5 遠い目の神官様
今回、短いです。...( = =) トオイメ目
「さて。まずはあの阿呆と共に行動して下さっていることに対し感謝を申し上げます。あいつは放っておくと魔物入りの飯を提供する飲食店を経営し始めますから。被害者が増加します。」
「被害者ですか?」
神官様のお言葉に甘えさせてもらい上等なソファに横になりながら、テーブルを挟んで向こう側にゆったりと座っている神官様に目を向ける。
派手な赤髪を持つレオとは正反対の、落ち着いた青色の髪を持つ青年だ。
瞳の色のように、風が吹いたら露散してしまいそうな霧のような儚さがある。
彼の身を包んでいる祭服が真っ白であることも、その儚さに拍車をかける原因となっているだろう。
「ええ、被害者です。貴方だってあの阿呆の被害者だと私は認識していますよ。云わば、我々は被害者同盟なのです!!」
くっ、忌々しい!!と眉根を限界まで寄せ表情を歪めた彼は、元の顔立ちが冷たい印象を与える人形のような美形であることも相まって、触れたら氷漬けになりそうな恐ろしさだ。
しかも滅多に声を荒らげない彼だから、その恐ろしさは100倍である。
先ほどまでは忌々しげであってもきちんと聖騎士呼びだったはずのレオも今は阿呆呼びである。
「…………失礼。過去を思い出して、思わず力が入ってしまいました。」
ごほんと1つ咳払いをして、モノクルの位置をまた直す。
どうやらモノクルの位置を直すことが彼の癖のようだ。
この短い間にその姿を2度見た。
「貴方も覚えがあると思います。あの阿呆の作る食事の、食材についてです。」
ああ、なるほどと彼が私を被害者だと言った意味を理解した。
聖なる女神を崇める彼ら神官にとって、魔物は不浄である。
本来であれば視界の端にも入れたくないものなのだ。
「あれは私がまだ神官見習いだったころ………………。」
遠い目をして語りだす神官様を眺める。
これから語られる過去は何となく、私も想像出来た。
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次回は明日21時!
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別作品:貴方将来悪役令嬢として断罪されるわよ!と言われて、親友も転生者だったと知りました。彼女と頑張って生き抜きたいです。も更新中ですので、よろしければ覗いてみてください。