始まった。


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