2:「そんな汚い鳥籠にいないで、早く外に出ましょう? 私が貴女を素敵なレディにしてあげるわ」
ガシャン。私を縛る鎖が引かれた。引かれるままにおぼつかない足で前へと進む。踏み締める道は真っ暗で少し冷たい。
「さぁ、次は本日の目玉商品です!」
天井が開き、鈍い光が私を照らした。機械の軋む耳障りな音が耳元でなり始める。
機械仕掛けの舞台に上がるのは醜い生き物ばかりで、まるで汚物とみなしているかのように観客たちはペストマスクを身に纏い奇異の瞳を向ける。
スポットライトの主役である私は誰よりもそのねっとりとした視線を受ける。
「人の子だ」
「雌だ。こいつはほしい」
ぎょろぎょろと瞳をせわしなく動かし、ペストマスクと黒いマントで全身を隠している彼らはまるでカラスだ。
カラスたちは手を挙げ躍起になって口々に数字を叫ぶ。ゴミを漁っているカラスが獲物を奪い合っているようで滑稽だ。
「アンタたち、気持ち悪いったらありゃしないわ」
だけど、会場は一つの声によって静寂に満ち、気づけば大きな影が私の前に立っていた。
「この子はアタシが育てる。アンタたちが指一本触れることすら……許さないわ」
低く威圧的な男の声は観客全てを牽制する。
ばさっ。幾重にも積み重なった紙が目の前に落とされた。それは価値の無い私のために使われた価値のある紙切れたち。
男は自身が落とした紙束なんて目もくれず、私に向かって腰を下ろし、仮面を外した。
炎を閉じ込めたような紅蓮の瞳は浮世離れしていて、精巧で女性めいた容姿はまるで美を体現した人形のよう。
そして男はわたしの手を取り不敵な笑みを浮かべて言った。
「そんな汚い鳥籠にいないで、早く外に出ましょう? 私が貴女を素敵なレディにしてあげるわ」




