4 まま神官様
神官様登場。
私は神官様がかなり好きです。
好きなので、見た目の表現方法も今まで出てきたキャラクターの中で1番凝っています。(当社比)
「聖女様、やはりこちらにいらっしゃいましたか。」
ノックもなしに部屋に入ってきたのは、足先まである純白の祭服に身を包んだ神官様だ。
地平線沿いの空の色のような薄い青色の髪を耳の下で1つに束ね、モノクルの奥から覗く瞳は深い霧のようなグレー。
優しくこちらに向けて微笑んでいる彼だが、私は理解している。
目が笑っていない。
聖女以外は道端の雑草だと思っている節がある彼は、聖女に害がなければ問題ないが、害が1㎜でもあると判断した場合、駆除しようとしてくる。
ちなみにレオは駆除されそうになっている人物の筆頭である。
熱心な聖女信者はレオ・アレット・フォートを嫌っている。
もともと、神官達と聖騎士団はあまり仲が良くないらしいのだが、この神官様のレオの嫌い様はすさまじかった。
まず、聖女と同じ空間にいることを良しとしない。
彼曰く、レオの吐く息は不浄なのだそうだ。
聖女様と同じ空気を吸うこと…は10000歩譲って良いとして、レオの吐いた不浄の息を聖女様が吸ってしまうことには耐えられないのだとか。
まあ、そこまでレオを嫌うには理由がある。
レオ本人は俺何かしたっけ?酔っぱらって覚えていないのか?等と独り言を言っていたため、気づいていないのだろうが、十中八九彼の作る料理に問題があるのだろうと思う。
神官様も私と同じく被害者だったのだ。
祭服の長い袖で口と鼻を覆いながら何やらレオと言い合っている神官様を眺めながら思い出す。
気絶した私をいつもの如く麻袋のように担いで帰ってきたレオが、用事があるからと神官様に私を預けた3日前のことを。
*****
額のひんやりとした感覚で意識が浮上した私は、自分が普段使っているベッドよりも明らかにふかふかで上等なソファに横になっていることに気が付いた。
起き上がるとひんやりの原因となっていた冷やしタオルがポトリと落ちた。
「おや、気が付きましたか。」
「……神官様。」
扉が開き現れたのは木の桶を手にした神官様だった。
木の桶からちゃぷと水の音がすることから、どうやら彼が看病してくれていたらしい。
「お加減はいかがですか?予測はつくと思いますが、一応説明させていただきますと、あの阿呆が気絶した貴方を連れ帰ってきましてね。自分は用事があるからと私に預けていったのです。全く、なんて迷惑で常識のない人物なんでしょう。」
「ご………ご迷惑をおかけしまして………。」
「まあ、本当に迷惑ではありますが。これも良い機会です。私は貴方と話をしてみたかったのですよ。」
神官様は、いつもはあの阿呆が貴方にべったりひっついているでしょう?そういう植物ありましたよね??ええ、ええそれです。あの緑色の厄介な……。
貴方とお話をしようと思ってもあいつがもれなく付いてきますから。同じ空気を長時間吸うなんて………想像だけで気分が……。等と雄弁に語る。
私と話したいと思われていたことにも驚いたが、それ以上に必要最低限の会話しか致しませんというイメージがあった神官様が雄弁に語る姿が意外過ぎて混乱した。
「………さて、そんな話をしたいわけではないのですよ。」
木の桶を近くのテーブルに置いた神官様はモノクルの位置を直してからこちらに向き直った。
本調子ではないのでしょうから、寝たままで結構ですよ。
気絶するということは身体には相当なダメージが出ていますからね。脳を冷やしてあげなくては…と新たに冷えたタオルをこちらに手渡してくれる。
まま!!と思わず呼びそうになった、危ない。
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