9 爆弾投げつける系聖女
「ねーえー琴葉ーーーーーー。」
構ってよーという風に私の部屋のベッドの上でゴロゴロしているのは満こと聖女だ。
ごろごろしている姿でも今日も今日とて愛らしい。
本日の装いは彼女の聖なる力を表す真っ白のワンピースに、彼女の瞳の色とお揃いの草原を思わせる若葉色のガウン。
「ねえったらぁ。」
ごろごろするのに飽きたらしい満は、肘をベッドについて両手で顎を支えながら可愛らしく私を見つめた。
私は立っているからベッドで横になっている満よりも目線が高くなっている。
自然と上目遣いになりかわいらしさが倍増だ。
いや、あの満のことだ。こうなることも計算したうえでの態勢なのだろう。
まったく、自分の武器を惜しみなく使う彼女の破壊力は限界がないなと思わず賞賛してしまう。
「こーーーとーーーはーーーー!!!」
「なに?」
もうそろそろ満の我慢も限界かなと尋ね返せば、満足げにふふふと微笑んだ。
かわいい。
本当にかわいい。
学生時代は○○のマドンナとか呼ばれていたんだろうなぁと考えて、はたと気付く。
そういえばこの子、女子じゃないからマドンナはないわ。
まあ、女装もこれだけ似合う美形なのだから、○○のプリンスとかかもしれない。
「今日、ネーベルいないのは知ってるでしょう?レオさんも聖騎士団の会議があるとかで王都に呼ばれちゃっててさ。」
「……うん、知ってるけど?」
そうなのだ、今日は珍しくレオも神官様も用事でここにはいない。
一応私達の護衛的な役割も担っているはずなのに、2人共同じタイミングで居なくなっても良いのだろうか…とも思ったが、この街の方々は良い人達ばかりだし悪い噂もないから1日程度なら大丈夫だと踏んだのだろう。
「つまりさ、私達、今、2人きりなわけだよね??」
愛くるしい大きな瞳をキラキラと輝かせた満はこてんと軽く首をかしげてそう聞いてくる。
「??そうね??」
言い方に違和感はあるものの、まあ間違いではないだろうと返す。
神官様もレオも居ないなんて、彼らと出会う前の召喚された時以来だ。
あの時は大変だったよなぁ、色々あって………………と遠い目になりそうになった私に満は爆弾を投げつけてきた。
「せっかく久しぶりに2人きりなんだもの。デート♡しましょう??」
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次回も明日21時更新となりますので、次回もよろしくお願いします。